■ブロードバンドデビュー! ISDNからCATVへ
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1996年当時個人ページに掲載していた、ISDN回線を増設したときのマンガから抜粋。この“野望”即ち光ファイバだったのであった
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思い起こせばわたくしども夫婦は、1995年秋頃から「我が家に光を!」という野望を抱いていたのであった。当時光ファイバと言えばPRI、すなわちINS 1500。個人宅、ましてや賃貸マンションの1室なぞに引いていただけるわけもなく、ISDN(INS 64)をまず1本引いた。1996年になってISDNを1本新規に引き、1本は通信専用で2B(128kbps)接続、もう1本は電話とFAXという使い方。当時としては128kbpsでもかなり贅沢な環境ではあった。
当時住んでいたのは杉並区で、杉並では1999年1月(だったと思う)から杉並ケーブルテレビ(現J-COM Broadband 東京)がインターネット接続サービスを開始したが、賃貸マンションなぞにサービス開始当初から引いていただけるわけもなく。1998年に送った申し込みハガキに対して、連絡が来たのはなんと2000年4月であった。でも、その翌月のゴールデンウィークには引越す予定だったので残念ながらパス。
2000年5月に北区に引越し後、すぐに北ケーブルテレビのインターネット接続サービス、北Qネットを申し込み、あっさり開通。当時は最大1Mbpsだった。それまでのISDN(2B)128kbpsに比べ、激速なのに感激。スピードテストサイトを巡回してスピードテストを堪能。実は1Mbps以上出ていた。北Qネット偉い!!
北QネットはPC 1台の契約で、MACアドレス登録による接続制限がある建前だったのだが、開通当初はどのPCからでも接続できてしまい、MACアドレスによる制限は実効性を持っていなかったようだ。その後数カ月して、突然MACアドレスを登録したPCしか繋がらなくなり、当然のこととはいえ、ショックを受けたりした。
2000年夏ごろの我が家の回線はISDN回線、アナログ加入回線、CATV回線と比較的シンプルだった。ちなみに、CATV接続ではVPNをサポートしていない場合があるが、北Qネットでは問題なくPPTP接続が可能だ。
■ADSLをダブルで導入
21世紀はじめての春のにおいとともに、ADSL開通のお知らせがやってきたのは2001年2月下旬。引越し&CATV開通から約10カ月後のことだ。2000年12月に東京めたりっく、2月フレッツ・ADSLと、いずれも北区の王子局が対象となった時点でソッコー申し込みを行なったのだが、開通時期はほぼ同じ頃になりそうな見込みだった。回線は、フレッツ・ADSLの方はタイプ2回線新設、東京めたりっくはタイプ1で既設回線を使うことにした。新しいサービスでもあり、接続が切れたりという話も聞いていたので、まあバックアップということで2つあってもいいかなと思ったのであった。
開通はいずれも2001年3月だった。フレッツ・ADSL開通が3月8日、東京めたりっく開通は3月29日。本来は同じ週に開通するはずだったのだが、東京めたりっくはなぜかリンクせず。結局、2回調査に来ていただいて、やっと開通した。2度目に調査に来ていただいた時に「ここは放送電波が非常に強いので、そのせいかも」と言われ、ああっ、ここらへんは放送電波で汚染された地域であったか、としみじみ悲しい気持ちになったのだけど、2回目調査の後に東京めたりっく側で局側設備を交換したらば、あっさり繋がった。な~~~んだ、ウチの環境のせいじゃなかったんじゃん!! と一瞬思ったものの、2回も来ていただいたことには心の底から感謝しました。
当時はG.dmtの8Mサービスというものは世の中に存在しなかったので、いずれもG.liteの1.5M契約で、下りスループットも大差なく1~1.2Mbps程度。両方使った印象としては、どちらかというと東京めたりっくの方が最高速度は速かったけど、フレッツ・ADSLの方が安定性は高く、いつも一定のスループットで突然切れることもあまりなかったと思う。ちなみに、1Mbpsの世界はすでにCATV回線で体験済みのため、天にも上るほど嬉しいとか感激のあまり徹夜で1200回スピードテストとftpを繰り返す、というようなことはありませんでした。
たった2人の世帯にADSLが2本開通したわけで、さーMACアドレス登録がめんどくさいCATV回線を解約しようかな!! と思ったら敵もさるもの。ちょうどその頃、北Qネットのトップページには「ブロードバンドはCATV なんと2Mbps ADSLより速い!」という赤文字が大きく踊っていた。たしかに2MbpsならADSLより明らかに速い。同時に値下げも行なわれた。と、いうわけでCATV回線契約も据置き。4月1日に増速してから下り速度計測したら、2Mbpsどころか3Mbps出てました。太っ腹だな北Qネット!
この時点の回線環境はISDN×1、1.5M ADSL×2(東京めたりっく、フレッツ・ADSL)、CATV。CATV回線以前に、なぜISDNがまだあるのか、というと、バックアップのバックアップ。というのは嘘で、引越しした時にISDNはたまたま連番で2つ、わりと良い番号が取れていた。この電話番号がISDN専用の番号で、アナログに戻すと番号が変わってしまう。そんなわけでアナログに戻す決心がつかなかったのだ。節約という概念はまったくない夫婦なのであった。
■Yahoo! BBの衝撃
さて、ADSLが2本開通し、CATVも2Mbpsに増速してから数カ月後の2001年6月。Yahoo! BBがサービス開始を華々しく発表。この発表は、日本がブロードバンド回線の世界一安い国となる起爆剤になった。この日は長く歴史に刻まれるだろうと思う。なんと言われようと、Yahoo! BBが日本のブロードバンド普及を促進した功績だけは、誰も否定できないだろう。
Yahoo! BBは、AnnexAのG.dmt、8Mbpsサービスということで、ご多分に漏れず我が家も、受付開始時間前からPCの前でスタンバイ。めっちゃ重くなったYahoo! BBのサイトで申し込みを行なった。6月28日に申し込み受け付け確認の自動返信メールが届き、7月31日に「8月中旬開通見込み」のメールが届いた。その後半年間くらいにわたって、“連絡がこない”、“問い合わせても返事がない”、“モデムが突然送られてきたが開通の見通しが立たない”、など社内外の人からさまざまな話を聞くことになったYahoo! BBだが、我が家に関しては連絡はかなりスムーズで、実際開通予定もちゃんと電話連絡がきた。
しかしここで問題が。我が家ではタイプ2回線を新設してYahoo! BBを利用しようと思っていたのだけど、この時点ではYahoo! BBはタイプ2には対応できなかったのだ。8月中旬頃には他のADSL事業者もG.dmtへの対応を表明していたし、それならYahoo! BBに固執する必要もないか、とあっさりあきらめてキャンセル。AnnexA G.dmtでどのくらい違うか試してみたかったけど、当時Yahoo! BBは申し込みが殺到してかなり混乱状態だったと思われたこともあり、別に今でなくても落ち着いてから、使いたければまた申し込めばいいや、と思ったんである。
■こんにちはG.dmt 8Mサービス
そして2001年10月頃だったか、イー・アクセスを申し込み。ADSL回線がすでに2本あるのになぜまた申し込むかというと、フレッツ・ADSLと東京めたりっくはいずれもPPPoE。イー・アクセスはPPPoAなので、どうせ複数持つなら違うテクノロジがいいかなというだけの理由であった。で、このタイミングになったのは、イー・アクセスはホールセール方式なので、我が家で利用のプロバイダー、IIJが対応するのを待っていたというわけ。
1.5Mで申し込んだのだが、申し込みしてすぐ、G.dmtの8Mサービス対応が発表され、それじゃってことで、8Mbps契約に変更してもらった。申し込んでから、さて線はどうしようと考えたのだけど、フレッツ・ADSLと東京めたりっくは、いずれもPPPoEでG.liteのAnnexC。同じならひとつでよかろ、ということになり、また東京めたりっくは会社的に将来的な予測がつかないかも~という状況でもあったため、東京めたりっくを解約し、その回線をイー・アクセスで利用することにした。開通時、2回も調査に来ていただいた恩も忘れ、たった半年で解約してしまって申し訳ありません……>東京めたりっく様。
さて、イー・アクセスの場合もとくにトラブルなくあっさり開通した。しかし、ちょっとショックだったのが、G.liteで1.2Mbps出ていたのに、G.dmtなのにスループットを計測したら、1.62Mbps程度。あんまり変わらないじゃないのよ~~! あんまり変わらないかも、という話はさんざん聞いていたのだが、2~3Mbpsくらい出ても良かろ、と甘い夢を抱いていたのだ。
そんなわけで、秋葉原のガード下で購入したシールド付きのツイストペアケーブルに変えてみたり(当時はまだ電器店などではシールド付きツイストペアはあまり売っていなかった)、屋内配線部分をなるべく短くしたり、あんまり効果ないと思うけどサージ付き電源タップからADSLモデムの電源を取ってみたりした。これらを一度にやったため、厳密にはどれが効いたかわからないのだが、スループットは1.8~1.9Mbps程度まで向上。でも、あとひと息で2Mbpsの大台に乗るのにィィ! とあと一歩の残念さは拭い切れないハンパな数字となった。
しかし、この頃にはインプレス社内でADSLを導入した人が多くなっており、400kbps程度しか出ていない人々の「400K倶楽部」も結成されていたため(というかわたしが勝手に命名したんだけどな)、そういう人々の話がたいへん慰めとなって、あとちょっとの残念感は忘れることができた。
■光の国の夢と現実
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築35年を誇る我が家のモルタル壁。いちばん右の青い線が光ファイバ回線。その左側の黒いのがISDN、ADSLのメタル線。左の太い線がCATV回線
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話は前後するが、イー・アクセス開通より約1週間前の11月1日、ついに東京都北区のBフレッツ申し込み受付が開始された。光ファイバ接続は1995年当時からの我が家の野望であり、もっちろん受付初日に申し込みを行なった。謙遜ぬきで、廃屋、もしくは隣の家の物置に見えるアバラ家なのだが、いちおう分類としては一戸建てなので、迷うことなく100Mベーシックタイプを選択。開通まで3カ月くらいは覚悟していたが、年の瀬も押し詰まった12月27日、NTT-MEから工事日は2002年1月9日でOKでしょうかとの連絡が。思ったより早いじゃないですか!
工事は平日しかやっていないため、当日は工事が終了したら出社するつもりで自宅待機。午後1時頃には作業が開始され、屋内への配線工事はあっという間に終了。しかし、すぐ近くの商店街の下を通る地下埋設ケーブルから地上へ、そして路地の電信柱へと経由する工事がかなり時間がかかり、結局工事が終了したのは夜9時ごろ。接続確認は翌日に回されることになった。翌10日、昼前には接続確認が終了し、我が家もついに光の国へ。
開通後さっそくスループットを計測。フレッツ接続ツールを使い、フレッツ・スクエアで計測すると26~28Mbps程度。工事に来てくれた方が、接続確認した際に出ていた数値とほぼ同じである。うーむ会社のBフレッツは40Mbps以上出るんだけど、まあこんなもんか、と思ったのだが――実際ftpしてみると20Mbpsを超えているとはとても思えないスピード。そこでスピードテストサイトやftpで計ってみたところ。ちょっと、たったの8Mbpsくらいしか出てないよおまいさん! 最大100Mbpsで8Mbps!!
NetGenesis OPTわざわざ買ったんだしもーちょっと出るだろ? 本気出せやオラ! と念力込めつつ計測してもほぼ8Mbps程度。つまりこれは、NTT地域網の中では26M~28Mbpsほど出るものの、その外に出ちゃうといきなり8Mbps程度ということでしょうか……。皆様こんなものなのかしら、と少し淋しい気持ちになり、仲間を求めてインターネットでBフレッツに関するユーザーの声や導入記などを検索してつらつら見るに「Bフレッツで47Mbps出ましたがこれが速いのか遅いのかわかりません」とゆーよーな記述が。ふっふざけんなよ速いんだよ!! うちの6倍もな!! と、慰めが得られないどころかむしろ精神状態が悪化したために検索中止。
あんなに夢見ていた光の国なのに、来てみればこんなもの……ふっ、人生ってこんなもんかも。と少々やさぐれた気持ちに追い討ちをかけるように、その後Bフレッツの「ニューファミリータイプ」がデビュー。最大100Mbpsで、なんとベーシックタイプより全然安いじゃありませんか奥様!! ベーシックだって結局ベストエフォートなわけで我が家は8Mbpsしか出てませんことよ奥様! と思わずハンカチ握って詰めよりたい気分になってみたりもした(この時点では大掛かりな工事だったわりに工事費たった3万円程度で開通した恩はすっかり忘れております)。
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近所の路地は我が家のために通行止めに。商店街の地下埋設ケーブルから地上へ、そして路地の電信柱を経由して我が家へと、工事はけっこう大掛かりであった
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この工事が、とりあえずは我が家1軒のためだけにと思うと感動を禁じ得ませんでした
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■光の国の住み心地
で、念願の光の国に到達して1年近くになろうという現在。当初「うちは光ファイバだけどスループット8Mbps」とみんなに自慢(?)していたのが、途中から15Mbps程度出るようになった。バックボーンが増強されたのかもしれないが原因はわからない。現在は、実効速度15~26Mbps程度出ており(フレッツ・スクエアでの計測値は40Mbps程度)、夫婦2人でシェアして同時にブロードバンドコンテンツを視聴しても十二分に使える速度となっている。
また、特筆すべきと思われるのは、トラブルが1度もないこと。ADSL回線では、接続が突然切れるということがたま~~にあったのだが、Bフレッツ回線の方は、1月に開通して以来現在まで、そうしたことが1度もない。仕事で使う場合は、これは非常にありがたい。やっぱり仕事で使うなら信頼性第一である(もっとも、全国的に見れば我が家はかなり早くADSLを導入しており、ADSLも現在では当初よりずっと安定しているため、トラブルは少なくなっていると思われる)。
回線はBフレッツが速くなった夏ごろから少し整理し、フレッツ・ADSLは解約、ISDN回線は同番移行が可能になった時点でアナログに戻した。現在はBフレッツ(ベーシック)、イー・アクセス8M ADSL、CATV(下り最大10Mbps/上り最大1.5Mbps)、素のアナログ、と一時に比べていくぶんすっきりした……かな? 一応、回線数はあまり減ってないもののコストダウンはしたのだ。
アナログに戻したメタル線は、周囲に平成電電を利用している人がまったくいないので、平成電電のADSLサービス「電光石火」を使ってみたいと思っている。しかし、残念ながら我が家はサービスエリアにまだ入っていないので、これは当面アナログのまま残しておくことになりそうだ。
■参考データ
居住地区 | 東京都北区 |
回線の種類 | 光ファイバ | CATV(北Qネット) | ADSL 8M |
線路距離長 | 非公開 | 非公開 | 2520m |
伝送損失 | 非公開 | 非公開 | 41dB |
接続事業者 | NTT東日本「Bフレッツ」 | 北ケーブルテレビ | イー・アクセス |
プロバイダ | IIJ(IIJmio) | 北Qネット | IIJ(IIJmio) |
スループット | 15~26Mbps | 約6Mbps | 約1.8Mbps |
(2002/11/14)
□Bフレッツ(NTT東日本)
http://www.ntt-east.co.jp/flets/opt/
□北Qネット(北ケーブルTV)
http://www.kitanet.ne.jp/
□イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
□IIJmio(IIJ)
http://www.iijmio.jp/
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