ワシはどうも形から入らないとダメなのである。しかも新しいモノ大好き! 何かあるごとに理由を付け新しいモノを購入しては失敗していたりするのである。…って、最近じゃ理由を付けることもないのだが。
ブロードバンド、いやいやそんな言葉も一般に知られていない頃――2.4kbpsのモデムが5~6万円する頃からパソコン通信にはまり、新しいモデムが出るたびに買い換えたりしていたのを覚えている。十数年経つ今でもやっていることは変わらなかったりするのである。すまん…嫁さん。
■OCNエコノミーで128Kbps常時接続
さて、ブロードバンド百景。いつから書けばええんやろ? とにかく通信に興味を持ち始めたのは、前記した通りパソコン通信でチャットやBBSにはまった頃、十数年前の話である。しかし、そのころは単に興味としてやっていただけ。仕事としてメールや通信に関して意識しだしたのは、約10年ぐらい前のことだったと思う。仕事で大容量のデータ(3MB以上のデータ)のやりとりをするようになってからのことである。その当時、通信費は月3万円を超えることも珍しくなくなり、かなり通信費に対して感覚が麻痺しだしてきていた。それでも接続しっぱなしでWebを巡回して資料を探すっていうことには、いつもドキドキしていた。そして、56kbpsのモデムが出て、さらにはISDNを利用すれば128kbpsでの接続が可能になり、かなり通信環境は良くなってきていたのだが、それでもやはり時間で課金されるっていうのには精神的な不安がいつもつきまとっていた。そんな頃知ったのがOCNエコノミー。確か4万円ぐらいのサービスだったが、128kbpsでの常時接続っていうことに大変魅力を感じ、知ったと同時に契約した。
ISDNを使っていた頃は、2回線を利用すれば128kbpsで利用できたが、通常は1回線利用の64kbpsで接続していた。仕事の電話も同じ回線を利用していたので、長時間話し中にするのは避けたかったためである。それだけに常時128kbpsで接続できたのには大変感激したのを覚えている。さらに、どれだけ使っても定額っていうのが精神的にすごく楽になった。
仕事の方法も変わった。それまでは、仕事に関しての調べものは、まず書籍や辞書で調べて、見つからない時にWebを巡回するという流れであったが、まずWeb上で探して…というように変わったのである。これは仕事の効率を上げることになった。席を立つことなく、原稿を打ちながら調べものができるようになったのである。
■ADSLを知って
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月約4万円のOCNエコノミーでもISDN(1B)以下、さらにはアナログモデム56kbps以下ということも当時はあった
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さて、このOCNエコノミーであるが、最初の頃はすごく速くて満足していたのであるが、やはり人間は慣れるもの。だんだんとその速度に不満を感じるようになってきた。また、価格が安くなってきたため加入者が増えたのか、その理由は定かではないが、ものすごく遅いと感じる場合も出てきたのである。ひどい時には56kbpsのモデムよりも遅いってことがあった。NTT側に何回か苦情の電話をしたことがあるが、いつも決まって「OCNエコノミーのサービスは、複数の人で利用できるサービスのため、多くのユーザーが使って負荷が高くなると遅くなるのはしかたがない」というような説明だった。
理論的には納得できる。しかし、モデムよりも遅いくせに値段はべらぼうに高い――そりゃおかしいんちゃうか――みたいな憤りを感じながらも、それしかサービスがないのでなんとなくそのままにしていたところ、ADSLというサービスを耳にした。なんと下りで1.5Mbpsも出るんだという。しかも値段はかなり安価。そりゃすぐに導入せねば……と思ったのだが、ADSLの導入にはけっこう時間がかかってしまった。ワシの住んでいる場所への対応が遅かったからである。それから半年ぐらい待っただろうか、やっとADSLが導入できる状況となり、すぐに契約した。
ワシのところにはISDN回線が引かれている。ADSLはISDN回線では利用できない。しかし、ISDNをやめるわけにはいかないので、新たにADSLのための配線をしてもらうことになった。契約して実際に工事が行なわれるまでに数週間待たないといけなかったが、とにかくADSL環境になった。速い。OCNエコノミーと比べてかなり速い。大満足である。やっと価格的にも、数値的にも満足できる通信環境を手に入れ、売れっ子ライターへの道をたどることとなったのだ。めでたしめでたし。
■まだまだ! 売れっ子ライターへの道は遠し
……というわけにゃいかんかった。なぜなら、ワシらの仕事は下りが速いだけじゃアカンのである。デジカメで撮影したデータや画面キャプチャなどを送ったりしなくてはいけない。多い時には10MB以上のデータを送らないといけない。以前は、宅配便を利用してMOなどで送っていたが、大阪在住であるためどうしても1日かかってしまう。いつも〆切に追われていることを考えると、この1日は大きい。
メールで送ることができたら……。いや、確かに常時接続なんやから、10MBのデータでも時間さえかければ送れないことはない。しかし、1時間とか2時間とかかけてメールを送るっていうのはどうもねぇ。ほったらかしにしておいてもいいのだが、そういった時に限って切断されていて、送れなかったりするんだよなぁ。ということで、もっと速い環境を探さなくてはいけなかったのである。 (後編に続く)
(2003/09/25)
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