昨年の7月、いよいよ我が家にもブロードバンドが導入されて、快適なインターネットが楽しめるようになりました。サービスは「パワーバンド」という会社のVDSLサービスを利用することになったのですが、ここまで来るのに光収容マンションという条件のため、けっこう大変でした。その経過をご紹介したいと思います。
■ADSLが導入できない!
2001年春、今のマンションに引っ越したのですが、これを機に今までのアナログ回線からADSLに変えようと思っていました。というのも、それまで使っていたダイヤルアップ接続(月10時間までの電話代コミのコース)では、制限時間以上に使ってしまい、超過料金が毎月取られるような状況になっていたからです。
いろいろと調べた末、NTTのフレッツADSLに申し込んだのですが、返ってきたのは、「お宅のマンションではADSLは使えません」という返事。そんなことがあるとは思わなかったので最初は半信半疑でした。NTTの説明では、マンションに入っている回線がすでに光化されているのでADSLは使えない、光ファイバのサービスが始まるまで待てとのこと。当時はいち早く最新のインターネットサービスで光ファイバの高速体験ができると思って喜んだものでした。
そして同年夏、NTTからBフレッツのサービスが発表されました。その時はやっとブロードバンドライフが送れると思いました。しかしいろいろ調べていくと、その初期費用の高いこと高いこと。工事費だけで30,000円くらいかかるというのです。それに月額費用も私の入っているプロバイダーでは10,000円近くかかることがわかり、光ファイバはあきらめて、それ以外のブロードバンドサービスを調べてみました。真っ先に思いついたのはケーブルテレビですが、私の住んでいる地域はケーブルテレビがないということがわかり、それも不可となったのです。
少し時間が経ってから、Bフレッツには格安のマンションタイプがあることを知り、マンションで導入できないかと不動産屋に問い合わせてみました。しかし不動産屋は話に乗ってくれません。同様の問い合わせがないわけではないが、不動産屋内でまったくブロードバンド導入の話が持ち上がっていないとのこと。すでにブロードバンド導入済みのマンションが増えているというのに……。
■マンション導入の困難さ
次に思いついたのは、管理組合に話をしてみることでした。管理組合から不動産屋に話を持ちかければ、状況は変わるかもしれないと思ったからです。ただ、新しいマンションということで、管理組合も発足してまだ間もなく、不安がないわけではありません。そうこうして管理組合に出す意見書を考えているうちに、管理組合の総会で組合長が辞めるとかで、まったく管理組合が機能していない状態になってしまいました。どうやら不動産屋との確執もあったようです。
Bフレッツにはベーシック、ファミリー、マンションの3つのタイプがあって、一番安いのはマンションタイプ。私ももちろんこれを考えていたのですが、そのためにはひとつのマンションで最低16世帯の導入希望を集めなければなりません。管理組合にかけるのが一番楽なのですが、管理組合がこのような状態ではそれは難しそうだと断念しました。
次に安いのがファミリータイプ。これは1世帯からでも加入できます。しかし光ファイバを導入するからには工事が必ず必要となります。この大掛かりな工事をマンションで行なうためには、やはり管理組合の承認がいるのです。管理組合の現状、ファミリータイプでの高い導入コストなどから、結局Bフレッツはあきらめることにして、それから半年近くはアナログでつなぎ続けることになったのです。
■IT砂漠地帯
ある日の夕刊記事に「IT砂漠地帯」という言葉を見つけました。記事を読んでみると、NTTが将来を見越して光収容にしたためにADSLが導入できない地域が「IT砂漠地帯」と呼ばれていたようです。まさに私が今住んでいる地域のことでした。この時点では光ファイバはなかなか浸透せず、NTTの見当違いではないかと言われていたくらい。私も勝手に光収容をしたNTTを恨んだものです。
しかし同年後半あたりから、こうした問題が話題になった影響もあってか、光化されたマンションでも簡単な工事で(宅内工事)、低コストで導入できるサービスがいろいろな会社から出始めたのです。
■パワーバンドとの出会い
そして2002年春、この地域でもマンション対象の高速なサービスがあることを知りました。それは「VDSL」という方式で、局からマンションまでは光ファイバ、マンション内は既存の電話回線で通信を行なうというものです。まさに光化されたマンションにぴったりの通信方式で、私のマンションへは「パワーバンド」という会社がサービスを行なってくれるようです。
このパワーバンドという会社は雑誌の広告で見つけたもので、あまり一般的に知られているようには思えなかったのが心配でしたが、マンション専門のブロードバンドサービス会社として多くの導入経験があるということなので、この業者に申し込むことにしました。
選んだポイントは、1世帯からでも導入できる、大掛かりな工事が必要ない、導入や月々のコストが安い、そして導入時に管理組合などにコスト的な負担がかからないということです。私にとって最大の利点は、業者のほうで管理組合に交渉をしてくれるという点でした。大掛かりな工事が必要なくても、マンション内に装置を設置するので、やはり組合の許可は必要だったのです。その交渉をパワーバンドがやってくれるというのは本当にありがく思いました。
■いざ申し込み、そして導入
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モデムの上に鎮座する招き猫が1匹……
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申し込みを行なったのは4月18日、そして結局回線が引かれたのは約3ヶ月後の7月20日でした。その後、開通まで3ヵ月というのは当たり前だとわかりましたが、当時は導入までずいぶん待たされるな、と思っていました。進行具合をメールで連絡してくれるという約束でしたが、ほとんど何も音沙汰がなく、どのくらい作業が進んでいるのか、管理組合に連絡は取れているのかなど、まったくわからない状態でした。そのため、こちらから何度も電話をかけて催促することになりました。
それでも問題の管理組合のほうには交渉してくれたようで、6月上旬に総会が開かれることとなりました。私は総会には出席しませんでしたが、総会の議題にはちゃんとブロードバンド導入の件も盛り込まれ、業者の方もやってきて来て説明をしたようです。担当氏は、マンション用のMDF(電話回線を集めて交換機に接続するための集線装置)の写真や、光がどういう状況かを記した資料も用意してくれたとのこと。
配布された資料は20数ページのしっかりした冊子で、サービス内容、特徴、他社との比較、導入機器の写真や場所が詳細に記されています。さすがにマンション専用のサービスといった感じ。担当氏の詳細な説明のおかげか、総会ではあっさりとブロードバンド導入が可決したとのこと。いよいよ開通です。
■期待以上のブロードバンド生活
こうして得ることができたブロードバンド生活は期待以上に素晴らしいものでした。時間を気にしなくてもいい常時接続。電話も話中状態にならないし、ソフトのダウンロードの速さなど、どれを取っても素晴らしい。そしてブロードバンドをさらに快適にするために無線LANを導入。これでブロードバンドがますます便利になりました。
そんな中、いろいろなサイトを巡っているうちに見つけたものが、インターネット上で放送されているインターネットラジオです。通常のラジオではかけないような、特定のジャンルの音楽をかけているもので、外国の局が多いようですが、好きなジャンルを1日中聞くことができます。最初に見つけたのはBBCの放送でしたが、それ以外にも様々なジャンルの局があります。これも従量制の回線では、とても使う気にならないでしょう。
今年の年末年始にハマってしまったのがイギリスの「クラシックFM」。クラシックの年間売り上げチャートのカウントダウンをやっていて、元々クラシックが好きだったこともあって夜中まで聞いてしまった。それと現在ハマっているBlogの執筆では、多大なサイトから記事を探すので、これもブロードバンド環境は不可欠です。
すでに現在では、光ファイバの100Mbpsが当たり前となろうとしています。現在の私の環境は約16Mbps。数字で見るとかなりの差があるように見えますが、現状のコンテンツでは不足を感じません。光ファイバ回線もだいぶ安くなってきたようですが、よほどの大容量コンテンツが主流にならない限り、この環境を続けようと思っています。
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ブロードバンド生活がますます楽しくなる無線LAN AP内蔵ルータ
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我がノートPC。無線LANでイギリスのclassicFMを楽しんでます
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(2003/10/09)
■参考データ
居住地区 | 東京都新宿区 |
回線の種類 | 光ファイバ(構内はVDSL) |
接続事業者 | PowerBand |
プロバイダー | @nifty |
スループット | 下り14Mbps、上り6Mbps |
□PowerBand
http://www.powerband.ne.jp/
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