■線路の向こうとこっちは違います
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東北本線を挟んで、自宅とお店がある。線路の向こうとこっちでは、インターネット接続に大きな隔たりが…… |
筆者が住んでいるのは岩手県金ケ崎町というところ。簡単にいえば田舎なのだが、東北自動車道は通っているし、東北新幹線も走っている。地方の街道沿いの街といった感じだろうか。
そんな金ケ崎町では、ちょっとした場所の違いでADSLやISDNが来ていたり、いなかったり。現在筆者は、父と一緒に写真スタジオを経営していて、お店は国道4号線沿いの東北本線の西側にあり、ここではバッチリADSLが使える。自宅は東北本線から東側にあり、フレッツ・ISDNがやっと来たという感じ。お店と自宅では、ずいぶんと接続環境が違っているのだ。
■自宅編:やっとフレッツ・ISDNがやってきた
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自宅のマシンはGatewayのG6-400。メモリ256MB+256MBに、増設HDDが17GB。日本からは撤退してしまったが、マシンはまだまだ元気。スキャナー、カラープリンタなどをつないで現役で使用中 |
以前、横浜に在住してカメラマンをやっていたのだが、1999年初頭に実家の都合などで岩手に帰ってくることになった。横浜から移転すると同時にISDNを申し込んだが、「そちらのエリアの電話交換局は、まだISDNに対応していないので、ISDNをお使いになれません」という返事。同じ町内でもいくつか交換局があり、局番も違う。それでISDNが使えるエリアと使えないエリアがあるそうな。仕方なくアナログ回線を利用することにしたのだが……。
プロバイダーは横浜で使っていたInfoWeb(現@nifty:1999年11月にニフティと統合した)をそのまま使用することにした。だが、アナログ接続のアクセスポイントは、一番近いところでなんと盛岡! 直線距離でも60kmほどある。これはたまらん……と、1999年3月当時お店に営業に来ていたNTTのおばちゃんの顔を立ててOCNに加入した。OCNなら、電話局のあるところのほとんどにアクセスポイントがあるのがメリットだ。それにしても、田舎は選択肢が少ない。結局は全部NTTになってしまうのだから。
営業のおばちゃんには、「ISDNが来たら、ウチをいちばん最初にやってくれ」と念を押しておいた。そのおかげ(?)か、あまり待たされることもなく、ISDNが同年の6月にやってきたのだ。もちろん地域で一番乗りだった。最初ということもあり、NTTの技術担当スタッフも自宅にやってきた。彼とは仲良くなり、その後も何かとお世話になった。なにしろ筆者はパソコンや回線にあまり詳しくないので、インターネットの接続設定などでかなり助けてもらったのだ。いまは盛岡の営業所へ転勤されたようだが、この場を借りてお礼を言いたい。
さて、ISDNを「ガンガン使うぞー」と思って、OCNの「ダイヤルアクセスロング(月100時間で1,950円)」に申し込んだ。当時はまだフレッツなんて言葉もなく、たっぷりインターネットするには最適だと思っていたのだ。しかし、コレは3年縛りだった。当時はこんなにもインターネット環境が急速に進歩するなんて思ってもいなかったので、まぁいいか……と思っていた。
今年になってやっとフレッツ・ISDNがやってきた。フレッツ・ADSLじゃなくて、フレッツ・ISDNだ。それもつい先日の話。もちろん、いの一番に申し込んだが、正式な開通は7月からなので、いま工事を待っている状態だ。それで今回、OCNのプランを見直したら規約が変わっていた。ダイヤルアクセスロングを契約した当時は、「途中で変更したら違約金とるぞぉ~」なんていってたのに、いつの間にか「OCNを続けてもらえるならプランを変更してもOKです」と、ずいぶん低姿勢になっていた。ADSLやFTTHがこれだけ普及してくると、ダイヤルアップで3年っていうのにはムリがあることに気付いたんだろうか。いずれにしてもラッキー!
さて、もうすぐやってくるフレッツ・ISDN。とても楽しみだ。筆者がひとりで上手く接続できるかどうかは不安だが……。
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自宅で活躍しているルータはNTTが販売していた「MN-SOHO128 SL11」。当時、69,800円もした! |
自宅側の回線を管理している「南町中継局」。これがADSLに対応してくれればいいのに。ちなみに後に見える展望台は、役場 |
■お店編:仕事のシステムとの混在がネック
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岩手県は金ヶ崎町、国道4号線バイパス沿いにある「フォトスタジオ光影社」。近くまで来ることがあったらぜひ寄ってください |
続いてはお店の話。冒頭で述べたように、国道4号線沿いで写真スタジオ「フォトスタジオ光影社」というお店をやっている。場所は、東北本線からは西側。こちらは自宅のある東側よりも進んでいて、最初からISDN回線だった。
お店には「フロンティア」という富士フイルムのプリントシステムが置いてある。デジタルカメラのデータはもちろん、ネガやポジフィルムからも短時間でプリントできるという便利な代物なのだが、お値段はなんと1,800万円! これの保守点検はオンラインで行なわれ、そのためにルータにフロンティア専用のIDが割り振られている。この設定はいじったらダメだと厳命されているので、ほかのパソコンをつなぐことができなかった。
2002年のはじめ、店がヒマなのに乗じて、ここでもインターネットをやろうかともくろんだ。というのも、2002年2月からはADSLが使えるようになるらしいのだ。しかし、回線を変更しても、ルータにはパソコンを接続できない。どうすれば……と悩んでいたところ、知り合いが電話権利が余っているので譲ってくれるという。もちろん即買い取り。すぐにADSLに申し込んだ。
例によってエリア開通の初日に工事してもらい、おなじみの技術担当の方も来店。回線からパソコンまで全部セットアップしてもらった。感謝。
プロバイダーは自宅と同じOCNでもよかったが、「ぷらら」のフレッツプランが安かったのでぷららと契約した。しかし、電話はお店に引いた業務用回線なので、一般の家庭向き回線よりも基本料金が若干高くなってしまった。
そんなわけで、お店ではバッチリADSLが使えるようになった。1.5MbpsのADSLだが、ISDNよりもずいぶん速い。先日、自宅とお店で同じ画像をダウンロードしてみたら、お店では2分でダウンできたものが、自宅では20分もかかった。体感的にも10倍くらいの違いを感じる。
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これが「フロンティア」。右にちょっと見えるのがフィルム現像機、手前のマシンでフィルムのスキャン、色調整を行なって、奥の青いプリンタで出力。左端のマシンがデジカメ用のリーダーとパソコン。こちらも画像調整ができる |
お店の回線口。ADSL用のアナログ回線と、ISDNの回線が開いている |
(2003/07/03)
■参考データ(お店のADSL)
居住地区 | 岩手県胆沢郡金ケ崎町 |
接続事業者 | NTT東日本「フレッツ・ADSL 1.5M」 |
回線の種類 | ADSL |
線路距離長 | 1,930m |
伝送損失 | 24dB |
プロバイダー | ぷらら |
スループット | 856kbps(ぷらら実測) |
□フレッツ ドット コム(NTT東日本)
http://flets.com/
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