■VDSL難民
満を持して2002年12月、NTTがマンションタイプに高速なVDSLを投入してきました。今までのBフレッツ マンションタイプはHomePNA2.0方式により最大で10Mbpsですが、今度のVDSLはなんと最大50Mbpsもの高速ブロードバンドサービスです。
HomePNA2.0の速度に特に不満はなかったのですが、ほぼ同じ金額を払う場合なら、速い方が良いの当然でしょう。早速私はNTTの営業さんにコンタクトし「HomePNA2.0との共存可能か」との質問をしたところ、「干渉し、HomePNAのユーザーに悪影響の可能性がある」との事でした。従って、VDSLへの変更には、「現在のHomePNAユーザー全員の変更が必要」と言われ、がっかりしました。
つまり、NTTの営業さんが危惧するようにVDSLに移行しない人が不通や速度低下になったら、理事会で承認して導入していますから、マンション全体での問題になる可能性があるということです。結果、加入者全員の変更希望を取りまとめるのは難しいと判断し、VDSL変更は見送ることとしました。
■マンションから動画配信
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バイクでサーキットを走っていた頃のビデオを動画データに編集して自宅サーバーにアップロード
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一方、VDSLのマンションタイプが始まってから、私の心の中に「本当に50Mbpsは必要なのか?」という疑問が湧いていました。IP電話は、そこまで速度は必要なさそうで、50Mbpsの速度を必要とする魅力的なブロードコンテンツも見当たりません。一般的に、6~10Mbps も下り速度が出れば全く実用には問題ないと思いました。残るは、自宅サーバーを活用した個人の動画配信や、ビデオチャットなどの新しい試みを行なった場合に、果たしてHomePNA2.0の速度で問題がないかです。
そこで実際に下記のテストを行なってみることにしました。
(1)動画を自宅サーバーにアップして配信した場合
(2)ライブ画像を配信した場合
(3)ビデオチャットした場合
(1)動画を自宅サーバーにアップして配信した場合
かつて私は、バイクでサーキットを走り回っていました。その時のビデオをパソコンにMPEG1で取り込み、MovieMaker2で編集しました。そしてMediaEncoder9を使ってWMV形式で保存し、自宅サーバーにアップロードしました。次にXMLという専用のタグで、メタファイルというファイルをメモ帳で作成し、asxkatsumiride.asxという名前で保存し、こちらもアップしました。
例)メタファイルサンプル asxkatsumiride.asx
(※実際のファイルはこちらでご覧いただけます)
<ASX VERSION="3.0">
<ENTRY>
<REF HREF="http://自宅サーバー/asxkatsumiride.wmv">
</ENTRY>
</ASX>
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次に、自分のホームページに、上記のメタファイルへのリンクを作成すれば完了です。このファイルをホームページ上で実行すると、MediaPlayerが自動起動して、記述されているアドレスの動画にアクセスし再生が始まります。1、2分程度の動画なら、多少画像は荒いですが、動画で走る様子を伝える事が出来ました。結果として、10Mbpsのマンションタイプ(HomePNA2.0)でも十分簡単な動画ファイル紹介はできると思いました。
(2)MediaEncoderでライブ画像を配信した場合
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今度はライブ中継にチャレンジ
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今度は、自宅サーバーに、Windows MediaEncoder9をインストールし、ライブ中継にトライしました。まず、ソフトをインストールしたら、USBカメラもしくは、キャプチャーボード搭載されていれば、ビデオカメラを接続します。そしてMediaEncoderを起動し、動画の取り込み、配信設定を行ないます。
次にインターネット上の外部からライブ中継を見られるようにします。私の場合は、既に無料のダイナミックDNSを、自宅サーバーで運用中なので、そのまま同じドメインで構築する事としました。ルーター経由しているので、WAN側の8080にアクセスがあった場合に、LAN側でMedia Encoderの稼動しているマシンのポート8080にフォワードされるように、ルータの設定を変更しました。以上の作業のあと、クライアントのMediaPlayerからhttp://自宅サーバー:8080/にアクセスすると、無事ライブ中継が見られました!マシンは、セレロンの1GHzでしたが、近所の電気店から、部屋の様子を見る事ができて一人で感動してました(笑)。結果、簡単なライブ配信なら、10Mbpsのマンションタイプでも十分使える事がわかりました。
(3)ビデオチャットした場合
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あまり期待せずに試してみたカナダのEyeballChatという無料ソフト。ルータ超えもできるなど使い勝手は意外に良かった
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ブロードバンドならではの使い方と言えば、ビデオチャットを思い浮かべる方も多いのではと思います。私もその1人で、PCにUPnP対応のルーター、USBカメラを繋げて、WindowsMessengerやYahoo!Messengerを試しましたが、WindowsMessengerでは接続できない事が多く、まだまだ使いにくさを感じました。
そんな時、カナダのEyeballChatという無料ソフトを知り、あまり期待せずにインストールしてみました。すると、ルータを超えて県外のADSLの友人とビデオチャットが出来ました。新年の挨拶をビデオチャットで行なえた時は、ブロードバンド環境の良さを体感できた瞬間でした。この結果、ビデオチャットが接続できない原因は、UPnP接続がうまくいかずルーターを超えられない等の接続そのものに関する問題であり、速度に関しては10Mbpsのマンションタイプで大きな問題はないと言えます。
以上、動画コンテンツ配信・ライブ配信・ビデオチャットを試した結果、速度に関しては、10Mbpsのマンションタイプで十分だと思いました。実際の計測サイトでの結果は、下り6~7Mbpsで、上りは2~3Mbpsですが、この程度速度があれば、遊ぶには十分と言ったところでしょうか。今後、動画配信で新作映画を配信するようになるまで、50MbpsのVDSLへの変更は急ぐ必要はないと結論しておきます。
■USEN登場
以上のように、動画を中心に、Bフレッツマンションタイプで、有意義に遊んで1年近くたったある日、親しい理事会の方から「USEN(有線ブロードネットワークス)に加入希望者から問い合わせがあった」と連絡がありました。早速エリアを調べると、南大沢は完全にエリア内になっていました。うちのマンションへのブロードバンド導入に関しては、理事会に一任されていますので、営業にコンタクトをとってもらい、説明会を開催してもらうこととなりました。そして2002年の4月某日に開催しました。
当日5名程度の参加者でしたが、USENの営業さんの基本的な説明を受けてから、質疑応答となりました。私は下記に関して確認しました。
(1)機材設置(MDF室)や共有部分の工事費及び、その設備の電気代はどうなるのか?
→設置の工事費用はUSEN負担で、稼動後の電気代に関しても同様の対応とのこと。
(2)現在BフレッツのマンションタイプのHomePNA2.0であるが、VDSLとの干渉問題は起きないのか?
→USENのVDSLは、帯域調整を行なっているので、HomePNAと干渉することはないと考え、もし、トラブルが起きたら、迅速に対応するとのこと。
(3)最低加入人数縛りはあるのか?
→1人でも加入申し込みはできるとのこと。
以上の確認の結果、理事会で問題はないと判断され、5月に行なわれた通常総会の議案に、USEN導入も盛り込んでもらい、無事に議案が承認されたので、USENの導入が決定しました。結果、VDSL設置及び開通作業などは、次期理事へと受け継がれました。
■管理組合とIT
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USENのブロードバンドを管理人室へ導入することを提案
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いよいよ、うちのマンションに、CATV、Bフレッツに続いてUSENが導入目前となり、工事日の決定を待つばかりでした。そんなある日、恒例のマンションの理事を決める集会に参加しました。最強のくじ運の私は、見事大当たりで、なんと理事長となりました……今までの勉強不足や、理事会活動への無関心が祟り、やる事なす事失敗のスタートになったのは言うまでもありません。
悪戦苦闘の中で、さらに状況を悪化させるのが、理事のメンバーとの連絡です。建物関係のトラブルは建築理事へ、ゴミのトラブルは環境理事へ、経理関係は会計理事へなどなど、その都度理事長は各理事と連絡を取り合わなければいけません。しかし、各自通常の仕事の合間に活動しているのは当然で、土日の家族サービスも頭の痛いところ。各理事とは、会えないまま、期日だけが迫ってくるという日々の始まりでした。
2年目の理事さんとお話してみると、昨年あたりから、メールを使う事が増えたようで、今年は8人中6人の方がメールでコンタクト可能でした(3名は会社)。また、管理人さんも、昨年より、モデム内蔵のノートパソコンをダイヤルアップ接続経由で使えるようになっており、メール送受信可能な環境になっていました。
そこで、この状態を改善するためxに、電子メールでの連絡を、積極的に行なう事にしました。メールを多用することにより、理事長が承認をする必要がある事柄や、急ぎの報告などが、スムースに伝わるようになってきました(ただし、本当に緊急な事は電話ですけどね)。
一方弊害も現われ始めました。理事会のメンバーのうち、メールアドレスを持っていない方と、持っている方への情報の格差が生まれてしまったのです。ついついメールアドレスを持っている方へばかりメールで連絡をして、持っていない方への連絡を怠ってしまい、その結果、理事会の運営に支障が出てしまいました。現在は、なるべく同じ内容を印刷し投函するようにしています。
また、違うトラブルも起きました。管理人さんとメールでのやりとりが増えるにつれ、管理人室の電話が話中になる事が多くなり、偶然ダイヤルアップ接続中に、急ぎの電話を管理人室へした方から、「話中でつながらない」というクレームがありました。ほんの僅かな時間でしょうが、用のある方から見れば話中でつながりにくいと思われてしまいました。
そんな中、以前から旧理事さんと、理事会にもブロードバンド回線を導入した方がいいのではと、何度も話をしていましたので、確認をすると、その意向はUSENへ伝えてあるとのこと。また、本年度の予定の中に「ホームページの試験運用」もあるので、早速理事会メンバーに、現在のダイヤルアップ接続ではなく、USENのブロードバンドを管理人室へ導入することを提案し、同意を得られました。さあ、あとは、マンションへのVDSL設置を待って、理事会にも回線導入です! 次回ご期待下さい。
(2003/08/07)
■参考データ
| 自宅 | 管理組合 |
居住地区 | 東京都八王子市南大沢 |
接続事業者 | NTT東「Bフレッツ マンションタイプ」 | 有線ブロードネットワークス |
回線の種類 | FTTH(HomePNA2.0) | FTTH(VDSL) |
プロバイダー | ぷらら・エキサイト | 有線ブロードネットワークス |
スループット | 下り6~7Mbps | 下り8Mbps以上 |
□フレッツ ドット コム(NTT東日本)
http://flets.com/
囗有線ブロードネットワークス
http://www.usen.com/
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