■幻のAIXから始まったインターネット歴
はじめて会った人に「クラシックとか好きでしょ?」と聞かれる私は、あまりインターネット歴が長いようには見えないらしいのだが、実は1995年からと比較的長い。
1995年といえばちょうどWindows 95がリリースされ、少しずつインターネットが普及し始めたころ。当時まだOLだった私は、会社でMacintoshとWindowsを両方使っていたが、インターネット接続はまさにWindows 95からだった。
私が最初に利用していたプロバイダーは、「ASCII INTERNET EXCHANGE(AIX)」。周りの反応から察するに、どうやらマニアック(?)な選択だったようだけれど、特に深い理由があるわけではなくて、単に「料金がいちばん安かったから」。確か基本料金月額1,000円という格安な値段で、私にとってはこの点だけが魅力だった。
ところがその後、アスキーがプロバイダー事業から撤退。AIXはPanasonic hi-hoに会員をすべて譲渡してしまったので、それ以来ずっとhi-hoを使っている。ほかにもいろいろ魅力的なプロバイダーはあるんだけど、どうにも面倒くさくてそのままだったりして。
それまではモデムでダイヤルアップ接続を使っていたのだけれど、ちょうどいまのダンナと付き合い始めた2000年ごろ、フレッツ・ISDNに切り替えてみた。AIXのころもhi-hoに移行してからも、特にダイヤルアップやISDN周りで苦労した覚えはないので、ほかのみなさんに比べて幸せ者なのかもしれない。
ところが、悲劇はダンナと結婚してから訪れたのだった。
■いまどきADSLも引けないマンションってアリ!?
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Yahoo!オークションの常連デス。いつも21時から23時半ごろは、画像すら表示されないこともあって本当に困る
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いま住んでいるのは東中野にある高層マンションである。住所では新宿区になってしまうという、中野と新宿の境目に近い微妙な場所だ。ダンナと結婚してこのマンションに住みはじめた当時、私は会社を辞めてフリーのWebデザイナーになったばかりだった。このころからハマっているのが、インターネットオークション。とにかくインターネットに接続して、何やるかと言えばオークション、寝ても覚めてもオークションという状態だった(もちろんいまでもそうなのだが)。
Web閲覧だけとはいえ、帰宅して寝る直前までオークションサイトを見ているので、自分でもかなりのヘビーユーザーであると自負しているつもり。だから、安定したインターネット接続環境はとても魅力的だ。そういう点では、フレッツ・ISDNの安定した常時接続環境にはかなり満足していた。
そして2001年のある日。新しモノ好きのダンナがADSLを引こうと言い出した。私にとっては未知の、しかも期待のブロードバンド・ソリューションである。
ところが、新宿区のはずれであと一歩踏み出せば中野区に入ってしまういまのマンションは、ADSLにとってはサイアクの地域らしい。当時この地域にはADSLは引けなかったのだ。NTT東日本にも東京めたりっくにもイーアクセスにも問い合わせたのだが、結果はすべてノー。仕方なくフレッツ・ISDNで我慢することにしたのだが、まぁISDN自体にはかなり満足していたのでよしとしていたところだった。
■ISDNより遅い(?)光なんて……
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マンション地下の駐車場にあるBフレッツ用のMDFらしきもの。マンションの56世帯すべてがこれにかかってくるのだが……
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それからしばらくして、いきなりうちのマンション全体がBフレッツに加入することが決定した。あとで聞いたことなのだが、マンションの管理会社に対して、“ADSLも引けないマンションなんてどうよ”と有志の住民らがクレームを出したらしい。そのクレームのおかげで、マンション全体が光ファイバーを享受できることになったわけだ。住民パワーおそるべし。
余談だが、どうやらこのマンションにはかなりの数のヘビーインターネットユーザーが住んでいるらしい。マンションにお住まいの方でADSLも何も引けやしない! という方は、両隣や三軒先まで巻き込んで、ものは試しと管理会社にクレームを入れてみることをおすすめする。
ADSLを飛び越えていきなりの光ファイバー。夢のような広帯域インターネット・ライフが待っている──はずだった。
回線はBフレッツのマンションタイプ。マンションに最大100Mbpsの光ファイバ回線を引き、そこから構内はHomePNAの最大10Mbpsという仕様だ。ワクワクしながら速度を測ってみると、約3Mbps。「憧れのBフレッツ」の割には速くない……。まぁ全家庭でパソコンを使っているわけでないにしろマンション全体で56戸もあるし、共有タイプだとこんなものなのかもしれない。8MbpsタイプのADSLを引いたと思えばいいか、とそのときは思った。
が、問題は混雑時間帯。特に21時から23時半くらいまでの間が本当にひどい。私のライフワークたるネットオークションをするにも、混雑時間帯に突入するやいなや、あれよあれよという間に1Mbpsを切ってしまう。メゲずにつないでいるとそのうち画像が表示されなくなり、最後には接続が切れてしまうのだ。こんなことならISDNのときのほうが画像が表示されただけマシである。
どうやら、同じマンション内にこの時間帯にかなりヘビーに使っているユーザーがいるようなのだが、いくらBフレッツ最大100Mbpsでも、マンションで共有となるとこういう落とし穴があるとは。期待が大きかっただけに本当にがっかりである。
せっかくノートパソコンに無線LANまで導入して、居間で寝ながらインターネット接続できる環境を手に入れたばかりだというのに、ストレスがたまるいっぽう。加えて先日、居間で寝ながらインターネットに接続していたら、うっかりノートパソコンを床に落としてしまい、無線LANカードがノートのPCカードスロットにめり込んでしまうという悲惨な事故まで発生した。泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。
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これが無線ルータ。ファイバーが通っている壁際においたラックに、ルータと電話を並べ、その横に机とパソコン本体を並べて使っている
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PNAは机の下の床に設置したパソコン本体の上に置いて使用
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無線LANのおかげでノートパソコンを抱えて居間のソファでネットオークションを楽しめるようにはなった。いつもはこんな感じでネットに接続している
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写真ではよくわからないかもしれないが、先日落としたとき、カードスロットに無線LANカードが文字どおり「めり込んだ」! 引っこ抜くのもたいへんだった……。微妙にスロットのふたが歪んでいるのがその証拠
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■回線選びはオトコ選びより楽!?
それなら解約しちゃえ、とか、いまならADSLが引けるかもしれないから問い合わせればいいじゃん。そんなふうに思う方も多いと思うが、そんなことで問題が解決するのなら、わざわざ「ブロードバンド百景」に登場するわけがないのだ。
実は我が家では、回線周りをすべてダンナが握っている。ダンナはプログラマーなのだが、とにかく新しモノ好きで、このマンションに光ファイバーが引かれると決まったときも嬉々として無線LAN環境の構築にいそしんでいた。彼は私ほどインターネットをヘビーに利用しているわけではないので、回線速度の遅さはあまり気にしていないらしく、とにかく“光ファイバー=最先端”だと思っているだけ。最先端にいることがカッコイイことだと本気で思っているから手がつけられない。
あまりの回線の遅さに私がキレて「ADSLを入れようよ」と相談したのだが、それでも彼はガンとして受け入れなかった。彼にとっては私はずぶの素人らしいのだが、そのずぶの素人に意見されるのが気に食わないらしい。「ADSLを入れてくれないなら離婚するわよ」なんて脅そうものなら、「それでもかまいませんが、なにか?」と平気で言ってのけるオトコなのだ。
回線状況の悪さはそのまま夫婦関係の悪さに発展してしまいそうな勢いなので、いまのところ手を打ちようがないというのが現状だ。
全国の女性のみなさん、ダンナ選びと回線選びだけは慎重にね!
(取材・執筆:荒田淳子 [ウインディ]、2003/01/08)
■参考データ
居住地区 | 東京都新宿区 |
接続事業者 | NTT東日本「NTT Bフレッツ マンションタイプ」 |
プロバイダー | Panasonic hi-ho |
スループット | 0.8~3Mbps |
□NTT東日本 フレッツ ドット コム
http://www.ntt-east.co.jp/flets/
□NTT東日本 Bフレッツ
http://www.ntt-east.co.jp/flets/opt/index.html
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