■庭先の電柱が最速期間開通に大きく貢献
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我が家の敷地内・門の横に立つTEPCOの電柱。今まで気にしていなかったが、俄然存在感がでてきた
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はっきり言ってオレはネット初心者。仕事ではテレビカメラを担いでいる。この仕事、特にオレの撮影技術部門の仕事には、インターネットやパソコンはあまり関係なかった。自分のパソコンを買ったのは2002年の秋で、いまだに「あしたのジョー」と一緒にタイピングを練習している(そういうタイプ練習ソフトがあるのだ)。しかしその時点で、我が家には既に1.5MbpsのADSL(フレッツ・ADSL)があった。
俺のカミさんはいわゆる「IT企業に勤めて10とウン年」、我が家の通信環境はすべてカミさんの手中にあるし、通信料金もカミさん担当、言うなれば彼女は我が家の通信大臣だ。自宅は山手線のど真中にある一軒家。近くに迎賓館や神宮外苑がある住宅地で、駅にも近いこの家はカミさんのおじいちゃん時代からの家で、オレはマスオさんの立場である。
10年程前、東京電力と区の依頼で、路地の一番奥の我が家に「新しく出来る住宅に電気を引き込むため、門の脇に電柱を立て、夜間の安全のためにも電灯をつけたい」という依頼があった。カミさんのおじいちゃんがふたつ返事でOKして我が家の敷地内に10mの電柱が立ったが、この時のおじいちゃんの決断が、今回の「我が家のFTTH化計画」に大きく貢献してくれたのだった。
■特に不満もなかったADSL 1.5Mbps。なのにFTTHにした理由
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カミさんの部屋。左奥のパソコンデスクで、いつもなにやらアヤシイ仕事をしている
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オレもカミさんも1.5MbpsのADSLに特に不満はなかった。700~900kbpsくらい出るし、安定していた。カミさんは仕事でかなり長い時間、メールとWebブラウズを頻繁にするが、オレはメールと趣味に関するホームページを見る程度。面倒だからルータも使わず、物理的に「ケーブルの抜き差し」でかわりばんこにネットするので充分だった。
もちろん、オレもFTTHという言葉を知ってはいたし、元来メカ好き・新しいもん好きで、映像を仕事としているので、画像や映像も超快適に見られるのだろうと興味は持っていた。仕事の上でも、テレビとはいえ映像制作の業界にいる関係上、「ブロードバンドコンテンツ」なるものを意識するようになっている。だいたいにしてインターネットのコンテンツは地上波のテレビ業界にとっても意識せざるを得ないライバルなのだ。そしてこれからは共存していかなくてはならないんだと思う。
一方、カミさんは当然のことながらFTTHに興味深々、なんたって彼女はバリバリIT業界に居るのである(技術部門ではないが)。もしもFTTHになったら「ルータ買って2人で同時に接続できるようにして、無線LANも使えるようにした~い!」という具合。スピードネットの初期費用無料キャンペーンのことも知っていた。キャンペーン期間中なら、設置するときの費用30,000円がタダ! 速度は当然ADSL 1.5Mbpsとは段違いのはずである(編集部注:スピードネットの初期費用無料キャンペーン期間は、当初2002年末までだったが2003年3月末まで延長された)。
いろいろと調べてみたら「プロバイダー料込み」、そして「100Mbpsの線を1本占有」できるところがメリットだ、ってことだった。このへんはよくわからんが、早速カミさんに聞いてみたら「これ安い! 初期費用がかかるのがFTTHの弱点なんだよね、でもそれがタダになるっていうのはポイント高い。ここはいいんじゃない?」という反応だった。(編集部注:NTT東日本のBフレッツの場合、ベーシックタイプは光収容ビルからユーザー宅まで100Mbps光ファイバ1本占有だが、ニューファミリータイプでは光収容ビルから各戸まで占有という条件ではないので、他ユーザーがいれば共有となる)。
しかしオレはこう見えても用心深い。今も特に不便なく快適なネット環境なのだ。それを乗り換えるんだからな、そもそもこの会社って大丈夫なのか? あんまり聞いたことないぞ。そこでまたカミさんに聞いたら、「ああ、確かにあんまり知られていないかもね。ま、東電の子会社らしいし、使う回線もTEPCOだから、いいと思う」だと。
オレは「TEPCOって何よ」と聞いた。そしたらカミさんは呆れた顔をして「東京電力」とつぶやいた。そしてある日、オレは価格.comサイトでFTTH最安値を見てしまったのである(2002年12月初旬に発見)。そこで表示された最安値は、スピードネットのTEPCOひかり回線によるFTTHサービスだ。月額平均価格は初期費用、プロバイダー料、機器レンタル料まで含めて6,480円(12カ月継続時の平均)。これを引けば、彼女の仕事環境も、オレのネットサーフィンもより快適になるのだ!
カミさんにもこのページを見せたら「うちの門のところにTEPCOの電柱があるでしょう。FTTHも、近くの電柱から家の中に引き込むのよ。ウチはADSL引いた時に壁に穴開けて、あの電柱ルート作ったからその穴が使えると思うし、そもそも一軒家なんだから好きにできるでしょ。FTTHに興味があったし、利用料金が結局安い(計算してみたら当時のADSL 1.5Mbps回線+プロバイダー料より安くなる事がわかった)こと、家の敷地内に電柱があるし一軒家だから環境も恵まれていると思うし、第一、今がチャンスの安さだったよね、よくできました!」だと。我が家の通信大臣様からの誉め言葉! 申し込み書を送ったら、あとは工事の連絡待ちだ。
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価格.comサイトでもFTTH最安値をぬかりなく確認(画面は12月末時期のもの)。なお、スピードネットのTEPCOひかり。回線工事費無料キャンペーンは3月末まで延長されたらしい
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ADSLを引いた時に壁に開けた穴は、カミさんのパソコンデスクのすぐ左にある。ADSLの時も、ここがベストポジションだった
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■申し込みから開通まで
ここからは、時系列に書いていこうと思う。オレのカミさんは仕事柄筆マメなので、なんと記録をつけていた! 自分の仕事にも役立つと思ったそうだ。これにはオレも驚いたが、そのお陰でこれをラクラク書いている。
2002/11/下旬 | 『スピードネット・TEPCOひかり。』申込書をHPから要求。この時点で既にプロバイダー各社の資料も集めていたし、ホームページでも調べていた。 |
2002/12/2 | 『スピードネット・TEPCOひかり。』導入決定。申込書に記入、署名捺印して投函。 |
2002/12/4 | TEPCOひかりサポートセンターから連絡、宅内工事の確認調査の日時アポイントと、「終端装置の置き場所を決めておいて欲しい」という連絡。設置場所、一軒家か集合住宅か、持ち家か借家か、環境の確認。 |
2002/12/6 | TEPCOより宅内設置調査日時の最終確認。 |
2002/12/7 | 宅内設置調査実施、16:00より調査員の方2名にて。当方立会いのもと、終端装置の設置場所確認と引き込みルート、引き込み方法の確認をして署名捺印。簡単な引き込みのための図面確認書にも署名捺印。
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2002/12/16 | スピードネットのインフォメーションデスクに「工事はいつ頃になりそうか」の問い合せをした。工事の連絡は2~3週間後(目安)に直接工事会社さんから電話で来るとの事。 |
2002/12/20 | 工事会社より工事日の連絡があって驚き! 12月25日、つまりクリスマスの朝、工事することになった。クロージャから引き込みの電柱までの工事が24日とのこと、これが天候の具合等でズレ込む可能性があるらしいが、それにしても早い。その点については「珍しいくらい条件が揃っていましてね。こんなラッキーな例はなかなかないです」と言われた。ちなみに引き込みの電柱はやはり自宅敷地内にある「My電柱」からだった。 |
2002/12/25 | 工事日! カミさんもオレも立ち会うことにして朝からスタンバイ。当日は車(軽)2台とリーダーの方、若手の方が2名、そしてガードマンの方まで! 「FTTH工事中」という、道路工事するときのような看板を我が家の門のところに立てて、ガードマンさんも立っておられた。10時過ぎには家の中に工具箱が置かれた。この工具箱、いかにも職人さんの使い込んだ道具とみえる。オレ達と通じるものを感じて、なんだか嬉しかったなあ。
ところで我が家は路地(公道)の一番奥にあり、敷地内に電柱があるのでそこから宅内に引き込む。ではクロージャはどこにあるのか? 教えてもらったところ、路地を出て右の駐車場のカドをさらに右に曲がったところの電柱にあった。我が家からわずか徒歩で15歩! ここまで来ていたなら、そりゃ早いわな。我が家の門の脇の電柱どころか、路地の電柱でも同時に作業というのはかなりの壮観だ。
宅内の引き込みは予め調査のときに決めてあったところから。ADSLを引くときに開けた穴からススッと入れて、ケーブルに保護カバーを巻く。一方、引き込んだファイバーを終端装置にさし込む部分の接合をして、サクッと終了。終端装置は予想していたものよりもずっと小さい。ADSLモデムより小さいほどで驚いた。そして接続テスト、ハイ問題なし、ってなもんだった。引き込み工事自体は1時間もかからないくらいだ。こんなにスムーズなもんなのか。カミさんも驚いていた。
最後に工事・作業に対する簡単なアンケートに答え、ガイドブックやセットアップのCDを頂き、工事終了の確認のサインと押印をして完了。すぐにルータを買ってきて2人で使いたいところだが、なんせ年末は仕事も忙しい。年末の休みに入って大掃除が落着するまでは、今までと同様「物理的にお互いのケーブル抜き差し」で我慢することにした。
それにしてもこの速度。ほんとか? でも速いんだよな、事実。 |
2002/12/31 | カミさんがこの回線での動作検証ができているということで、コレガのルータを買ってきてささっと設定し、我が家のFTTH導入プロジェクトはめでたく終了した。
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こんな看板が立つなんて……。なんだか嬉しくもあり、恥かしくもあった
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これが工具箱。「いかにも」という感じでちょっと感動
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これがクロージャ。50mほどの路地を出て右に10mほど行き、そこから15歩位の所にあった
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電柱に登っての作業の様子は壮観である。男だねぇ~!
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壁の穴からファイバを通すところ。外から入れて、中からそ~っと引いていたように見えた
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これが光の終端装置。小さいのに驚いた
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■FTTHになって我が家の何が変わったか?
まず、FTTHにした記念(?)に買ったルータのお陰で、ひと昔前のテレビのチャンネル争いみたいな「物理的なケーブル差し換え」での主導権争いがなくなった。それから、前にも増して接続を切らなくなった。ちなみにテレビを見る時間は減ってはいない(みなさんもネットしてるからってテレビ見る時間減らさないで下さい、オレの仕事上それは困る)が、確実に「ネットしながら何かをする」ことが増えた。
テレビを見ながら、またテレビゲームをしながらメッセンジャー使う程度のことは普通にするようになった。なにしろ速度が早いから「動画や画像をバシバシ見てダウンロードする」ことに遠慮がなくなった。あちこちで映像を見るとそれなりに勉強になる。そうそう、安心ということもある。高額の国際通話の請求書が来ることもない(大きな声で言えない理由だが)からそのテのやつもカミさんがいない時にこっそりと。
うちのカミさんは仕事しながらメールも書いて、本読んでテレビ観て、友達のホームページの掲示板に書き込みして、なおかつ犬や猫と遊ぶなんてこともやってのけている。あんまり動画コンテンツは見ていなんだそうだ。理由は「内容は地上波のテレビのほうが面白い。でも速報がリアルタイムでアップされるから、時差がある海外ニュースサイトの映像はよく見るのよね~。」ということだ。
とくに通信技術者であるとか、ネットに非常に詳しいというわけでもないフツーの我が家にFTTHを導入。これからどう使っていこうか、生活がどう変化していくか、実は自分たちが一番楽しみにしているのだと思う。
(2003/01/16)
■参考データ
居住地区 | 東京都新宿区 |
接続事業者 | 東京電力 TEPCOひかり |
プロバイダー | スピードネット |
スループット | 30~40Mbps程度 |
□スピードネット
http://www.speednet.co.jp/
□TEPCOひかり
http://www.tepco.ne.jp/
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