上位製品など一部を除けば、NAS製品の多くはHDDを内部に増設することはできません。その代わり、バックアップや増設用途でUSB接続型の外付HDDを追加できる製品が多数登場しています。
■ USB接続型HDDを使ったNAS容量の追加やバックアップ用途で利用
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図1:共有フォルダ公開
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前回、NASで利用するHDDが故障した場合にRAID機能によってデータの修復が可能だというお話をしました(記事URL)。それでは、RAIDに対応していないNAS製品の場合はどうすれば良いのかという話になりますが、こうしたケースでは主に「ネットワーク経由で他のHDDにバックアップを取る」「USB接続型HDDを接続してバックアップを取る」の2種類が考えられます。
ただし、ネットワーク経由ではバックアップ時間を要するので、最大480Mbpsの通信が可能なUSB 2.0インターフェイスを持った外付HDDを利用するのが一般的かもしれません。なお、バックアップ機能自体に関しては第4回で説明した通りです(記事URL)。
ここで注目したいのは、増設したHDDの用途です。つまり、バックアップ用にUSB接続した外付HDDが利用できるのであれば、それ以外の用途にも使用できるはずです。例えば、NAS単独では図1のように内蔵HDDだけを共有フォルダとして公開できますが(図1)、これに加えてNASとUSB接続型HDDの構成ではUSB側のHDDも別の共有フォルダとして公開できる仕組みも持っています(図2)。
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図2:USB HDDを公開
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もちろん、どんなUSB接続型HDDであってもNASに接続して利用できるわけではありません。多くの場合は、同一メーカーの外付HDDが接続可能な製品として挙げられています。NASのHDD容量が足りなくなった場合、こうした方法によって容量を追加できることは知っておいても損はしないでしょう。
なお、いくつかのNAS製品では、USB以外にもHDDを接続できる方法が用意されています。例えば、玄人志向のNASキット「KURO-BOX/PRO(製品URL)では、本体内部に2台目を接続するポートが用意されています(記事URL)。ただし、こうした製品は知識を持った上級者向けであり、それ以外の方にはあまりお薦めはできません。
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図3:パリティの作成
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さて、前回に取り上げたホットスワップについてもう少し説明したいと思います。RAID 5の場合はパリティというデータを追加するとお話しましたが、例えば「A/B/C」という3つのデータに書き込む場合、NASは4台のHDDに対して「A/B/C/D」として書き込みます。
この中の「D」がパリティにあたるもので、図3であれば「A+B+C」の値になります。この状態でHDDの1台が故障した場合、NASは他の3台からデータを読み出し(図4)、故障したHDDに入っていたデータCをA/B/Dの値から計算して作成できる形になります。そして、CのHDDをホットスワップを使って入れ替えることで、リビルド作業が行なわれて図3の状態に戻せるわけです(図5)。
なお、RAID 5におけるHDDのホットスワップはデータ自体を入れ替えられるものではありません。従って、今回説明したUSB接続型HDDのように、増設目的や異なるデータのHDDを入れ替えて使用する用途には対応できない点には注意が必要です。
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図4:1台に障害
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図5:データの修復
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■ URL
NAS編 索引ページ
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/20269.html
2008/02/04 10:58
槻ノ木 隆 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。 |
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