以前、写真管理ソフトの決定版としてご紹介したGoogleの「Picasa2」がバージョンアップ。それに加えて、「Picasa2」と連携するWebアルバムサービス「Picasa ウェブアルバム」も開始された。今年も残すところ半月あまり。年末年始は写真を撮る機会が多くなりそうだし、年をまたぐ前にハードディスクの大掃除もしておきたいところ。というわけで、今回は写真の整理と公開に便利な「Picasa2」と「Picasa ウェブアルバム」をご紹介しよう。
■ 写真の位置情報を扱えるようになった「Picasa2」
当連載で「Picasa2」をご紹介したのは2005年の夏。現在のバージョン2.6.0でも基本的な機能や使い勝手についてはほとんど変わっていないのだが、いくつか面白い機能が追加されている。ここではおもに、新しく追加された機能をピックアップしていく。「Picasa2」初心者の方は、基本機能をご説明した回、「画像管理ソフトの決定版? 日本語版『Picasa2』」にまず目を通していただければと思う。
・フォルダツリー表示に対応
「Picasa2」は、PC内の写真をくまなく読み込み、フォルダごとに時系列で整理してくれる。また、スターやラベルをつかって細かな分類・検索できるのが魅力だ。ただ、ラベル付けをサボっていたり、同じ名前のフォルダが増えてきた場合は、目的の写真を探すのに若干苦労するのが正直なところ。この問題はフォルダのツリー表示に対応したことで解消された。Windows XPのエクスプローラと同様、フォルダを掘り下げながら写真を探すことができる。
・「Google Earth」との連携
写真に記録された位置情報(緯度や経度など)を「ジオタグ」として扱うようになり、Googleが無償提供している3Dマップソフト「oogle Earth」内へ表示できるようになった。メニューの「ツール>ジオタグ>Google Earthで表示」をクリックすると、「Google Earth」が起動し、位置情報が記録された写真の撮影場所にサムネイルが表示される。
また、メニューの「ツール>ジオタグ>Google Earthでジオタグを付ける」を選択すれば、「Google Earth」を使って写真に位置情報を埋め込める。マップ内をポイントしていくだけという簡単な作業だ。「Google Earth」が必要になるが、撮影場所で写真を整理することもできるようになったと言える。
位置情報はエクスポート後の写真のExifに記録される。そのため、位置情報によるマップ表示に対応したWebアルバムサービス「はてなマップ」や「フリッカー」などにアップロードすれば、写真とともに撮影場所も伝えることができる。ただし、自宅などプライバシーに関わる位置情報を記録した写真の取り扱いには注意。
・写真の色味による検索や重複ファイルの表示といった実験的機能も
赤や青、モノクロなど、写真の色味を自動的に判別して検索する機能も用意。例えば、赤を指定すると赤い服を着た人物の写真、オレンジを指定すれば夕日や居酒屋で撮影写真がヒットする。指定できる色は7種類と大雑把なので、目的の写真をこの機能で探し出すというのは難しいが、面白味のある機能だ。
また、重複ファイルも簡単に見つけ出せるようになった。対象となるのは、ファイルサイズや解像度、フォーマットが全く同じ写真。ファイル名が異なっていてもヒットする。写真の整理にもってこいの機能である。
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フォルダツリーで表示した「Picasa2」。位置情報が含まれている写真のサムネイルには十字マークが付く
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「Google Earth」に表示された「Picasa2」の写真。GPS搭載のカメラ付きケータイの中には位置情報を付与できるものがあるので、是非試してみて欲しい
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■ 「Picasa2」の写真を手軽に公開できる「Picasa ウェブアルバム」
「Picasa ウェブアルバム」は250MBの容量を無料で使えるWebアルバムサービス。年間25ドルで6GB、さらには500ドルで250GBもの容量を使える有償サービスも用意しているが、今のところ日本国内からは利用できない。「Picasa ウェブアルバム」を使うには、無料で取得できる「Googleアカウント」が必要だ。ちなみに「Gmail」を使用しているのであれば、使用許諾に同意するだけですぐに使用できる。
「Picasa2」のバージョン2.6.0ではメイン画面下に「ウェブアルバム」ボタンが追加されている。「Picasa2」のアルバムやフォルダを選択して「ウェブアルバム」ボタンをクリックだけで、その中に収められた写真を一気にアップロード可能。アルバムやフォルダを丸ごとコピーする感覚だ。もちろん、指定した写真だけをアップロードすることもできる。
アップロード時には、最大1,600ピクセルの「大きなサイズ」、1,024ピクセルの「中サイズ」、そして「最大の写真サイズ」の3パターンでサイズを決められる。「最大の写真サイズ」では、3,872×2,592ピクセルの写真もアップロードできた。ちなみに、AxitveXやフォームによるアップロードにも対応する。
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「Picasa ウェブアルバム」のメイン画面。アルバムと最新のコメントが表示される
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「Picasa2」のから「ウェブアルバム」ボタンをクリックして「Picasa ウェブアルバム」へアップロード
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写真の公開・非公開の設定はアルバムごとに行なう。公開に設定すればGoogleアカウントを持っていない人も含めて誰でも閲覧できる。非公開にすると、そのアルバムは他人からは見えなくなり、アルバムとその中に収められている写真のURLが非常に長くなる。まず予測できないURLだ。ただし、このURLさえわかれば誰でも閲覧できる。一部の人にだけ見せたい時はこのURLを「共有」のメールフォームやメッセンジャーなどで直接伝えるだけでいいわけだ。
また、「Picasa ウェブアルバム」のアルバムは「Picasa2」経由で丸ごとダウンロードでき、「Picasa2」の「ダウンロードしたアルバム」へユーザーごとに登録される。複数の写真をダウンロードしても後に整理する手間が省ける、とりあえずアルバムごとダウンロードしておいて後でゆっくりと閲覧できる、というのは嬉しいポイント。
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アルバム内の写真はサムネイルとキャプションで一覧表示。キャプションは全角1,024文字まで入力できる
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アルバムに写真を並べる順番は自由に変更できる。「写真を並べ替え」画面でサムネイルをドラッグ&ドロップするだけ
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少し意外なのは、Googleが提供するサービスではお馴染みのスターやラベルによる分類や検索機能が用意されていないこと。写真は、単純にアルバム単位で管理される。写真にキャプションを付けられるものの、検索はできない。他のユーザーをお気に入りに登録する、写真にコメントを付けるといったコミュニケーション機能のほか、アルバムや写真をブログで公開することもできるが、「Picasa ウェブアルバム」だけで考えると今のところコレ! といった機能は見られない。
とは言うものの、シンプルにまとめた使いやすいインターフェイスは魅力的で、オススメできるポイント。写真の管理は様々な分類・検索方法とレタッチ機能を備えた「Picasa2」で、「Picasa ウェブアルバム」は写真の公開・共有に特化した作りにしているのだろう。
ただ、「Picasa ウェブアルバム」でジオタグが生かせなかったのは少々残念。位置情報を含む写真の公開は、思わぬプライバシーの漏洩に繋がる可能性があるのでなかなか難しいところもあるかもしれないが、「Picasa2」と「Google Earth」の連携の面白さを知ったあとでは、「Picasa ウェブアルバム」と「Google マップ」の連携にも期待せずにはいられないのである。
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キャプションとコメントで他のユーザーとコミュニケーションが取れる
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「Picasa ウェブアルバム」で生成されたHTMLタグを使ってブログサービス「ココログ」に貼り付けた
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■ URL
Picasa2
http://picasa.google.co.jp/
Picasa ウェブアルバム
http://picasaweb.google.co.jp/
2006/12/15 16:10
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西野滋仁 オンラインゲームで真っ直ぐに敷かれた人生のレールから飛び出し、5年の歳月を個人サイトの運営につぎ込み、インターネットこそ我が人生と言い切る弱冠26歳。現在、ソーシャルネットワークサービスで人間関係の再構築に奮闘中。 |
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