今回は、ブックマークを共有するネットワークサービス、ソーシャルブックマーク(以下、SBM)をご紹介しよう。SBMは、興味のある記事のタイトルやURL、コメントなどの情報をネットワーク上に登録し、それを他のユーザーと共有するサービスだ。自分にとって有用な情報や、インターネットで旬な話題を手軽に入手できる情報収集ツールとして、また自宅や会社、インターネットカフェでも共有できるブックマークとしても活躍するサービスである。
■ 「はてなブックマーク」を使ってみよう
それではさっそく、日本のSBMとして最もポピュラーな「はてなブックマーク」を使ってSBMがどのようなサービスなのか見ていくことにしよう。アカウントの取得が完了したら、ブックマークレットをWebブラウザのブックマークに登録する。“ポップアップ”と“非ポップアップ”のブックマークレットが用意されているが、IE等でポップアップブロック機能をオンにしている場合は、“非ポップアップ”のブックマークレットを使うと良い。
ブックマークレットを使えば、ブックマークの登録は非常にカンタン。まずは「はてなブックマーク」に登録したい記事をWebブラウザで開き、ブックマークレットを選択。すると、ブックマーク登録フォームへジャンプする。タイトルやURLは自動的に入力されるので、あとは任意でコメントやタグを入力していくだけだ。
コメントの文字数は100文字までとなっており、やや少なく感じるところ。記事に対する第一印象を記録する感じで、深く考えずに直感で思ったことをサッと書くのがオススメだ。
タグとは、記事を象徴するキーワードを指し、記事を分類するために使われる。Webブラウザのブックマークはフォルダツリーで分類するのだが、フォルダが深くなると目的のブックマークへ辿り着くまでに時間がかかったり、フォルダを作りすぎてどちらのフォルダに入れるべきか迷ったりすることがある。タグを使うことにより、この弱点を解消している。
タグはひとつの記事に対して複数設定できる。設定したタグはブックマークリストの右側にすべて表示され、クリックするとそのタグが含まれた記事のみが表示される。さらに別のタグをクリックして絞りこんでいくことも可能。柔軟な分類ができるとともに、多角的な検索もできるのだ。
また、ブックマーク登録フォームには、今まで登録してきたタグ、記事に関連した“おすすめタグ”と“キーワード”が表示される。これらをクリックすると、自動的にコメントのフォームにタグとして入力される。ブックマークの登録は、コメントの入力を除けばマウスのクリック操作だけで完結させることができるのだ。ちなみに、「はてなブックマーク」は、携帯電話による閲覧に対応している。また、RSSリーダーでもチェックできるのは嬉しいところだろう。
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ブックマークレットを使って記事を登録。URLとタイトルは自動で挿入される。タグはコメント欄に“[]”で囲んで記述しよう
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自分のブックマークの一覧ページだ。左側には登録したブックマーク、右側にはタグが並ぶ。使用頻度の高いタグほど大きな文字で表示される
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■ ひとつのブックマークから多くの情報に繋がるソーシャルブックマーク
登録したブックマークには、“10 users”というように同じ記事をブックマークしたユーザー数が表示され、そのユーザーのブックマークにアクセスできる。記事を登録したタイミングにもよるが、ユーザー数が少ない記事を登録しているユーザーのブックマークは、要チェック。同じ嗜好を持っている可能性が高く、自分好みの記事を発見できる場合が多いのだ。
他のユーザーのブックマークをチェックしていく中で、自分と同じような記事をブックマークしているユーザーを発見した時にはお気に入りに登録しておこう。お気に入りのページから登録したユーザーのブックマークを一覧でチェックできるようになる。複数のユーザーを登録することも可能だ。
「はてなブックマーク」のトップページには、最近人気の記事と注目の記事が一覧で表示される。これは、記事をブックマークしているユーザーの多さによってピックアップされている。話題になっている事柄をひと目でチェックしたいときには便利な存在だ。一人のユーザーができる事は“ブックマークをする”という些細な行動だけ。しかし、この情報を多くのユーザーと共有することで、インターネットに広がる膨大な記事に対して、“有用である”、“面白い”といった貴重な情報が付加されるのである。
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“users”をクリックすると、記事の概要とサムネイル、タグが表示される。画像には表示されていないが、ページの下部にはブックマークしているユーザーへのリンクとコメントが並ぶ
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こちらは「はてなブックマーク」のトップページに表示されている、「人気・注目ニュース/注目キーワード」の一覧
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興味のある記事をブックマークすると、同じネタに興味を持っているユーザーが見つかる。そのユーザーのブックマークをチェックすると、興味を引かれる新しい記事が見つかる。趣味の合うユーザーを見つけたら、お気に入り機能でブックマークを共有する。その結果、短時間で自分好みの情報を得ることができるわけだ。これがSBMの魅力である。それでは最後に、「はてなブックマーク」以外のSBMサービスを簡単に紹介していこう。
■ ブックマークレットが使いやすい「ニフティクリップ」
「ニフティクリップ」は、ニフティが提供しているSBMで、現在はβ版としてサービス提供している。コメントの登録、タグによる分類や検索、ブックマーク登録ユーザー数によるランキングなど、基本的な機能は「はてなブックマーク」と同様だ。
特徴的なのは、ブックマーク登録用のブックマークレットだ。まず、Googleで検索してから開いた記事をブックマークレットで登録したとき、検索キーワードが自動的にタグとして入力される。そして、記事中のテキストをマウスで選択してからブックマークレットをクリックすると、選択したテキストがコメント欄へ自動的に入力されるようになっている。記事の中でもっとも気になった文章を引用してまとめておく、という使い方もアリだ。
■ 記事のサムネイルが表示でき、直感的にわかりやすい「livedoor clip」
ライブドアが提供しているSBMが「livedoor clip」だ。コメント、タグ、ユーザー数による記事のランキングといった機能はもちろんのこと、ブックマークのリストに記事のサムネイルを表示できる。ズラリと並んだブックマークを画像で判別できるのが嬉しいところ。
ブックマークレットでは、選択したテキストをコメントとして自動的に入力できる。また、「ブックマークレットジェネレータ」により、あらかじめ入力しておくタグを設定したり、クリップ後の挙動を決めておくなど、ブックマークレットのカスタマイズも可能だ。
■ シンプルなサービスなので、いろいろ試してみよう
今回紹介は3つのSBMを紹介したが、他にも多くのサービスが存在している。ユーザー登録をしなくてもブックマークを登録できたり、記事に対して“カッコイイ”、“オモシロイ”で評価可能な「フロッグ」は、気軽にSBMを体験してみたい人にオススメである。
SBMはシンプルなサービスなだけに、サービスによりページデザインはだいぶ違う印象だが、機能は似通っている。初めはどのサービスを使っていくべきなのか迷うところでもあるが、有用で面白い情報を短時間で集めたいという人は、ユーザー数を判断材料にするのも良い。やはり、ユーザーが多いほうが多くの情報が集まるし、記事のランキングも信頼性が高くなるのだ。また、情報収集用と記事管理用、というように、複数のSBMを使い分けるのも良いだろう。
2006/10/05 11:03
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西野滋仁 オンラインゲームで真っ直ぐに敷かれた人生のレールから飛び出し、5年の歳月を個人サイトの運営につぎ込み、インターネットこそ我が人生と言い切る弱冠26歳。現在、ソーシャルネットワークサービスで人間関係の再構築に奮闘中。 |
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