■2回線目のADSLに挑戦
連載第1回で紹介した「フレッツ・ADSL 1.5Mプラン開通」から数カ月。特に大きな問題もなく、安定したブロードバンド環境を楽しむことができていたが、仕事柄、ブロードバンドルータやADSLモデムなどの通信機器をテストする度に、回線を停止するのはあまり使い勝手が良くない。そこで、2回線目のADSL導入を検討し始めた。
2回線目のADSLを契約するにあたり、まず最初に掲げた条件はNTT東日本のフレッツ・ADSL以外のサービスと契約するという点だ。テストで利用することを考えれば、できるだけ異なる環境を用意した方が役立つ上、その他のADSL事業者の対応やサービス内容を体験してみたかったというのもあった。
■光収容のカベ、再び……
筆者宅の回線環境は連載第1回でも紹介したように、やや特殊な環境にある。この時点での回線状況は、ISDN×3回線、フレッツ・ADSL(タイプ2)という状況だった。しかも一部の配線は光収容になっているため、メタル配線への収容替えをしなければ、ADSLに移行できない上、移行時に電話番号の同番移行もできない。しかし、一部の回線が光収容になっていることがわかっていれば、それに見合った対策を考えることもできる。
まず、光収容になっているのであれば、収容替えを前提にADSL事業者やプロバイダを選ぶことにした。幸い、BIGLOBEがイー・アクセスのADSLを利用した「使いほーだいADSLeコース」を申し込む場合、光収容からメタル配線への収容替え費用を半分負担してくれるサービスを提供していたため、このプランで申し込むことにした。
次に問題になるのが筆者宅に引き込まれている配線のうち、どれを収容替えしてもらうかという問題だ。前回のフレッツ・ADSL契約に伴い、筆者宅の回線状況は以下のようになっている。
配線A | ― | フレッツ・ADSL(タイプ2) |
配線B | ― | 回線番号4 |
配線C | ― | 回線番号3(FAX) |
配線D | ― | 回線番号1、2(ISDNでダイヤルイン利用) |
これらのうち、回線番号1、2は音声通話に利用しているため、電話番号の変更は基本的に不可。そうなると、回線番号3と回線番号4のいずれかを収容替えするしかないが、FAX番号が変わってしまうのも困る。そこで、回線番号3を回線番号4のダイヤルイン番号に割り当て、配線cを収容替えで電話番号が変わってもいい状態にすることにした。
計画ができたところで、早速、BIGLOBEのホームページから「使いほーだいADSLeコース」を申し込むことにした。ADSLサービスはエリア内に入ったこともあり、「8Mタイプ」を選択した。しばらくすると、予想通り「光収容のため、ADSLがご利用になれません」という連絡があり、続いてBIGLOBEの収容替えサービスに申し込む。ちなみに、収容替えで電話番号が変わる場合、申込者はイー・アクセスにもその旨を連絡しなければならないのだが、こうした連絡はNTT東日本とADSL事業者の間でやり取りするべきではないだろうか。
収容替えの手続きをしてから数週間後、工事の準備が整ったようで、イー・アクセスからも住友電工製ADSLモデム「TE4121C」が送られてきた。工事日当日はNTT東日本の工事担当から連絡があり、あっという間に工事も終了した。ADSLモデムのリンクアップもまったく問題がなく、約5.7Mbpsでリンクアップすることができた。ちなみに、前述のFAXで利用している電話番号の移設は同じ日に行なわれたため、業務にもまったく支障が出ることはなかった。
イー・アクセスから提供されている「TE4121C」というADSLモデムはルータ機能を搭載しているため、ハブさえ用意してしまえば、簡単に複数のPCからインターネットに接続できる環境が整う。出荷時にある程度のセキュリティが設定されているので、通常の利用であれば、ほぼ出荷時設定のままで利用できる。ただ、開通からしばらくして、Linksys社製ブロードバンドルーター「BEFSR41」がUPnPに対応したため、現在はTE4121Cをブリッジ接続に切り替え、「BEFSR41」のルータ機能を利用してインターネットに接続している。
■フレッツ・ADSLも8Mbpsへ
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フレッツ・ADSL 1.5M/8Mタイプ両対応の「ADSLモデム-MN」標準価格1万8000円。パソコンショップや量販店でも一般販売されている |
イー・アクセスのADSL開通に続き、フレッツ・ADSLも8Mタイプのエリア内に含まれたため、これも移行することにした。同じ住居に複数のADSLを敷設した場合、どれくらいの違いが出るのかも興味があったからだ。
フレッツ・ADSL 8Mタイプへの移行はいろいろなところで受け付けているが、せっかくなので、移行キャンペーンを提供しているプロバイダで申し込んだ。イー・アクセスのADSLのときと同じように、申し込みからしばらくすると、NTT東日本から連絡があり、ADSLモデムを送付するとのことだった。移行なので回線調査などの手続きはなかったが、NTT東日本側から「宅内工事をしたい」という申し出があった。しかし、ADSLモデムを付け替えるくらいで工事を頼むつもりはないため、「うまくいかなかったら連絡する」ということにした。
工事当日はNTT東日本から連絡があり、ADSLモデムを付け替えて完了。送られてきた「ADSLモデム-MN」はブリッジ接続のものなので、ルータが必要になるが、「できるADSL」を執筆中だったこともあり、「WARPSTARΔ AtermWBR75FH」を接続した。すでにレビューなどでも紹介されているが、AtermWBR75FHのセットアップは非常に簡単で、画面の指示に従って操作するだけで、ほぼ設定が完了する。慣れたユーザーでもこの手軽さはありがたい。
気になるイー・アクセスのADSL 8Mタイプとの比較については、いずれの回線も結局、5.7~5.9Mbps程度でリンクアップし、パフォーマンスもほとんど変わらないという結果になった。環境によっては同じ場所でも速度がかなり違うようだが、筆者宅は幸い、そのようなことにはならなかった。
■電話番号をうまく使い回そう
ADSLを敷設するとき、ISDNから移行することを考えると、どうしても「同番移行」の問題がつきまとう。おそらく近い将来には同番移行ができると予測しているが、同番移行ができるようになるまで、ADSL導入を見合わせるというのはあまりにももったいない話だ。
このような場合にうまく活用したいのが「ダイヤルイン」や「i・ナンバー」に代表される副番号サービスだ。1つの回線に複数の電話番号を割り当てるサービスを利用すれば、今までの電話番号を変更することなく、うまく使い回すことができるはずだ。アナログ回線でもダイヤルインは利用できるが、ISDNの「ダイヤルイン」や「i・ナンバー」であれば、ISDNが持つ2回線分(2本のBチャンネル)を活用できるため、実用上の制限も少ない。特に、SOHOなどで利用しているユーザーにはおすすめできる手段だろう。
■参考データ
居住地区 | 東京都世田谷区 |
線路距離長 | 1810m |
伝送損失 | 30dB |
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ADSL事業者その1 | NTT東日本「フレッツ・ADSL 8M」 |
プロバイダ | IIJ4U |
スループット | 約5.7Mbps |
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ADSL事業者その2 | イー・アクセス |
プロバイダ | BIGLOBE |
スループット | 約5.7Mbps |
(2002/06/27)
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