■PCの世界はハツモノだらけ?
私がパソコンを始めたのは、まだWindows 3.1の時代であったので、もうかれこれ8年ほど前になるかと思う。当時は今ほどパソコンも一般には普及しておらず、仲間内でも早いほうだった。Nifty-Serve(現@nifty)でパソコン通信を始めたのもほぼ同時期だった。
写真を仕事にしている私にとって、パソコンで写真を送ることができるという事実は衝撃的でさえあった。発売と同時にカシオのデジカメ(QV-10)を買ったのは言うまでもない(ハツモノ)。
ほどなくインターネットプロバイダのサービスが開始され、話に聞くとネット上には有象無象の情報が氾濫しているらしい。こんな魅力的なものを放って置くなんて出来るわけがない。早速Nifty-Serveのインターネット接続サービスを利用してネットに繋いでみた(ハツモノ)。そこは未知の世界への眩いまでの入り口であった(後に漆黒への落とし穴であることに気が付くのであるが……)。
ネットにはまっていくと同時に、通信速度の遅さと電話料金、ネット接続料金の高さに不満を感じてきた。そこでモデムを14.4kbpsのものから28.8kbpsへと変更すると同時に、プロバイダーもサービスを開始したばかりのDTIへと乗り換えることにした(ハツモノ)。それ以来ずっとDTIを利用しているのだが、ほとんどトラブルもなく安心して利用できている。ちなみに@niftyのIDはモバイル用途として現在も使用している。
■ISDNを信じてワイヤレス環境を構築
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2階建ての自宅。電話線を室内に張り巡らさないですむように、ワイヤレス環境を構築
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コンパクトなデザインが気に入って購入した「Pliche16」(発売初日買い)。もう一台のノートパソコンは「SORO3350」だが、すでにゲートウェイは撤退……
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日常にインターネットが入ってきた時からの悩みの種であった電話料金だが、テレホーダイが開始されると言うことで、これもサービス開始と同時に申し込んだ(これもハツモノ)。
しばらくはアナログモデムを介してのダイヤルアップでネットへ繋いでいたのだが、NTTの推し進めるISDN回線が64kbpsもの高速(!)通信が可能と聞きつけ、早々にアナログ回線からISDN回線へと変更工事をしてもらった。当初は事務所の回線のみISDNにしていたが、自宅の回線もPCが新しくなったのを機に、ISDN回線に変更。同時にワイヤレス環境にすることにした。
自宅は二階建ての一軒家で、電話線のジャックが1階と2階にある。アナログ回線のときは1階のジャックに電話親機、2階のジャックにPCのモデムを繋いでいたのだが、ISDN回線の場合はPC、電話機どちらもTAを通さなければいけない。そこで、TAを1階に設置、2階のPCへは無線で飛ばすことにした。室内に電話線を張り巡らすのは避けたかったからである。当時としてはまだ珍しいワイヤレス環境だったが、ADSLの「え」の字もなかった当時、ISDN環境に移行したことで、すばらしく通信環境が改善されたと感じられ、あえてワイヤレス機材に投資する価値も十分あると思っていたのだ。
購入したのはNECの「AtermIWX70D」と「AtermRC45」(発売初日に購入)。デスクトップPCに無線PCカード「RC45」を挿して、ノートPCにはNTTドコモのCF形PHS「P-in」を子機登録して使うことにした。
しかし、ショップの説明で「2台同時に64kbpsでインターネットに繋げられる」と確認して購入したはずだったのだが、実は64kbpsでは同時接続できず(設定で32kbpsに分けて使うことはできる)。これでは使い勝手がいまひとつよくない。解決策をPCに詳しい友人達に相談すると、「TAを買う前に一言相談しないオマエが悪い」とボロクソに言われる羽目となった。しかし、ワイヤレスでPHSも子機登録できて……と、当時は確かに“新しい”製品で、ハツモノとしてかなり魅力的だったのだ。
■あっさりADSLサービスが開始される
それでもフレッツ・ISDNが開始され、ワイヤレス常時接続の恩恵を受けながら、しばらくは無線TAを使い続けていたのだが、結局、無線TAは1年も経たずに一式まとめてヤフオクで売り払うことになる。ISDNに切り替えるとき、NTTの局員があれほど「うちはやりません」と言っていたADSLが、あっさり開始され、自宅がエリアに入ったからだ。
自分の住む横浜は、一応他の都市よりもインフラの普及が早い方だと思う。結局、NTTの策略(?)にまんまと乗せられるまま、フレッツ・ADSLを導入することにした。しかし巷で言われていたような、回線をアナログからISDNに変更するときも、ISDNからアナログに戻したときも電話番号変更はされず、切り替えはスムーズだった。開通まで3カ月ほどは待たされたが……。
ほどよく待たされた後、フレッツ・ADSLが無事開通。正直その速さには感動した。今までの環境って何? って感じ。プロバイダーは引き続きDTIを利用し、1.5Mbps契約で実測は1Mbps弱のスピードだった。もっと出ていない地域もあるとは聞いていたので、とりあえず納得。しかし、それだけでは満足できないのが人間の業。一度覚えた無線LAN環境は手放せないので、ブロードバンド無線ルータ「AirStation WLS-L11S-L」と無線PCカード「AirStation WLI-PCM-S11」を導入。今度は前回の失敗を踏まえて周りに相談して導入したので心配はない。ちゃんとルータを選択してあるので、PC2台同時のアクセスもOK。ここから快適インターネット生活が始まったのである。
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ノートパソコンにAirStationの子機を接続
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1階に設置したAirStationの親機とADSLモデム
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■「Yahoo! BB」との長くて不毛なやりとり
しかし今の快適環境を手に入れるまでには、実は長くて不毛な「Yahoo! BB」とのやりとりがあったのである。フレッツ・ADSLが横浜でのサービスを開始する以前、ISDNの速度に不満を感じていた中で発表されたのが「Yahoo! BB」である。“速い”“安い”といううたい文句と共に華々しく登場した「Yahoo! BB」にハツモノ好きの血が沸いた。速くて安くてうまい、とくれば牛丼好きの私が放って置くはずがない。
予約申し込み当日に、混雑して繋がらないホームページにアクセスしつづけ、やっと申し込みを完了。しかし、ウワサ通り自動返信メール以後、一向に連絡がない。まぁ、周りの人も放置されているようだし、そのうち連絡が来るだろうと気長に待っていた。そのうちに、先述のフレッツ・ADSLが開通したこともあって、連絡がくれば乗り換えを考えようかと思っていた程度であった。その後1年近くも放置されることになるとは思いもせず……。
「Yahoo! BB」申し込みから数カ月して、「準備ができたので数日中に開通します。モデムも発送いたします」という連絡メールが来た。いよいよかと思ったのだが、翌日「開通のご連絡メールは間違いでした」というメールがやってきた。
この流れにもかなりびっくりしたのだが、「そういうこともあるかもしれない」と自分に言い聞かせてさらに気長に待つ……。そして、待ちすぎてすっかり忘れた2002年の4月、開通まで10営業日で行ないますという、“10日間宣言”が発表されたのだ。
■1年経って10日間宣言される
この10日間宣言、「Yahoo! BB」のサイトを毎日チェックしていたのでも、ニュースを見たのでもない。向こうからダイレクトメールが来たのだ。予約申し込みがはじまってから1年弱が経っていた私に10日間宣言のダイレクトメールを送るとはかなり勇気のある行動だと思うのだが、そこまで言うなら、と、ダイレクトメールを信じて開通を待ったのだった。
その手続きから10日が過ぎ、2週間が過ぎ……結局2カ月ほどして、ついに「Yahoo! BB」から連絡がきた。と思ったら「回線名義が違うので手続きできません」という内容だった。
実は昨年、申し込みから数カ月した後、最初に申し込んでいた回線にフレッツ・ADSLが開通したため、別名義の回線へ「Yahoo! BB」を通してもらおうと、変更手続きを行なっていたのである。手続き前にサポートにメールで手順を確認したところ、「Yahoo! BB」ホームページから変更してほしいとの返事。
契約内容変更ページで手続き完了。その際Web上でも確認されたはずなのに、ここにきてそれが通ってないということになる。
■理由は「言えません」に絶句
この時点で「Yahoo! BB」の姿勢に誠意が見られず、開通の気持ちもすっかり引いてしまっていたので、メールでの名義確認依頼も放っておいたのだが、今度は封書で名義確認依頼が届いた。そこには期日までに返答がなければ申し込みは無効になると書かれていた。このままではこちらのミスと認めたのも同然となってしまう。それでは、ということでサポートに確認を取るべく連絡をした。こちらから連絡する以上、契約回線変更がなされていないのはなぜか。また1年近くも放っておかれた理由を聞かせてもらいたいと思うのは普通だろう。
はたして、サポート対応の人にいままでの経緯を説明し、どうしてそうなったか理由を聞きたいと言うと、「わからない」の一点張り。契約回線変更の際にもらった手順に関する回答も誰が回答したかさえもわからないと言う。契約者とのメールのやりとりや、契約内容変更等の記録は存在しないし、答えられないと言う。
なぜそうなったかの理由も「言えない」し、正式な回答も「できない」という答えでは、何も進まない。結局、後日来た回答でも「お答えできません」の一言で済まされてしまった。当然、顧客の個人情報さえもまともに管理できないと思われる会社と契約する気にもなれず、そのままキャンセルをした。
世の中、理不尽なことはあるものだなぁと、貴重な体験をすることはできたのだが、やはり目新しいだけのハツモノに飛びつくにはリスクも高いと、改めて思わされた一件であった。
■モバイル環境もブロードバンド環境と併用
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いつも持ち歩くモバイルセット。本体は、中身がかなりカスタムされた「Libretto30」
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ブロードバンド環境とは別に、ずっと併用してきたのがモバイル通信環境だ。仕事柄、外にいることが多く、地方への遠征もよくある。出先でネットに繋がらないと困ってしまう。数年前に知り合いからミニノートのリブレットを譲り受け、以来モバイル通信は手放せない。
当初はNTTドコモPHSを使用。32kbps(後に64kbpsにバージョンアップ)で「mopera」や「@nifty」のアクセスポイントに繋いでいた。また念のため、PHS圏外に行ったときのために携帯電話用のモバイルカード「MobileDP Card2896P」も用意してある。これを使うときはDTIを利用する。
最近メインで使っているのはDDIポケットのAirH"だ。「AirH" 32k使い放題プラン」と「DIONミニミニコース」の組み合わせで使っている。AirH"にしたのは、以前NTTドコモのPHS、611Sで64kbps通信をしていたときに、かなり高額の請求になってしまったことがあったからだ。
ただ、以前使っていたNTTドコモの64kbps通信と比べると、AirH"の場合はときどき寸断することがあるようだ。メールやWebブラウズではまったく気が付かないほど快適で気が付かないのだが、メッセンジャーソフトがその寸断に反応して切れてしまうことがあるのだ。PHS回線側の仕様かプロバイダー側の仕様なのかわからないが、ドコモPHSで使っていたときにはそのような現象が起きたことはなかった。
これらPCでの通信とは別にNTTドコモのiモード端末を2年ほど前から併用。現在の「D211i」は2001年末、発売まもなく買ったのだが、どうやら初期不良だったらしく一度新品交換している。 実はいちばんひんぱんにメールを見ているのはこのiモードでだったりするのだが、特定のメーリングリストの転送をかけると、なぜかエラーメールが大量に送られてしまうらしく管理者から厳重注意を受けてしまった。どうやらiモードのシステムに原因があるらしい。現在は携帯用Webメールを介して転送している。
というわけで、どれも帯に短し襷に流し状態で、NTTドコモのPHSとDDIポケットのAirH"、ドコモの携帯電話という3つを持ち歩いている。さらに最近はMフレッツやホットスポットも気になって仕方ない(はやく公衆アクセスポイント増やしておくれ~)。
■回線のバージョンアップより先に……
現在ADSLにて常時接続の恩恵を享受しているPC環境だが、数カ月前には8Mbpsタイプのサービスに変更。現在は4.7Mbps程度の実測値が出ている。予約の始まった12Mbps対応フレッツ・ADSL モアも申し込んでいるところだ。
しかし人間というもの、常に速いものに憧れがあるようで、いま気になっているものはやはり光ファイバによるサービスだ。横浜でもBフレッツの予約受付が開始されているし、USENの光ファイバも気になる。これらハツモノに弱い私としては黙ってはいられないのだが、それ以前に肝心のパソコンが時代遅れになりつつある。
どうやら我が家はブロードバンド環境より先に、パソコンをバージョンアップする必要がありそうだ。
■参考データ
居住地区 | 神奈川県横浜市南区 |
線路距離長 | 1830m |
伝送損失 | 29db |
接続事業者 | NTT東日本「フレッツ・ADSL8M」 |
プロバイダー | DTI、@nifty、DION |
スループット | 約4.7Mbps(ルータを通すと2.5Mbps) |
(2002/10/24)
□NTT東日本 フレッツサービス
http://www.ntt-east.co.jp/flets/
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