■ボロ屋にADSLは引けない?
大学4年の頃、バイト先のインターネットカフェでインターネットの面白さに目覚めてからはや4年。私の場合はネット環境よりも、むしろそれを設置する部屋の環境のほうが問題だった。
私の住んでいるアパートは、都心で駅にも近く、家賃も格安という理想的な立地条件なのだが、実は築年数がとっても古い。かるーく25年は経っているようだ。家賃の安さからよく調べずに入居を決めてしまったのだが、引越しのあとよくよく見てみると、なんとコンセントが1カ所(2個口)しかない。1つはエアコンで埋まってしまうので、部屋中でコンセントがたったの1コ!! しかない。Windowsのデスクトップ1台とMacintoshのデスクトップ2台、ノートパソコン1台があるのに、タコ足配線で大丈夫だろうか……と不安に感じていると、さらに、追い討ちをかけるように電流が15アンペアであることに気がつく。これではさすがに無理だと思い、すぐに電力会社に40アンペアへの変更をお願いした。すると「築年数が古すぎて、30アンペアに上げるのが限界です」と言われる始末……。かなりトホホである。
引っ越してすぐの頃、ちょうど世の中では「フレッツ・ADSL」の申し込みが開始され、それまでダイヤルアップだった私も喜んで申し込んだ。一カ月半ほどして待ちに待った連絡がきたと思ったら、「築年数が古いので、ADSLは申し込みできません」との答え。なに!! そんなのってアリ!? 電力に続いてまたかよ!
それでもADSLはそう簡単にあきらめられない。そこで申し込んだのが「東京めたりっく通信」だった。
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押入れを改造したパソコン環境。部屋は古いが広さは十分
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タコ足配線ここに極まれりなパソコンまわり。元のコンセントが1つでは……
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■意外に快適! ADSL 1.5Mbps
東京めたりっくのプランの中から申し込んだのは、月額料金は5,500円のFamilyサービス。当時はモデムのレンタルはなく買い取りのみだったため初期投資も3万以上。痛い出費ではあったが、おもいきって契約した。
そして、実際に開通してみると、NTTに断られた割にはそれなりに快適な速度が出るではないか。最初は設定に苦しんだが、正しく設定するとほぼ契約の1.5Mbps近く出るようになった。サービス開始当初は回線が不安定なときもあったが、それも徐々に安定した。
さらに、ADSL回線の競争が激化したため、どうやら開通当初より回線が空いてきたように思う。Yahoo! BBに吸収されてからは特にその傾向が顕著で、おかげで私としては快適なスピードが出てごきげんである。
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建物を建てた後電話線を無理やり引き込んだらしい跡。もしかすると電話線は比較的新しいのかもしれない
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自分で引き回したため垂れ下がっている電話線。この“垂れ下がり”があとあと被害にあう原因に
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■ネズミ VS ADSL
こうして、思いがけず快適なネット環境を手にいれられたのだが、肝心のネット接続をする時間がない。開通してからすぐに仕事が殺人的に忙しくなってしまい、3カ月で4・5回しか部屋に帰れないという状況が続いた。
この、たまに帰ったときに、部屋の異変に気がついた。せっかく開通したADSLの電話線が切れて、壁から垂れ下がっているのだ。ちょうどドアの近くだったので自分で引っ掛けてきれてしまったかと思ったが、どうせ直してもまたすぐ会社に行かなければならない状況だったので、結局ひと段落するまでそのままほうっておいた。
地獄の3カ月が過ぎ、毎晩自分の部屋で眠れるようになると、さらに大きな異変に気がつく。米びつの米がキレイになくなっている。ついでにニボシも。部屋に戻っていないのだから自分で食べたはずはないのだが……。そういえば夜、何かの気配を感じるのはもしかして……。とイヤな予感がしながら電話線を新しいものに変えようとしたら、目の前の鴨居の上を、大きなネズミが疾走していった……。
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台所の棚にあった小さな穴を、ネズミが拡張(処置済み)
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ネズミが疾走していった鴨居も、隠れられないよう処置
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電話線も米びつもニボシも妙な気配も、すべての理由がわかって速攻で大家に電話。すぐに業者を手配してくれ、出入りできそうな隙間や穴をすべてふさいでもらい、やっと一安心。その後部屋をよく点検してみると、どうやらネズミは垂れ下がっている線が大好きなようで、換気扇の紐も、台所の蛍光灯の紐も、すべて途中で切れている。電話線も見事に食いちぎられていた。
業者に作業してもらったわりには、その後もネズミはどこからか出入りしているらしく、気配を感じる。これでは電話線のストックがいくらあっても足りないではないか。かくなる上は……と、東急ハンズでネズミ用の粘着シートを買ってきて設置。これでひっかかったら遠くに持っていってしまおう……。と思ったが、設置してすぐに海外旅行に行ってしまい1カ月半ほど部屋を留守にしてしまった。
粘着シートの事などすっかり忘れて帰国すると、設置した粘着シートの上ですっかりミイラ化したネズミを発見。トラウマになりそうなほどホラーな絵だったが、おかげでそれ以降ネズミは現れていない。やっと平和な環境を手に入れたのだった。
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垂れ下がった紐の犠牲1:台所のスイッチ
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垂れ下がった紐の犠牲2:換気扇のスイッチ
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■あくまで東京めたりっく
今年の夏にYahoo! BBに吸収合併され、すでに新規加入は募集していない東京めたりっくだが、私としてはまったく解約も変更もするつもりがない。
というのも、当初5500円だった月額料金は、昨年の夏には月額料金も3500円に値下げされ、そして今年の夏、Yahoo! BBに吸収されてからは、プランが「Yahoo! BBめたりっく1.5M」に変更になり、サービス内容は変わらず月額料金が2080円に値下げ。モデムを買い取ったおかげで激安である。現在使っているモデムは2年以上前の製品のため、Webブラウザで設定もできなければ、妙に熱を持っていたり、ACアダプタが回収になったりといろいろあるが、使えているので問題ナシ。
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長らく使っているarescom社製ADSLモデム。一度AC電源アダプタが発熱で交換に
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PCは、Windows 98、Pentium II 233MHzのGateway。かなり前のモデルだが、いまだWebブラウズには十分
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東京めたりっくからは、Yahoo! BBの12Mbpsサービスに乗り換えしないか、と何度もメールが来ているのだが、徹底無視。なぜなら、サービス内容が今の方がお得だからだ。
実は、東京めたりっくの旧Familyプランの場合、「Mailスプール容量 25MB」、「Webスペース容量 100MB」のサービスがあった。このサービスは、「Yahoo! BBめたりっく 1.5M」になった後もそのままサービスが引き継がれ、スピードも1.5Mbps契約ではあるものの、ほぼMAXの1.5Mbps出ているのでWebブラウズに関してはまったく問題ない。
少しの体感スピードの差よりも、この便利なサービスが月2000円ちょっとで使えるほうが利点が大きい。個人的には、12Mにするよりも、この特典を手放す方がむしろ使い勝手が悪くなってしまうのだ。
以前よりも安定した回線、ネズミのいない部屋、毎日帰宅できる環境をゲットした今は、東京めたりっくの契約を、ある日突然サービス内容の違うYahoo! BBプランに変更されないかだけが心配の種である。
(取材・執筆:荒田淳子 [ウインディ]、2002/12/19)
■参考データ
居住地区 | 東京都中野区 |
線路距離長 | 2030m |
伝送損失 | 28dB |
接続事業者 | 東京めたりっく通信「Yahoo! BBめたりっく1.5M(Family)」 |
プロバイダー | 東京めたりっく通信 |
スループット | 1.49Mbps |
□東京めたりっく通信
http://www.metallic.co.jp/
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