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[2005/10/28]
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[2005/08/26]
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[2005/07/01]
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「“インターネットはまずブログから”が目標」ライブドアの有賀之和氏
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[2004/10/22]

「“インターネットはまずブログから”が目標」ライブドアの有賀之和氏


 ブログの特長であるトラックバックにちなみ、ブログ関連サービスに携わる方を次々に紹介していただき、ブログの世界をつないでいくインタビュー連載です。第8回は、ブログサービス「livedoor Blog」を運営するライブドアの有賀之和氏です。

有賀之和(ありが ゆきかず)
 ライブドア メディア事業部ディレクター。ドメイン登録サービス「livedoor ドメイン」を経て、ブログサービス「livedoor Blog」を立ち上げに関わる。「スタッフページのlivedoor Blog 開発日誌」にもしばしば登場する。

□livedoor Blog 開発日誌
http://blog.livedoor.jp/staff/





ライブドア内のコンテンツ連携が強み

livedoor Blog
http://www.livedoor.com/r/blog

無料で2.1GBまで利用できるブログサービス。2003年11月にベータサービス、同年12月に正式サービスとしてリリース。有料版の「livedoor Blog PRO」も用意されている
――本日はよろしくお願いします。livedoor Blogは国内のブログサービスとして早い時期に始まりましたが、立ち上げ時期のお話をお聞かせ下さい。

有賀氏:ブログについては、インターネットに詳しい技術系のスタッフも社内にいましたし、Movable Typeを使ったブログなどを2002年頃から少しずつ試してはいました。また、GoogleがBloggerを買収したと言うニュースなども耳にしていたので、「ブログは今後大きくなるんじゃないか」と話していました。

 ただし、当時はまだライブドアが今のようなポータルではなく、(買収する前の)無料ISPのライブドアとしての性格が強かったので、なかなかブログのようなサービスに本腰を入れることができませんでした。ライブドアがポータルを目指すといった方針が固まったのは2003年秋頃だと思います。

 ではポータル化を進めていく上で何に力を入れるか、という点でブログが候補として上がったのですが、その時点ではブログはポータル化するためのコンテンツの1つという程度で、「ブログって何だろう」という認識が大半でした。今でこそライブドアの目玉の1つとも言えるサービスになっていますが、当初は現場レベルでの立ち上げで、かなり短期間に作った記憶がありますね。

 あの時は、今のようにブログがブームになるとは思っていなくて、サーバー1台でlivedoor Blogをスタートしました。今ではユーザー数が増えると同時にlivedoor Blogの構成が限界に達するのではないかと言う心配もあります。

――他のブログサービスと比較して、livedoor Blogの強みはどこにあるでしょうか。

有賀氏:サービスを立ち上げた当初は「初めてサービスを開始した」という差別化要因があったのですが、ブログサービスが数多く登場している今では、機能面ではあまり違いがないですね。ただし、ライブドアのコンテンツと連携した展開ができる点は大きな違いでしょう。トラックバックやWebサービスによるプラグインなど、ライブドアのコンテンツの中でさまざまな連携が実現できます。ただ、最近では(同じポータルである)Yahoo! JAPANもブログを始めたので、正直驚いているところです。

――コンテンツの連携など、ライブドアとYahoo! JAPANのブログの方向性は似ている印象を受けます。

有賀氏:似ているというより、それをやらないとポータルの価値はないでしょうね。ただ、Yahoo!ブログを見ているとSNSの要素を強く感じます。Yahoo! JAPANの性質上、ライトユーザーが非常に多いのは武器になるでしょうし、livedoor Blogとしても「何かやらないと」とは思っています。

□関連記事:Googleが“Blog”作成ツール開発元のPyra Labsを買収[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0218/google.htm





ブログの容量は無料・有料ともに2GBへ拡張

livedoor スカイプ
http://skype.livedoor.com/

ユーザー間は無料で通話できるP2P電話ソフト。一般加入電話にも通話できるサービス「スカイプアウト」も利用できる。画像はスカイプとヘッドセット、スカイプアウト通話チケットなどを同梱したスタータキット
――現在考えている機能拡張はありますか。

有賀氏:まずは無料、有料含めた容量の拡張ですね。Yahoo! JAPANが2GBで始めたので、こちらとしても容量の拡張を考えています(※編集部注:現在はすでに有料、無料ともに2.1GBへ拡張されています)。

――ギガ容量のサービスという点では、「livedoor ギガメーラー」との連動機能などは可能でしょうか。

有賀氏:コスト構造が違うので、一概には難しいですね。1回あたりのデータ量もメールとブログでは違うので、何かしら制限をつけなければいけないと思います。

 また、そういった連携を行なうにしても、今のところライブドアで一番ユーザーが多いのはlivedoor Blogなので、livedoor Blogの容量を増やし、そこを核にして他のコンテンツと連携、という形になるかと思います。一緒のストレージでなくても、データ量を管理してその合計で連携を取ることは可能だと思いますが、現時点では共通という形でのサービスというところまでは考えていないですね。

――無料でギガ容量のディスクスペースは強烈ですね。

有賀氏:ブログの容量に関しては、正直言って価格破壊のような印象がありますね。先日、日立製作所などがイントラブログ・コンソーシアムを発足したという話もありましたが、今後はブログの土俵を個人向けから法人向けにシフトして、細かく売上を立てていくビジネスという方向性もあるのではないかと思います。

 ISPのブログは、もともと接続会員がいますし、無料HPの代替としてブログは存在意義がありますが、ブログ単独で収益を上げていくビジネスモデルの場合、Yahoo! JAPANのようなブログは脅威でしょうね。

――livedoor スカイプとの連係機能の予定は。

有賀氏:スカイプと連携するためには、まずスカイプのIDとライブドアのIDの紐付けをしないといけません。SNSのlivedoor フレンドパークにもスカイプの機能はありますが、今のところ自己申告でのスカイプID登録に留まっている状況です。IDの連携が可能になれば、ブログのほかにlivedoor デパートのユーザーサポートにスカイプを使うとか、いろいろな展開が考えられると思います。

――livedoor スカイプはメッセンジャー機能も搭載していますが、この機能とブログの連動という点ではいかがでしょうか。

有賀氏:実のところ、スカイプはあまりメッセンジャー機能をメインに謳わないほうがいいのではないかと思っています。スカイプでできることがぼやけてしまうので。メッセンジャー機能は使っている人には便利だと思いますが、ライブドアとしてはスカイプをまずは電話ソフトとして展開していきたいと考えています。

□関連記事:livedoor Blog、容量を最大2GBへ拡張。サイトリニューアルも予定
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/8421.html





4月にはブログのリニューアルを予定

livedoor フレンドパーク
http://fp.livedoor.com/pr/

ライブドアのソーシャルネットワークサービス。会員からの招待でのみ参加できる招待制を採用している
――livedoor フレンドパークとlivedoor Blogの連動機能などはありますか。

有賀氏:今はGREEのように、自分のブログを登録してRSSで新着情報を通知するといった程度ですね。次の展開もぼんやりとですが考えているので、近いうちに進めたいと思っています。

――ブログとSNSの違いはどのようにお考えですか。

有賀氏:あくまで個人的な意見ですが、私としては違うサービスとして提供していきたいですね。ブログで情報発信の面白さに気づいた人もいる一方で、自ら情報発信をするというところまで行かない人にはSNSの日記が向いているかもしれません。具体的な形にまではなっていないですが、どちらか好きなほうを選べるような感じにしたいですね。

――livedoor フレンドパークでは招待制を無くすと言う話もありましたが。

有賀氏:その件については堀江もブログで否定していましたが、招待制を無くすと言うことは考えていません。今のところ、フレンドパークは招待制で続けていく方針です。

――ライブドアはオークションやショッピングサイトも持っていますが、物流を含めたリアルとの連動は考えていますか。

有賀氏:やりたいとは思っています。アバターでもプレゼントを上げる機能があるので、それをパワーアップさせた形で実現したいですね。livedoor アミーゴあたりだとユーザーの需要は大きいのではないでしょうか。


未来検索 livedoor
http://sf.livedoor.com/

日本国内のブログを対象としたRSS検索サービス。検索結果をさらにRSSで取得することで、キーワードを含む新たなブログが投稿された際に確認できる
――ブログ検索「livedoor 未来検索」のコンセプトを教えてください。

有賀氏:未来検索は、もともとは検索機能の置き換えといった感覚で、ライブドアというポータルの検索サービスの中にブログ検索もある、というイメージですね。

 未来検索はまだベータ版リリースという段階で、急激なアクセスの影響を受けやすい点を改善する必要がありますが、今後はリスティング広告などで未来検索を有効活用していきたいと思います。今は未来検索の中にJリスティングという子会社の広告を出しているんですが、将来的には未来検索のページビューを向上させて、専用の広告で収益化を図りたい、と考えています。

――予定されているリニューアルについてお聞かせ下さい。

有賀氏:サービスの停止はある程度あるかと思いますが、通常のメンテナンスと変わらない範囲ですね。URLが変わるなど、ユーザーが対応しなければならない変化はないと思います。

 リニューアルの方針は具体的には決まっていないんですが、サーバーの役割をもう少し整理する必要がありますね。負荷や処理量でバランスを考えて最適な構成を作り、さらなるアクセスの増加に対応できるようにしなければならないでしょう。2月中には具体的な方針を立てて、実際に環境を作っていこうと思っています。4月頃には実現したいですね。

 このタイミングで、新しく手を加えられるチャンスも出てくるので、昨日の見直しや新機能なども反映させた上で、新しい構成でスタートしたいですね。





ブログを情報発信の場とインターネットの入り口に

――livedoor Blogのユーザー数はどれくらいですか。

有賀氏:無料、有料を含めたlivedoor Blog全体で33万人程度です。これはlivedoorに登録してブログを開設した人数ですね。

――有料ユーザーはそのうちどれくらいを占めているでしょうか。

有賀氏:全ユーザーのうち、10%に届いていない程度です。広告も含めて、人がたくさん集まることを利用した収益源を見つける必要がありますね。

――アダルトブログにはどのように対応されているのでしょうか。

有賀氏:「停止」という措置があって、規約に違反しているサイトはパーミッションを閉じて外から見えないようにしています。停止の対象となるブログは、実際には業者が多いのですが、業者は業者とわかるようなシステムを導入したいですね。

 以前雑誌で「エログ特集(アダルトブログの特集)」があったときに、紹介されたブログがライブドアばかり、ということがありましたが、それは後ろめたいことではないと思っています。アダルトなブログであっても中には良質なコンテンツもありますので、アダルトはすべて駄目というのではなく、きちんとした環境を整備すればいいでしょう。ぽすれんとlivedoor デパートにアダルトコンテンツを提供したい事業者を出店させるという、ちょっとしたアダルトポータルみたいなものを作りたいな、というアイディアも持っています。


――livedoor Blogの収益面はいかがでしょうか。

有賀氏:収益源は有料会員と広告、あとは外販的な活動やAmazonのアフィリエイト、Google Adsenseといったところでしょうか。ブログはプロモーションやlivedoor IDの獲得として役にも立っていますが、livedoor Blog単体でもさらなる収益の拡大を目指します。

 広告展開については、現在テスト的に行なっている広告機能で自社広告を出していますが、今後は販路を作ってクライアントを獲得し、キーワードマッチング広告を展開したいと思っています。今月中にはテスト販売を開始したいですね。

――livedoor Blogの総ビュー数はどのくらいでしょうか。

有賀氏:月間5億後半くらいで、PVは伸び傾向が続いていますね。ただ、ニュースサイトのように運営側でハンドリングできるサイトのPVではないので、広告展開の際に、そこまで武器になる数字ではないと思います。

――ブログ全体の今後の展望についてお聞かせ下さい。

有賀氏:今までホームページを作るにも敷居が高くてできなかった層の方々、例えばインディーズレーベルや映画、作家の一歩手前の人々、そういう人たちに対して情報発信の場を提供できたら、とはずっと考えていました。ブログはある程度のサイトの見栄えを安価に整えられるので、ブログをきっかけにして世の中に出てくる人がいるといいですね。そうして有名になった人たちとコラボレーションしたり、そこから派生するサービスを実現できたらと思います。

 あとはネットで何かを調べる時に、まずはブログが見つかる、という状態にしたいですね。調べるならまずはブログ、という状況を作れば、あとは既存サイトと同じくらい普段の情報源として見に来てもらえると思いますので、そういった点も強化していきたいと思います。

 そこまでくれば媒体力もつきはじめて、ブログから本を出版すると言うビジネスもあるでしょう。今の感触では、同じ内容でもブログを違うメディアに出すだけでリーチできる人が変わってくる気はします。結局のところは、一言でいうと「ブログをもっと盛り上げたい」ということですね。

――本日はありがとうございました。

 次回は、楽天広場を運営する楽天の大島薫氏にお話をお伺いします。

□楽天広場
http://plaza.rakuten.co.jp/


関連情報

URL
  ライブドア
  http://www.livedoor.com/

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(甲斐祐樹)
2005/02/25 11:13
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