ブロードバンド時代に使っておきたいサービスと言えば、オンライン上でファイルの保管や共有が可能なオンラインストレージサービス。最近では、合言葉は“ギガ”! と言わんばかりに大容量化が加速し、巨大なサイズのファイルも苦労することなく取り扱えるようになってきている。
メールやメッセンジャーではやり取りしにくい大容量ファイルの受け渡しだけでなく、インターネット回線さえあれば、いつでもどこでもファイルを取り出せるというのも魅力的だ。そこで今回は、100GBという驚くべき容量を無料で提供するオンラインストレージサービス「ファイルバンク」をご紹介しよう!
■ 3つの制限と上手に付き合い100GBを有効利用
それでは早速「ファイルバンク」を使ってみよう。メールアドレスや名前、住所などの情報を入力すれば、すぐに100GBのオンラインディスクスペースが手に入る。ファイルの管理は全てWebブラウザで行ない、ファイルのダウンロードとアップロードについては、専用ツール「アップダウンマネージャ」が用意されている。
「アップダウンマネージャ」では、複数のファイルやフォルダを丸ごと転送することが可能だ。また、ファイルの転送を途中から再開できるレジューム機能を備えているのも嬉しいところ! Webブラウザのみでファイルのダウンロード/アップロードが可能な「ブラウザモード」も備えているが、こちらではフォルダの転送や、後述する「特急ダウンロード」には対応していない。
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「ファイルバンク」のファイル管理画面
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会員同士でフォルダを共有することも可能
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さて、100GBものオンラインディスクスペースを無料で利用できるとなると、やはりいくつかの制限が設けられている。その制限は以下の通り。
- アップロードは1日1GBまで
- ダウンロード速度を制限。1日500MBまでは高速でダウンロード可能
- 3日に1度ログインしないと全ファイル消去
まず、ファイルのアップロードは1日あたり1GBまでに制限、毎日0時の時点でリセットされる。アップロード速度に明確な制限はなく、上り/下り共に20Mbps程度のスループットとなる筆者の回線では250kbps前後であった。
次はダウンロードについて。「各駅ダウンロード」と呼ばれる通常のダウンロードでは、速度が大幅に制限されている。実際に「各駅ダウンロード」でダウンロードしてみたところ、その速度は最大で45kbps程度! アナログモデムやISDN時代に戻った気分が味わえる……。しかし、「特急ダウンロード」というダウンロード方法も用意されているので安心していただきたい。
「特急ダウンロード」は、「特急パス」をチャージすることで、1日あたり500MB分、「各駅ダウンロード」よりも速くダウンロードできるというもの。実際に「特急ダウンロード」を試してみると、500~1,000kbpsの速度でダウンロードすることができた。“各駅”と“特急”というよりも“電車”と“飛行機”レベルの差! 「特急パス」は1日500MB分チャージできるが、毎日0時の時点でリセットされる。つまり、1日500MBまでは快適な速度でダウンロードできるということだ。
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「アップダウンマネージャ」で「特急ダウンロード」を行なった結果。“KCP”という単位は“kbps”と同様
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こちらはアップロード中のスクリーンショットだ。250kbps前後の速度が出ている
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アップロードとダウンロードの制限に関しては、100GBの容量を使えるサービスなだけに少々窮屈と感じてしまうかもしれないが、100MB程度のファイルを扱うのであれば、制限内で快適に利用できる。しかし、「3日に1度ログインしないと全ファイル消去」という制限は少々辛いところ。長期間ファイルを保管する目的で利用するには、「ファイルバンク」と生活を共にする! くらいの勢いが必要カモ。
とはいうものの、「ファイルバンク」はファイルの保管だけではなく、アップロードしたファイルを友人や仕事相手などに送信できる「ビッグメールプラス」、フォルダの共有が可能な「ゲストフォルダ」といったサービスも提供している。逆に考えれば最低でも3日間はファイルが保管されるわけで、大容量ファイルのやり取りを目的に利用するのであれば十分な期間といえる。ということで、「ビッグメールプラス」と「ゲストフォルダ」サービスを見ていくことにしよう。
■ 100GBの大容量スペースを使ってファイルを送信&共有!
「ビッグメールプラス」は、「ファイルバンク」にアップロードしたファイルを最大100個、合計100GBまで送信できるサービスだ。使い方はいたってカンタン。送信したいファイルやフォルダにチェックを入れて、「ビッグメールプラス」のアイコンをクリック。あとは送信相手のメールアドレスを入力するだけだ。
送信相手は、届いたメールに記述されたURLへアクセスし、自動的にインストールされる「アップダウンマネージャ」でダウンロードすることになる。送信相手がファイルをダウンロードする時は基本的に「各駅ダウンロード」になるので、ファイルを送信する時は、「送信者の特急パスの使用を許可する」にチェックを入れて「特急ダウンロード」を使えるようにしておきたい。自分の「特急パス」を消費することになるが、やはり送信相手には快適な速度でダウンロードして欲しいですから!
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「ビッグメールプラス」の送信フォーム。最大5人へ同時に送信できる。保存期間は3日だ
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送信相手に届くメールにはファイル受け取り用のURLが記述されている。ダウンロードは1つのファイルにつき5回まで
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「ゲストフォルダ」は、「ファイルバンク」のフォルダを複数人で共有できるサービス。「ビッグメール」は送信したファイルのダウンロードのみだったが、このサービスはアップロードにも対応している。もちろん、非会員が、会員のゲストフォルダに対してファイルをアップロードすることも! また、フォルダにパスワードを設定できるため、友人用、家族用、仕事用など、グループごとに共有することも可能だ。ただし、ダウンロード速度は「各駅ダウンロード」に限定される。
「ファイルバンク」の会員同士であれば、自分のファイルバンクフォルダに、共有相手のファイルを一瞬でコピーできる「瞬間コピー」機能を使うことが可能。この機能を使えば、自分の都合でいつでも「特急ダウンロード」ができるというわけだ。
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「ゲストフォルダ」の設定では、パスワード制限のほかに、アップロードとダウンロードの権限をそれぞれ選択可能
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こちらは「ゲストフォルダ」の招待メール。招待を受けた人は、フォルダ名とパスワードを入力するだけで「ゲストフォルダ」に参加できる
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大容量ファイルの保管や送信、共有を無料で実現できるのが嬉しい「ファイルバンク」。そのほかにも、ファイルのバックアップ補助として利用するのも良いかもしれない。ファイルのバックアップといえば、HDDやVD-Rといったディスクメディアに保存しておくのが基本だろう。しかし、火事や地震といった局地的な災害が発生した場合、全てを失ってしまうかもしれない。ちょっと大げさな感じではあるが、ネットワーク上、つまり遠隔地となる「ファイルバンク」のサーバーにバックアップしておけば、局地的な災害によるファイルの消失を避けられるというわけだ。とはいうものの、3日以上ログインしないと全ファイルが消えてしまうので、オリジナルファイルはしっかりと手元に残しておこう。
正直なところ、100GBをフル活用するのはさすがに難しい。しかし、容量を気にすることなく利用できるという気軽さが「ファイルバンク」最大のポイントだ。ダウンロード速度の制限に関しては、1日500MB分は「特急ダウンロード」が可能だし、レジューム機能を備えているため「各駅ダウンロード」でも時間さえかければ確実にダウンロードすることができる。3日に1度はログイン! これさえ実践できれば、無料とは思えないほど便利なサービス、ぜひとも1度使ってみてください!
■ URL
ファイルバンク
http://www.filebank.co.jp/
2006/04/20 11:08
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西野滋仁 オンラインゲームで真っ直ぐに敷かれた人生のレールから飛び出し、5年の歳月を個人サイトの運営につぎ込み、インターネットこそ我が人生と言い切る弱冠26歳。現在、ソーシャルネットワークサービスで人間関係の再構築に奮闘中。 |
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