UPAは、これまで紹介してきたHD-PLCやHomePlugと同様に高速PLC規格の1つです。現在、最大400Mbps(実効値250Mbps)の通信を実現する技術開発も進められています。
■ 高速PLC規格「UPA」。2009年には400Mbpsモデルも登場予定
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UPA規格に対応したバッファローの「PL-UPA-L1」
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UPAは、「UPA(Universal Powerline Association、Webサイト)」という団体が推進している高速PLC規格です。これまで取り上げたHD-PLCは日本のメーカーが、HomePlugは米国・アジアのメーカーが主だって設立しているのに対し、UPAは欧州のメーカーが中心です。中核企業はスペインの「Design of Systems on Silicon(DS2)」で、チップ開発も手がけています。もちろん、日本企業も参加しており、国内ではバッファローやロジテック対応製品を発売しています。
現時点で市場に出ている規格の通信速度は、理論値で最大200Mbps、実効値で最大70Mbpsです。もう少し説明すると、大元になる規格は「UPA 1.0」と呼ばれる規格で、これが前述の通信速度になります。
そして、これをベースにHD映像などを転送可能とした規格が「UPA DHS(Digital Home Standard)」という規格で、こちらは実効転送速度が90Mbps以上になります。また、後継規格として現在、400Mbps(実効転送速度250Mbps前後)の通信を実現する技術と、低価格向けに100Mbpsに速度を抑えた技術の開発が進められています。
これらに関しては、2008年1月に日本でもデモンストレーションが行われました(関連記事)。ちなみに400Mbpsに対応した製品が市場に登場するのは、早くて2009年末頃になりますが、現在出荷中の200Mbpsモデルと互換性を持つとされています。
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図1:PLCの利用イメージ
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なお、前回からの繰り返しになりますが、高速PLC規格は異なる規格との相互接続性は持っていません。UPA自体も、HD-PLCアライアンスやHomePlug Powerline Allianceと同様にIEEE P1901に参加しているため、将来的には相互接続性を持った規格が登場するかもしれませんが、現時点でははっきりしないのが正直なところです。
製品としての特徴も、他の高速PLC規格と同様です。あえて違いを挙げるとすれば、若干速度が高速な点と、親機の電源がオフの状態でも子機同士で通信を可能とする機能を持つ点になります。ただし、日本国内では製品数自体が少ないため、それほど製品の選択肢がないのが課題とも言えるでしょう。
■ URL
高速PLC&同軸アダプタ編 索引ページ
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/koko_osa/22457.html
2008/07/28 10:57
槻ノ木 隆 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。 |
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