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【TechCrunch40】
世界中から集まった40社のプレゼンから注目サービスを紹介

 TechCrunch40のレポートもこの回で最後。2日間を通して感じたイベントの雰囲気や、筆者が気になったサービスなどを紹介する。


会期終了後も注目を集めるほど熱気に包まれたカンファレンス

 最近のIT業界における好況は、「2度目のインターネット・バブル」だと言う人も増えてきている中で、多くのベンチャー企業が投資先として選ばれるために発表の機会を求めている。今回そうした目的から開催されたTechCrunch40も、初日には立ち見まで出たセッションもあったほど、たいへんな熱気に包まれていると感じた。

 ネット業界の超有名人であるマイケル・アーリントン氏とジェイソン・カラカニス氏は、ブログ上ではどちらも非常に精力的で饒舌なキャラクターだが、実際のアーリントン氏のほうはとても無口でどっしりとした感じの人物だ。一方、カラカニス氏は明るく喋りっぱなしの人で、このようなカンファレンスで多数の著名人から面白い発言を引き出す様子には感心させられた。

 機材のトラブルで発表者の準備が間に合わず会場がざわめいたときにも、すかさずマイクを握って面白い雑談を語り始めるなど、司会業が本職なのではないかと感じたほどだ。
 その2人がハブとなり、多彩な交流関係から発表者・エキスパート・参加者が集まったこのカンファレンスは、業界の交流会としても盛り上がったと言える。英語圏のブログ界を中心に、会期前からカンファレンス終了後も、TechCrunch40についての数多くのニュースや参加レポート、感想、批評などが書かれ、それらは会期から1週間ほど経った今でも続いている。


会場のホテルでサーブされた朝食・昼食も交流の場
 最初のレポートで述べたように、このTechCrunch40カンファレンスの開催意図は、資金の少ないベンチャーが世に出るためのきっかけづくりというものだった。もちろん、最新のベンチャー情報がネット上で集まる場所というのをイメージづける、TechCrunchとしてのブランド戦略もあるだろう。

 オライリーのWeb2.0カンファレンスやDEMOカンファレンスなど、新興のネットサービスの紹介がされる機会を持ったカンファレンスは増えている。また、高額な参加費やスポンサー費を集めての豪華なカンファレンスだけでなく、BarCamp、Unconferenceといった質素で実質を重んじた集まりもベンチャー企業やエンジニアを中心に行なわれている。

 ユーザーがたくさん集まることで魅力を増すネットのサービスが多数あるように、人が集まればその集まった人に対して商売したい人も集まってくる。アメリカのような広い国で、これだけネットサービスに関わる人たちを集めることができたというだけでも賞賛に値するだろう。


米国以外からも多数の国がプレゼン。日本からの発表者は無し

トルコからBeFunkyの発表者
 今回の40社の発表者の中には、韓国からの2社をはじめ、フランス、イギリス、アイルランド、トルコなど米国以外からも多数の参加が見られた。いずれのサービスも開発や運用は米国の外でも、英語で米国で使えるようになっている。

 海外からの取材も日本だけでなく、台湾、ドイツ、フランスなど多くの国から記者が来ており、注目の高さが伺えた。ただし、Demo pitで来場者に対して別室でブースを持つ機会を持てた100社を含めても、139の発表者の中に日本や日系の発表者が1つもなかった。応募がまったくなかったのか、全応募700社の中には日系企業もいたがレベルに達しなかったのかはわからないが、日本人としては残念なところだ。

 非英語圏からのプレゼンターは、もちろん発音や質疑応答はたどたどしいものも多かったものの、それを元気でカバーしていたし、そもそも働く人の多くが移民や外国人であるのがあたりまえのサンフランシスコ・ベイエリアでは、そのような言葉の問題を気にしない会場やエキスパートの温かい雰囲気があった。

 自分が勤めるサイボウズ・ラボのことも含めて、日本はもっとこのような場所に積極的に出るようにするべきだという感想も持った。もっとも、数社ながら日本の企業から派遣された人も参加していたため、次回のカンファレンスでは日本からの新サービスも見ることができるかもしれない。


韓国発のサービス「StoryBlender」 StoryBlenderの発表者

40のサービスから気になったサービスを紹介

音声でテキスト入力できる携帯アプリケーション「Yap」
 40個の発表の中から、あくまで自分の観点で使いたいと思ったものを挙げるならば、まずは音声でテキスト入力できる携帯アプリケーション「Yap」だろう。アドレス帳から音声操作で電話をかけるような仕組みは以前から存在するが、Webブラウザも音声で操作でき、検索結果なども音声で聞けるとなれば、携帯電話でWebにアクセスする人口も大きく増えそうだ。

 また、「Viewdle」の動画顔認識と検索も面白い。HDDレコーダや動画配信サービスなどの登場で、テレビや映画は「観たいものだけを観る」というスタイルが根付きつつある。コンテンツの中身の検索やダイレクトジャンプが簡単にできるようになれば、今後は1つのコンテンツから面白いところだけを観る、というスタイルに変わっていくかもしれない。

 広告スペース交換仲介サービス 「Spottt」の、広告ウィジェットをエンドユーザー間で交換するというアイデアも気にいった。Web 2.0の定義では、DoubleClickがWeb 1.0で、Google AdWordsがWeb 2.0だという比較例が用いられるが、Google AdSenseに対する草の根の広告ネットワークが成立するのか、という点で注目したい。


「Viewdle」は有名人の出ている動画を探し出す 多数のブログ等で広告を貼りあう「Spottt」

関連情報

URL
  TechCrunch40
  http://www.techcrunch40.com/

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(秋元裕樹/サイボウズ・ラボ)
2007/09/28 11:13
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