今回ご紹介するのは、テキストを音声合成技術で読み上げてくれる「電子かたりべプレーヤー」。音声合成というと、「ハジメマシテ、コンニチハ」のような機械的な喋り口調を想像するかもしれませんが、「電子かたりべプレーヤー」では実に流暢な喋り口調を実現しているのだ!
本ソフトは、小説を音声で聴くというコンセプトの電子小説サービス「電子かたりべ.com」が、現在のところ無償で提供中。嬉しいのは、「電子かたりべ.com」で配信中の小説はもちろん、自作のテキストファイルやクリップボードにコピーしたテキストの読み上げにも対応していること。今回の連載で、テキストを音声で聴く楽しさと実用性をお伝えできれば嬉しい限りです!
■ 何でも読み上げてくれる汎用テキストプレーヤー
それでは早速、「電子かたりべプレーヤー」を使ってみよう。「電子かたりべプレーヤー」は、ユーザー登録を行なうことでダウンロードが可能になる。ユーザー登録と言っても、ログインID、パスワード、メールアドレス、ニックネーム、性別、生年を入力するだけという簡単なもの。セットアップファイルの容量サイズが775MBもあることに少々驚かされるが、性能の高さを期待させてくれる容量でもある。
「電子かたりべプレーヤー」の対応ファイルは、「電子かたりべ.com」が配信しているKRBフォーマットと、テキストフォーマットの2種類。KRBフォーマットは、「電子かたりべプレーヤー」専用のフォーマットで、ルビの読み上げや、目次による読み上げ開始位置の指定、マーカーの挿入など、「電子かたりべプレーヤー」の機能をフル活用できる。配信している作品数は、6月12日現在で361タイトル。価格は105円からとなっており、クレジット決済のみで購入可能だ。
テキストフォーマットは、ご存知の通りメモ帳やテキストエディタなどで作製したファイル。それに加えて、著作権が消滅した作品などを無償で公開している「青空文庫」のテキストフォーマットにも対応している。青空文庫は、ルビが振られているため、漢字の読み間違いが少ない読み上げが可能となるわけだ。
そして、クリップボードのテキストを読み込めることが嬉しいところ。この機能により、Webサイトのテキストや、ワードのテキストも喋らせることができる。つまり、目次やマーカー機能は使えないものの、「電子かたりべ.com」で配信しているコンテンツだけではなく、個人的に作製した文章も読み上げてくれるのだ。
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こちらは、クリップボードの内容を読み込んだときの画像だ
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試しに、当連載でお伝えした「Yahoo!フォト デスクトップアルバム」の記事から一部文章を抜粋して読み上げさせてみた。まず、読み上げさせたい文章を選択し、クリップボードにコピーする。次に、「電子かたりべプレイヤー」のメニューから「ファイル」→「ファイルを開く」の順にクリックして、「クリップボード読み込み」タブを開こう。「内容確認」ボタンを押すと、クリップボードの内容がダイアログに表示される。確認の必要が無ければ「読み込み」ボタンをクリックすればOK。
これはクリップボードの読み込みだけではなくKBRファイルやテキストファイルを開く時でも同様なのだが、読み込み処理には15秒程度の時間がかかる。しばらくすると、「電子かたりべプレーヤー」のテキストウィンドウにクリップボードの内容が表示され、読み上げの準備は完了。あとは再生ボタンをクリックするだけだ。
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フォントは明朝体。アンチエイリアス処理のおかげで読みやすい。画面の下部にあるのはには、句点や感嘆符、疑問符ごとに区切られたテキストが、音声に合わせてスクロール表示される「ストリーマー」
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こちらは、「電子かたりべ.com」で購入したKRBフォーマットを読み込んだ画像だ。目次データやルビが表示されている
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ということで、「電子かたりべプレーヤー」で再生した音声ファイルを用意してみたので、まずはこちらの音声(WAVファイル、3.6MB)を聴いてみて欲しい。テキストの内容は以下の通り。
決して高機能な写真管理ソフトとは言えないが、写真を扱う上での基本機能はしっかり押さえてある。シンプルでわかりやすいインターフェイスと操作性のおかげで、とっつきやすいソフトに仕上がっており、はじめて画像管理ソフトを使う人でも、直感的に使えるだろう。
実際に音声を聞くと、ロボットのような機械的な音声ではなく人間味のある流暢な声だと感じて頂けたのではないだろうか。「わかりやすい」の「わかり」と「やすい」の間にに一拍“間”が入っていたり、「はじめて」のイントネーションが「始めて」と判断されているなど、一部不自然なところはある。また、漢字の訓読みと音読みを間違えて判断してしまうこともある。しかし、長時間聴いてきても疲れることなく、自然に耳へ入ってくる音声の美しさには驚かされるところだ。
この音声ファイルは標準の速度で読み上げたものだが、読み上げ速度は操作アイコン上の速度調整スライダーで細かく調整できる。また、速読アイコンをクリックすれば、倍の速度で読み上げ可能だ。何とか聞き取れると程度ではあるものの、長文を短時間で読ませたいときには便利な機能である。
ちなみに、「電子かたりべプレーヤー」の音声合成エンジンには、ペンタックス社の「VoiceText」が使われている。こちらの製品デモでは、任意の文章をどのように読み上げてくれるのか手軽にチェック可能だ。漢字変換辞書などに若干の違いがあるかもしれないが、もう少し「電子かたりべプレーヤー」の性能を知りたいという人は試してみるのも良いだろう。
■ 文章校正のお供に! 活用方法は様々
高度な音声合成技術であらゆるテキストを音声に変えてくれる「電子かたりべプレイヤー」。特に、文体が整っているニュースの記事などは、まるでアナウンサーが読んでいるかのように、自然な音声を聴かせてくれる。一方、個人ブログのようにテンションが高く、感情剥き出しの文章にはちょっと向いていないカモ。さすがに感情をイントネーションで表現するのは難しいようだ。「電子かたりべプレイヤー」は常に冷静。とはいうものの、テンションの高い文章と冷静な音声とのギャップがまた面白かったりもするのだが……。
また、「電子かたりべプレイヤー」をレポートや仕事の書類の校正に使うのもアリ。文字を目で追っていくだけでは見落としがちになってしまう誤字や脱字も、音声で聴くとはっきりと認識できる。文章の推敲にも役立つだろう。
現在は無料で利用できる「電子かたりべプレイヤー」だが、試用サービス期間終了後は、一定期間ごとに有料ライセンスを取得するという方式に切り替わるという。有料化の具体的なスケジュールは不明なのだが、少なくとも2006年6月現在は無料で使うことが可能だ。筆者が確認した限りではあるが、いくつかの音声合成ソフトをチェックしてみた中ではダントツに流暢な語り口調を実現している「電子かたりべプレイヤー」、ぜひ一度体験してみてください!
■ URL
電子かたりべ.com
http://www.e-kataribe.com/
2006/06/15 10:57
![](/cda/static/image/2004/12/21/nishino.jpg) |
西野滋仁 オンラインゲームで真っ直ぐに敷かれた人生のレールから飛び出し、5年の歳月を個人サイトの運営につぎ込み、インターネットこそ我が人生と言い切る弱冠26歳。現在、ソーシャルネットワークサービスで人間関係の再構築に奮闘中。 |
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