Broadband Watch logo

スイッチングハブ編
第7回:通信速度


 LANの速度には、10Mbpsと100Mbps、1,000Mbps(1Gbps)の3種類があり、それぞれ10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tという規格が対応します。これまで家庭用では10/100BASE-Tに対応した製品が主流でしたが、最近では1000BASE-T対応製品が増えてきています。


通信速度によって3つの規格が存在。ただし、下位互換性は確保

 前回のJumbo Frameでも少し触れましたが、LANには速度として3種類の規格が存在します。

・規格名称と回線速度
 10BASE-T:10Mbps(≒1.25MB/sec)
 100BASE-TX:100Mbps(≒12.5MB/sec)
 1000BASE-T:1,000Mbps(≒125MB/sec)

 これら規格自体は下位互換は必須ではありませんが、実際のところは下位互換性が確保されています。

 10BASE-Tの機器:10BASE-Tでのみ接続可能
 100BASE-TXの機器:10BASE-Tもしくは100BASE-TXで接続可能
 1000BASE-Tの機器:10BASE-T、100BASE-TX、もしくは1000BASE-Tで接続可能

 さて、こうした機器が混在している場合はどうかを少し考えてみます。例えば、1000BASE-T対応のPC、100BASE-TX対応のNAS、それに100BASE-TX対応のハブと1000BASE-T対応のハブの4種類がある環境を考えます。


図1:100BASE-TX対応ハブに接続 図2:1000BASE-T対応ハブに接続

 まず図1のように、1000BASE-T対応のPC同士を、100BASE-TX対応のハブで接続した場合、全体の通信速度は100BASE-TX相当になります。つまり、1000BASE-Tの通信速度を享受することはできません。これを高速化するには、図2のようにハブ側も1000BASE-T対応させる必要があり、これによって2台のPCは1000BASE-Tで接続され、高速通信が可能になります。

 ここに100BASE-TXの機器が混在した場合をイメージしたのが図3です。この場合、PCとハブは1000BASE-Tで、ハブとNASの間は100BASE-TXで通信することになります。「それでは、100BASE-TXと同じじゃないか」という声が出そうですが、図4のようになると話が変わってきます。

 図4の場合、2台のPC間は1000BASE-Tで通信され、NASにアクセスする場合にだけ100BASE-TXが利用される形になります。この際、速度の調整はハブの内部で行なわれるので、ユーザーは意識する必要がありません。


図3:異なる規格の混在環境 図4:1000BASE-T対応PCの通信状況

 デジタル家電やプリンタなどの場合、100BASE-TXまでに対応する製品は少なくありません。その理由は「これ以上、速度を上げてもメリットがない」からで、例えばプリンタが1000BASE-Tに対応しても、10倍速く印刷できるわけではありません。ただ、PC同士の接続や、最近次第に増えてきている1000BASE-T対応のNASを接続するケースでは、(100BASE-TXと比べ)明らかに速度の向上が得られます。

 また、機器の価格も下落傾向が続いています。例えば、ネットワークカードの場合、1000BASE-T対応のものが1,000円を切っているケースもあり、100BASE-TX対応製品との差がありません。メーカー製PCの場合では、標準で1000BASE-Tに対応する製品が非常に多くなっています。

 ハブに関しては、1000BASE-T対応の製品がまだ高価ですが、それは例えば8ポートの金属筐体タイプでは、10/100BASE-TX対応製品が4,000円なのに対し、10/100/1000BASE-T対応製品が6,000円という程度の違いです。全体に価格が下がっているため、1000BASE-T対応製品についても、さほど高いものではなくなっています。

 配線に使用するLANケーブルは、1000BASE-Tを使うためにはCAT5e(エンハンスドカテゴリー5)に対応したLANケーブルが必要になりますが、店頭では同規格の製品が主流になっています。すなわち、ハブだけ1000BASE-Tに対応させれば、すぐにでも1000BASE-Tの環境が利用できる、と考えても良いでしょう。

 もちろん、1000BASE-Tに対応したからといっても、インターネットアクセスも高速になるわけではありませんので、「1台しかPCがない」という環境では無理に導入してもと考える方もおられるかもしれません。ただ、ネットワークに対応した機器は徐々に増えていくもので、将来への投資といった意味でも1000BASE-T対応製品を導入されることをお勧めします。


関連情報

URL
  スイッチングハブ編 索引ページ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/21429.html

2008/05/19 11:01

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
BB Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.