■初めての経験は小学生
筆者が初めてパソコンに触れたのは小学生の時。そのころ小学校には、パソコン好きな先生(と当時は思っていたが、実際はCAIや視聴覚教育が専門だったのかも)がいて、その先生のおかげもあって学校でMSXに触れることができた。といっても、そこはまだ小学生。BASICで簡単なプログラムを書く程度だったんだけど。まぁ、いま思えば、この経験がその後の人生を大きく狂わせてしまったのではないだろうか。なぜなら、それからはコンピュータと離れずに人生を歩んでくことになるのだから。
中学校では、情報処理教育のモデル校ということもあり、他校よりもパソコンが先行して導入されていた。小学校に続いて、中学でもパソコンに触れる機会が得られたということはまさに幸運だった。高校に入ってからは、自宅で買ってもらった386マシンを使い遊んでいた。OSはWindows 3.0、3.1の時代だ。知り合いの会社のパソコンをいじるようなアルバイトもやっていたが、学生という立場では高額な電話代を払うことは不可能なので、まだパソコン通信にハマることはなかった。
大学に入学した頃は、ちょうどWindows 95以降のパソコンやインターネットブームの真っただ中。パソコンの価格もかなり安くなっていて、筆者も自作したマシンに56kbpsのモデムをつなぎ、インターネットに接続するようになっていた。もちろん、真夜中のテレホーダイタイム。まだ当時、常時接続なんていうものは個人では考えられない時代だったのだ。
■フレッツ・ISDNからフレッツ・ADSLへ
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USB接続のADSL(1.5Mbps)モデム「CREATIVE BroadBand Blaster DSL USB7410C」。電源をUSBケーブルを通して供給するため、電源容量不足で動作が不安定になることもしばしば。筆者もこれで苦労した |
時は過ぎて2000年。当時住んでいた横浜にもフレッツ・ISDNがやってきた。すでに筆者の接続環境はISDN。テレホーダイタイムに128kbps接続(MP接続)をして「おー速い!」なんて喜んでいた。いま考えると全然速くもなんともないが、それでもまだ当時は高速インターネットと呼ばれていたのだ。それがフレッツ・ISDNなら、64kbpsながら「いつでもつながっている」というかなり魅力的なものになる。もちろん、すぐに申し込んだのはいうまでもない。
しかし、申し込んだはいいが、工事の連絡どころかなんの音沙汰もない。地域のネットユーザーが集まる掲示板を見ても、みんな同じような状況。NTTはサボっているのか? と本気で考えたくらいだ。
当時ショッピングセンターのアルバイトをしていたのだが、そのアルバイト先に運良くNTTの営業が来ていた。さっそくフレッツ・ISDNのことを話してみると、責任を持って調査するという返事。あまり期待はしていなかったが、なんと翌日、携帯電話に連絡があった。発信者はNTTのフレッツ担当。いきなり10日後に工事が決定した。ラッキー!
それから数カ月。2000年も終わろうとする頃に、横浜もADSL 1.5Mbpsのサービスエリアに入った。フレッツ・ADSLという選択肢もあったが、フレッツ・ISDN導入でNTTにはさんざんな目に遭わされていたので、初期費用の高さを我慢してイー・アクセスを利用することにした。サポートなど評判の高かったDTI経由で申し込みをしたのだが、ここでもNTTと悪戦苦闘することになるとは夢にも思わなかった。
いまでこそADSLの申し込みは、せいぜい書類に記入するくらいで手間もかからないが、当時はユーザーが何から何まで手配をしなくてはならなかった。まずは電話回線を、ISDNからアナログへ変更する工事が必要だった。イーアクセスからADSLの工事予定日を聞き、それを116番でNTTへ連絡し、アナログ変更工事の手配をする。アナログ変更工事の工事日が決まるとそれをNTTの別の部署である相互接続推進部に連絡しなくてはならない。あちこちを相互接続していたのは、むしろ筆者の方だ。かなり苦労して、ようやく工事にまでたどり着いた。
当時はヒマな学生だったからできたようなもので、社会人になったいまでは、このような手配はまず不可能なんじゃないだろうか。このあたりの経緯は筆者のWebサイトで詳しく報告しているので、興味のある方はぜひそちらも読んでいただきたい。
さて、なんとかすべての工事が終了し、やっとADSLが開通。速度は1Mbps程度だったが、ISDNとは比較にならないスピードで、逆に「速すぎて気持ち悪い」と思ったものだ。
■もっともっとリモートコントロール
いまはもう、ADSLは一般的な接続手段となり、さほど苦労することもなく開通できるようになった。筆者も二度の引っ越しを経験し、現在は東京・板橋でなんの苦労もせずにYahoo! BBを利用している。常時接続でWebやメールがいつでも使えるというのは確かに便利だが、何かもっと別の活用法はないかと次第に考えるようになってきた。
話はちょっと脱線するが、筆者はかなりの健忘症だ。ヒゲをそり忘れるのは当たり前。ネクタイを忘れて会社に行ったことも一度や二度ではない(なんの自慢にもならないが)。ヒゲやネクタイならあとで何とかなるものだが、一番悔しいのは、ビデオの予約。思い出しても、時すでに遅しなのだ。不思議なもので、きちんと予約して録画しても結局見ないことも多いが、忘れたときに限ってどうしても見たくなる。みなさんにも一度や二度は経験があるのでは?
将来はすべての家電にIPアドレスが振られ、外出先からでも操作できる……という話を耳にして、それが実現できるならばビデオ予約を忘れても心配もいらない。なんとか実現できないものかと、一時期はそんなことばかり考えていた。そして、あるソフトを知ることに……。
筆者は、多くの友人たちの予想を裏切ることなく、コンピュータ関連の仕事に就いていて、そこではシステム管理をするために日本IBMの「Desktop On Call」というソフトを使っている。このソフトはインターネットを通じて別のパソコンの操作を行なうというものだ。探してみると、フリーソフトでも同様のソフトがあることがわかった。それもかなり優秀なものだという。それが「VNC」(※)というソフトであり、さらに転送速度のアップとファイル転送機能を備えた「Ultr@VNC」というソフトに出会うことができた。
Ultr@VNCの詳しい説明は省略するが、データ転送や描画に関してオリジナルのVNCよりも高いパフォーマンスを出す、VNCの亜種である。このソフトで家のパソコンが操作できれば、あとはパソコンからリモコン信号を出力して、リモコンを使った家電製品はすべて操作できることになる。
「そんなものがあるのか?」とネットで検索していたところ、あるんだな、これが。富士通から数年前に発売された「IRコマンダ」という赤外線通信ユニットと赤外線信号を出力するフリーソフトを組み合わせれば、パソコンからさまざまな機器をリモコン操作できるのだ。
そこでネットオークションでIRコマンダを入手し、フリーソフトと組み合わせて試行錯誤を重ねることしばし。今では筆者の家のテレビ・ビデオ・エアコン・コンポは外出先からでも操作可能になっている。しかも、「Wake On Lan」の活用で、パソコンに電源を入れておく必要もない。ちなみにわが家では、マシンを丸ごとクローゼットの中にしまっている。モニタとキーボード、マウスのケーブルを延長させて使っているのである。これぞ究極の(?)静音対策!
ところがこれも不思議なもので、外出先からビデオの予約操作ができるようになった途端、なぜだか見たいテレビ番組というのがなくなってしまった。リモート操作ができるようになったのに、結局ビデオはあまり録画していない。ただ、夏になってもっと気温が高くなれば、会社を出るときに部屋の冷房を入れて、家に着くころには部屋中冷えてる、という使い方くらいははできそうだ。
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シリアルポートに接続し、テレビ・ビデオなどを赤外線で制御できる富士通「IRコマンダ」。AskやIrDAでの通信も可能で、リモコン操作時の通信距離は約7m |
究極の静音を目指し、クローゼットに押し込まれたパソコン。ケーブル類を延長して手元にまで伸ばせば、意外と普通に使えるものである |
いまは会社のパソコンから自宅のパソコンを操作しているだけだが、ゆくゆくは携帯電話から自宅のエアコンやビデオを操作したいと思っている。それとWebカメラをつないで自宅の様子を会社から確認できれば、玄関の鍵の閉め忘れがないかどうかもチェックできるはずだ。とはいっても、鍵を閉め忘れたのがわかったところで、パソコン操作で鍵を閉めるのは難しいかもしれないが。
またいつか、その後の報告ができる機会があればいいと思っている。
※VNC
Virtual Network Computing。手元のマシンから、ネットワーク経由で別のコンピュータを操作するシステム。 AT&Tケンブリッジ研究所で開発されたシステムで、フリーソフトとして配布されている。
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(2003/06/27)
■参考データ
居住地区 | 東京都板橋区 |
接続事業者 | Yahoo! BB 12M |
回線の種類 | ADSL |
線路距離長 | 1,350m |
伝送損失 | 19dB |
プロバイダー | Yahoo! BB |
スループット | 8Mbps |
□Yahoo! BB
http://provider.bb.yahoo.co.jp/
□フレッツ ドット コム(NTT東日本)
http://flets.com/
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