■光ファイバ導入
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工事には高所作業車も登場 |
本連載の第三十景の回でご紹介した通り、これまでCATVの下り8Mbps上り512kbps(いずれもベストエフォート)環境でWebサーバーを立てていました。この環境では、動画を流すと高画質でなくてもブチブチ切れてしまって使い物にならないし、本連載第三十景掲載後の1週間ほどは一時的であるにせよ、ものすごいアクセス数で上り回線の512kbpsがボトルネックになって、自分のサイトを見ることができなくなったりもしました。下り速度という点でも、我が家は家族みんながインターネットを利用していることもあり、もっと速い回線にしようと決意しました。
最初に考えたのはUSENのBROAD-GATE01だったのですが、残念ながら我が家はエリア外。上り最大100MbpsのサービスではBフレッツが対象地域に入っていたので、Bフレッツのニューファミリープランに決めました。
BフレッツもWebで申し込みを済ませようとあちこちサイトを巡って情報収集していたところ、今なら@nifty経由で申し込むとNTTの工事費が無料になる、とあったので@nifty経由で申し込みました。もちろんプロバイダーは@niftyです。
開通までの流れは以下の通りです。
1)@niftyの申し込みサイトからNTT工事の申し込み(コンサル日を指定)
2)NTTからコンサル指定日に電話がかかって来ました(申し込み後10日)
ここで、私の場合はWebサーバーを立てることを告げたところ、ルータの設定値やソケットバッファのレジストリのことについて説明を受けました。
3)コンサルティングから2週間後に工事の下見に来ました(ここで工事日が確定したのでCATVの解約を手配)
4)工事の下見から1週間後に本工事になりました。光ケーブルは、100メートルぐらい離れたところから引っ張って来ていました。家の前の電線に来ているのかと思っていたのですが、遠くから引っ張って来ていたのは意外でした。私の部屋への引き込みは、エアコンのダクトを利用し、光ケーブルは 直角には曲げられないと言われたので、引き込んですぐのところに回線終端装置を置きました。
5)工事完了直前に(まだCATVが生きているうちに)これまでメールのみの契約だった@niftyの料金コースをBフレッツに変更。
6)NTT工事完了直後にCATVの撤去工事が行なわれ、3年間お世話になった我が家のCATVのインターネットが幕を閉じました(なんかとっても申し訳ない気がしました……)
こんな感じで、ちょうど申し込んでから1カ月で我が家のBフレッツは開通しました。
Bフレッツ+@niftyの環境にて、ルータの電源オン・オフを何度か繰り返してチェックしてみたところ、ほとんど毎回IPアドレスが変わっていました。そんなわけで、今度は自宅にはDNSを設置せず、フリーのダイナミックDNSで、MXもサポートしているものを探して運用することにしました(現在はminiDNSを利用しています)。
■回線速度
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ルータはWebCaster700を導入 |
Bフレッツを申し込んだ時にNTT東日本のコンサルティングを受けるのですが、その際NTサーバーでWeb公開すると言ったら、ソケットバッファのサイズ調整が必要と言われたため、レジストリデータをダウンロードして適応させました。WebCaster700についても技術的な指導を受け(ファームのバージョンやMTU)、その通りにした上で複数のスピードテストサイトで計測してみたところ、下り最高値は56Mbpsでした。
NTT担当者の話によると、70Mbps台も出たことがあるとのこと。導入後毎晩計測していますが、40Mbps台が一番多く、最低値は22Mbpsでした。上りはもっと速いことを期待していたのですが、これまでの最高値は25Mbpsです。
■ノートパソコンからサーバー専用機へ
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サーバー機はこれまでのノートパソコンからDellのタワー型マシンに変更 |
さて、回線が上り最大512kbpsから100Mbpsの世界へと劇的に性能アップしたものの、機器についてもそれに見合ったものに変更しなければ意味がありません。そこで、いろいろとアップグレードせざるを得なくなってしまいました。今までの古いノートパソコン+USB外付けHDおよび10Mbpsルータの環境はどう考えてもボトルネックになるので、入れ替えることにしました。
ルータはいろいろ考えるのも大変なので、NTT東日本が販売しているWebCaster700にしました。サーバーは新しいノートパソコンに買い替えるのはあまりにも高価でもったいないので、DELLの一番安いサーバー専用機PowerEdge 600SCにしました。ノートパソコンならUPSは必要ないのですが、今度はUPSもないと不安。でも、出費がかさんで、まだUPSにまで手が回っていません。
■上り下り100MbpsのWebサーバーの使い方は?
上下とも最大100Mbpsという、個人にとっては途方もない速さをどう使っているかというと、まず自宅公開Webサーバー運用が挙げられます。shibafuji.comの公開Webサーバーには自己紹介と差し障りのない愛犬の写真などを掲載していますが、実はサーバーのディスクの大部分には自分だけアクセスできるコンテンツが山のように入っています。
私は仕事がら出張が多いのですが、ホテルを選ぶ基準は、まずはブロードバンド対応であることです。ホテルから自宅サーバーにアクセスし、音楽や録画したテレビ番組を楽しんでいます。モバイルノートPCのハードディスク容量もずいぶん大きくなったとはいえ、番組をまるごと動画ファイルで何本も入れておくにはまだ厳しいところです。自宅サーバーに山のようにコンテンツを入れておけば、どこからでもその時の気分次第で見たいものを見ることができるのです。ホテルのネット環境もベストエフォートなので、他のお客さんの回線実効速度に影響が出る可能性があり、少々後ろめたい気持ちもありますが……。今後さらなる高速化が進めば、こうしたブロードバンド回線の利用方法が当たり前になる時代が来ると思います。
また、短い期間ですが、室内で飼っている愛犬用にライブカメラを設置してみました。ただ、当然といえば当然ですが、照明がない状態で映しても暗くてよくわからなかったので、すぐに外してしまいました。ライブカメラのサーバーへ接続要求があれば、自動的に電源が入るような照明があれば欲しいところです。ライブカメラについては、冷蔵庫の中のライブ映像を携帯電話でチェックして、会社帰りに足りないものを買うとか、今後の活用方法を考えています。
あとは以前からやっているデジカメの撮影データ保管庫としての利用があります。我が家のデジカメや携帯電話の画像は全てサーバーに保管してあり、どこからでもアクセス可能な状態になっています。これもけっこう便利で、誰かの家に遊びに行って、話が弾んだ時に関係する写真を見せたり、印刷したりできます。回線が速くなったため、高解像度の画像ファイルもストレスなく表示されます。
職場の端末と我が家のサーバーはVPNで接続でき、回線が速くなったためにVPNを使っても300MBのPDFファイルを3分でコピーできました。仕事の続きを家でやる場合、ノートPCの内蔵ディスクやCD-Rにコピーして持ち帰るパターンが普通かと思いますが、CD-Rなどのメディアの場合、万一紛失したら大変なことになります。もっとも、自宅サーバーにコピーしても、ハッキングの危険性は否定できません。しかし筆者の場合は、メディアを携帯して紛失する危険性の方が大きいと思われることもあり、自宅サーバーを活用しています。
■今までに起きたトラブル
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Bフレッツの光回線終端装置 |
Webサイトを見ていた時に強制切断され、IPアドレスも変わってしまったことが2度ありました。IPが変わってもダイナミックDNSだから復帰は早いのですが、会社環境ではプロキシ経由でDNS情報もキャッシュされているためか、一定時間アクセスできなくなります。
なぜ強制切断されたのか気になったので、まず@niftyに電話して聞いたところ、NTT側だろうと言うことで、今度はNTTに電話して聞いてみました。結果、最近、回線工事等で瞬断したことはないので、それはルータの障害だということになり、NTTにWebCaster700を交換してもらいました。パソコンショップでルータを購入していたならば、ルータが障害だと言うことを証明するのは至難の業のような気がしたので、つくづくNTTからルータを購入しておいて良かったと思いました。
■ランニングコスト
ランニングコストはCATVの時よりもかなり高くなりました。CATVは月あたり利用料3,900円+モデムレンタル料800円だったのですが、Bフレッツは利用料4,500円+屋内配線利用料200円+回線終端装置利用料900円+プロバイダー料2,000円で、月あたり合計7,600円かかります。
その他、サーバーをノートPCからサーバー専用機に変更したことで、消費電力がアップしまして、1カ月あたり2,600円ほど高くなってしまいました。
■最後に
最初は軽い気持ちで始めた自宅サーバーだったのに、気がついたらすごいことになっていました。私の部屋はマシンルームと化し、サーバーのファンの轟音が24時間鳴り響いております。メンテナンスにかかる手間もかなりありますし、電気代もかかります。ふと、「いったい何のためにこんなこと家でやってるんだろう?」などと思ったりすることも。せっかくここまでやったのだから、しばらくはこのまま維持しようとは思いますが、一度はまると抜けられなくなる蟻地獄のような気もし始めている今日この頃です。
■第三十景についての追記
第三十景について、「DHCPでグローバルIPをもらっているのに自宅に固定的にDNSサーバーを立てるのはマナー違反」というご指摘をいただきました。
私はDHCPのリース期限がある程度あるならば、ルータの電源を入れたままにしていればIPが変わることはないだろうと当初考えていました。しかし、結果的には一度、CATV側の機器入れ替えによりIPが変わってしまったわけですから、固定IPとは違い、常にIPが変わってしまう可能性を持っていることを証明したようなものです。DHCPのリース期間があっても、動的IPだということにはやはり変わりはなく、外部のダイナミックDNSを利用するなどして対策しないとマナー違反と言うことになりますね。
自宅にサーバーを自分で構築するということは、自動車を運転して公道を走るようなものでして、初心者だから事故を起こしても良いなんてことはないし、整備、点検はきちっと行なってから公道に出なければならないし、マナーも守らなければなりません。こうしたことに改めて気づかされたという点で、インターネットというものをより理解するためにも、自宅サーバーを立てた意味は大きかったと思います。ご指摘やご教示をいただいた方々に、この場を借りて感謝の意を表わしたいと思います。
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(2003/06/19)
■参考データ
居住地区 | 神奈川県横浜市 |
接続事業者 | NTT東日本 |
回線の種類 | Bフレッツ・ニューファミリープラン |
プロバイダー | @nifty |
スループット | 22~56Mbps(下り)、18~25Mbps(上り) |
□フレッツ ドット コム(NTT東日本)
http://flets.com/
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