■USEN開通
「お世話になっております。通信機器設置工事及び光ファイバー開通工事日が決定しました。」
1通のメールが来ました。うちのマンションの理事長となり、初めて外部から受けたメールでした。そうです、USENの工事が2003年6月9日に決まりました。最初にBフレッツをUSEN専用に引く工事です。そのあと現在のマンションタイプ用HomePNA2.0本体のあるMDF室に、USENのVDSL装置が設置され、最後にそのVDSLと加入者のメタル回線を接続すれば工事完了です。
多少マイナートラブルがありましたが、6月18日についにVDSLとユーザーが接続され、無事サービスが開始されました! 第1号の方へ聞いたところ、10~11Mbpsの速度が出ているとのこと。まったく実用上問題ない速度で、Bフレッツマンションタイプ(HomePNA)の約2倍の速度とは羨ましい限りです。これで、ダイアルアップ、ISDNのナローバンドのサービスに加え、以下3つのブロードバンドから選べる環境になりました。
(1)多摩テレビCATVインターネットサービス
(2)NTT Bフレッツマンションタイプ(HomePNA)
(3)USEN BROAD-GATE 01 Type V マンション
あまり、PCをやらない人はCATV、2セッション&プロバイダーを選択したいヘビーな人はBフレッツ、低価格で10Mbps以上のコストパフォーマンス重視の人はUSENと、バリエーション豊かなブロードバンド環境です。その後、管理人室のインターネット環境も、予定通りUSENとなりました。これで、管理人さんと、こころおきなくメール、いえビデオチャットも可能ですね(行った方が早い? 笑)。
|
|
USENのVDSLラックは、非常にコンパクト
|
管理人室は遅めで8Mbps
|
■ラストワンマイル~ラストワンルーム
|
手前がAR230Eで、サーバー用。奥の下段がHomePAN。その上がSWハブ
|
さて、マンションの各部屋まで、確実にブロードバンドの回線が来たので、ラストワンマイルは解決しましたが、私の部屋では「ラストワンルーム」の違った問題が発生していました。
「ちょっと、この配線邪魔なんだけど」家内から何度となく、掃除の際にLAN配線に対するクレームがありました。私は、子供の成長とともに、荷物が減り、部屋も無くなり、タバコも消えました(笑)。それはともかく、居間の最初に電話回線が来る所に、HomePNA室内機を置いています。そして、すぐにSWハブを接続し、そこで1台目のルータ(プロバイダー:ぷらら)に接続され、反対側の大きめのパソコンデスクまでLAN配線し、再度SWハブを介して、クライアントパソコンに接続です。
一方、Bフレッツの2セッションを活用し、HomePNAに繋げたSWハブから、2本目のLAN配線を、かなり離れた子供部屋まで配線しました。そして、もう1台のルータ(プロバイダー:エキサイト、SWハブ内臓)を接続し、そこから子供のパソコンに接続。さらに、そのルータから隣の物置部屋まで配線し、サーバーマシンにたどりつきます。
当然、この後者のLAN配線は、細めのLANケーブルとはいえ、居間から天井・壁・床を使い、掃除には気を遣わせる結果となっています。LANケーブルを各部屋で引きたいとも考えていたのですが、Bフレッツファミリータイプの配管調査で電話のメタル配管にスペースがあまりないことが判明したので、あきらめていました。
■無線LAN購入
そんなある日、最近購入した低価格ルータが、あまり安定せず、しかも
、ポートフォワードの設定が不得意であることが判明しました。そこで私は、家内を説得し(4時間に渡る大熱演の末)、ついに初めての無線LANアクセスポイント付のルータを購入しました。無線LANカードセットでしたので、あとは、デスクトップ用に、PCIカードタイプの無線LANカードもゲットしました。
購入したのは、コレガのWLBAR-54GTです。詳しいスペックはコレガの製品情報をご覧ください。早速セットアップし、クライアントマシンは、アキバで7500円でゲットし、起動ディスク作成から頑張って復活させたノートTHINKPAD560Xです。ちょうど管理事務所で、USENの接続テストをしていたので、管理事務所から集会場までの、薄い壁をはさんでの、無線LAN速度テストを行ないました。
|
|
コンパクトなVDSLモデムです
|
コレガのWLBAR-54GT
|
|
|
同じ部屋で、7Mbps出ました
|
隣の部屋で、6Mbps出ました
|
以上から、壁が厚くなければ、十分無線LANでラストワンルームを解消できると思いました(7Mbps前後の速度でした)。速度も実用には十分だと思います。その後自分の部屋に戻し、家族全体でブロードバンド利用し大変満足できる環境になっています。
■無線LANで監視カメラ
|
こんな感じです
|
このブロードバンドと無線LANを見て、すぐに思ったのが、常時接続の監視カメラです。この1年で、デスクトップパソコンと、有線LANによる監視カメラやライブ中継などは実践してきましたが、いつも電源とLAN配線の為、置く部屋が制限されていました。しかし、今度からはノートパソコンさえ常時稼動できる環境があれば、フリーソフトで監視カメラです。ノートパソコンとUSBカメラ、フリーソフトの組み合わせで簡単に監視カメラ環境ができます。
無線LANが稼動しているノートパソコンに、USBカメラを接続し、必要なソフトをインストールします。続いてLiveCaptureなどの、FTPアップロード機能付の動体キャプチャーソフトをインストールします。その後、玄関や駐車場に面した窓の側に本体&カメラを設置し、キャプチャーソフトを開始。キャプチャーソフトで動体を撮影したら、自動FTP機能で、自分のHPにアップロードします。ソフトによってはキャプチャ画像のメール送信もできますので、HPを持たない方は、そちらが良いでしょう。
これで、HPにアクセス、またはHPを持たない方ならメールをチェックすれば、ペットや子どもの様子をチェックするほか、空き巣の通報などにも使えるでしょう。もう少し速いマシンがあれば、無線LANライブ中継にもチャレンジしたいところです。
【サンプル】(南大沢ブロードバンド無線LAN&LiveCapture)
http://cgi30.plala.or.jp/freewill/view19.cgi?dir=photo
■これからのブロードバンド
|
私の空間。完全にマニアですね(笑)
|
ここまで、うちのマンションへのブロードバンド導入と活用について、ご紹介してきましたが、このブロードバンド百景の執筆を通じで感じたことを最後に総括したいと思います。
最近のIT関連のニュースでは、相変わらずキラーコンテンツの登場に期待を寄せ、誰かがやってくれるのを待っているように感じます。また、著作権による制限を嘆く人も多く、せっかく導入したブロードバンドが活用されないと、誰もが感じているかと思います。しかし、実際にマンションの住民として、そのような期待と、実際の「現場」では、ブロードバンドに対する感覚の隔たりがあるように感じました。
動画配信などのキラーコンテンツに関して、まだまだテレビでも、今後デジタル化が進めば、十分新サービスは可能かと思います。結果、動画配信などは、ブロードバンドで行なう必要性は、意外に薄れるかもしれません。
また動画配信に関しては、確かにオンデマンドは魅力的ではありますが、一部メーカーの映画やアダルト関係での、1,500~3,000円という低価格DVD販売は、ユーザーとしては魅力的です。人間には所有欲がありますので、オンデマンドサービスも過度な期待は禁物かと思います。また圧縮技術の向上も目が離せないでしょう。未知数ではありますが、もしかすると、ADSLでも動画配信が十分なクオリティで可能になるかもしれません。現在のコンテンツでは、実際には20Mbpsもあれば十分だと思いますので、私も含めてスループット計測マニアにならないように気をつけたいものですね。
■ブロードバンドをインフラへ
|
子供部屋にもパソコンを!
|
今回マンションの理事活動を通じて実感したのは、ブロードバンドどころか、まだまだインターネット環境に縁がない人が多いのではないかということです。地域によるデジタルディバイドはわかりやすいですが、実はその縮図が東京近郊のマンションでも、まだまだあるのです。
「ちょっと明日電話して」
これは、どんな年齢層で、どんな職業の人でもお互いに可能なコミュニケーションですね。「携帯にメール頂戴ね」もいけますね。
「パソコンにメールして」
ここで、急にできる人が減るような気がします。最近は、携帯メールの方が多いかもしれません。しかし、理事活動などは、日本全国のマンションの事例をGoogleで検索しながら、必要な情報を整理し、勉強しながら、その内容を他の理事に伝えたり、まとめたりします。このような細かい作業、文章化が伴う活動には、電子メールはうってつけだと私は思います。
せっかくブロードバンド導入できたのですから、住民のインフラとして、ふだんの生活に必要な基本的な設備や仕組みとして、電話と同じくらい簡単に扱えて、普及率が上がって欲しいと切に願います。
そうなれば、マンションの理事活動はもちろん、近隣団地や自治体との連携も電子メールやインターネットを中心とした新しいコミュニケーションが生まれるでしょう。そうならないと、キラーコンテンツは、ブロードバンドからは生まれないような気がします。速度を追求するのも良いですが、本当にキラーコンテンツなるものを望み、経済効果を期待するなら、誰もが欲しいと思う前に、誰もが使えるようにしなければいけないのではないでしょうか。
少子化が進む現代で、全人口に対して、ブロードバンド環境(パソコンも含む)普及率がもっと上がれば、小さなビジネスでもキラーになる可能性を持てると思いました。今後、マンションのホームページ作成や、マンション住民のパソコン同好会などボランティアを募って、うちのマンションでは、電話の次に有効なインフラになるように頑張ってみたいと思います。
■情報発信するブロードバンド
ブロードバンドに期待する事として、マンションのインフラ化についてまとめましたが、それ以上に私自身が体験し期待するのは、「情報発信」としてのブロードバンド利用です。ホームページを持つ人は、今や珍しくありませんが、マンションへのブロードバンド導入情報の少なさを打開するために始めたサイト「南大沢ブロードバンド」では、見てくれた方から、貴重な意見や情報を沢山頂きました。時には、プロでも知らないような情報を教えて頂いたこともありました。そして、その情報をホームページで紹介したり、自分のマンションで活かしたりしました。
あまりにも多くの情報が氾濫するこの時代、重要な情報を的確に整理し、必要とする人へと受け渡しをすることが、非常に大切だと感じました。たくさんの「人」に支えてもらいながら、ブロードバンドに積極的に関わることで、結果「ホームページ」そのものが情報の源となり、デジタルの世界に、「人」と「人」のコミュニケーションが生まれていく。体験が経験になり、新しい「何か」が生まれていく。そんな流れの中で、これからも、私にもできる活動を続けて行きたいと思います。
(2003/08/12)
■参考データ
| 自宅 | 管理組合 |
居住地区 | 東京都八王子市南大沢 |
接続事業者 | NTT東「Bフレッツ マンションタイプ」 | 有線ブロードネットワークス |
回線の種類 | FTTH(HomePNA2.0) | FTTH(VDSL) |
プロバイダー | ぷらら・エキサイト | 有線ブロードネットワークス |
スループット | 下り6~7Mbps | 下り8Mbps以上 |
□フレッツ ドット コム(NTT東日本)
http://flets.com/
囗有線ブロードネットワークス
http://www.usen.com/
|