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バックナンバー

海外から日本のTVが視聴できる3製品を使ってみました
[2006/09/11]
番外編:海外で日本のTV番組が見たい!
[2005/09/22]
番外編:師走のお引越し! フツーの光からハイパーファミリーへ
(後編)
[2005/02/24]
番外編:師走のお引越し! フツーの光からハイパーファミリーへ
(前編)
[2005/02/17]
第百景(最終回):ブロードバンドのためならば、引っ越しだってしちゃいます
西野滋仁
[2004/12/22]
第九十九景:紆余曲折を乗り越えて、FTTHが我が家にやってきた!!
[2004/12/16]
第九十四景:光ファイバへの2年越しの恋、ついに結実!? その3
[2004/12/09]
第九十八景:それでもやっぱりADSL ~えっ速度が4倍に!?~
[2004/12/02]
第九十七景:デジタルとケミカル
永田正男
[2004/11/18]
第九十六景:北陸金沢のブロードバンド事情
[2004/11/11]
第九十五景:アナログから一気に光へ。インターネットで写真を納品
水谷たかひと
[2004/11/04]
第九十四景:光ファイバへの2年越しの恋、ついに結実!? その2
[2004/10/21]
番外編:中国でホットスポット体験、そしてIP電話にも挑戦!
山谷剛史
[2004/10/14]
第九十四景:光ファイバーへの2年越しの恋、ついに結実!? その1
戸塚直太郎
[2004/09/30]
第九十三景:草の根ネットから光ファイバへの道のり
アラカバ大尉
[2004/09/16]
第九十二景:安易な申し込みは混乱の元
Antonio
[2004/09/02]
第九十一景:長かったブロードバンドへの道
小泉 茜
[2004/08/12]
第九十景:生活インフラの中でブロードバンドが最安?
SASUKE
[2004/08/05]
第八十九景:ITアレルギーではないが無知なユーザーの場合
増子夕夏
[2004/07/22]
第八十八景:「細く長く」をめざした長い旅
天野 司
[2004/07/15]
番外編:風光明媚な中国・桂林のブロードバンド旅館
山谷剛史
[2004/07/08]
第八十七景:ブロードバンドでデジカメ画像も即日納品
広路和夫
[2004/07/01]
第八十六景:ファームウェア更新にはご用心!
水浦みお
[2004/06/24]
第八十五景:もう抜けられない。ブロードバンドは生活必需品
kuro
[2004/06/10]
第八十四景:ISDNからADSLへの変更は、回線の奪い合いから
miburo
[2004/05/27]
第八十三景:光の見えない通信隔離地帯
いさおん
[2004/05/20]
番外編:中国の奥地でADSL
山谷剛史
[2004/05/13]
第八十二景:ITによる地域活性化は本物か!?
アマキー
[2004/04/22]
第八十一景:FTTHまでの長い道のり
篠原野明
[2004/04/15]
第八十景:最新のビデオ・オン・デマンド! 予断を許さず!?
井州都幸秀
[2004/04/02]
第七十九景:電話代に泣くも、順調なインターネットライフ、かな?
[2004/03/18]
第七十八景:ブロードバンド花粉症?
[2004/03/11]
第七十七景:最新のデザイナーズマンションにFTTH回線を!(後編)
[2004/03/04]
第七十七景:最新のデザイナーズマンションにFTTH回線を!(前編)
[2004/02/26]
第七十六景:新年ブロードバンド開けましておめでとうございます
狩野大輔
[2004/02/19]
第七十五景:待ちかねたぞ! 100Mbps!
平 雅彦
[2004/02/12]
第七十四景:田舎にもIP電話がやってきた!(後編)
中村繁利
[2004/02/05]
第七十四景:田舎にもIP電話がやってきた!(前編)
中村繁利
[2004/01/28]
第七十三景:わけがわからないままAirH"からCATVに変えました
西野麗子
[2004/01/22]
第七十二景:ネットで納品するならやっぱし光回線とサーバーの設置!
川上卓也(メディアート)
[2004/01/15]
第七十一景:サービスエリアで家選びの顛末
bsubsu
[2004/01/08]
第七十景:大家さんを口説くならNTTにおまかせ!?
津久浦 慶治
[2003/12/26]
第六十九景:ダイヤルアップ→ISDN→ADSL→Bフレッツへの移行
福永健司
[2003/12/18]
第六十八景:「自宅だったら1Mbpsで十分じゃん!」
西尾 淳(WINDY Co.)
[2003/12/11]
第六十七景:セキュリティシステム対応マンションの落とし穴
木地本昌弥
[2003/12/05]
第六十六景:瀬戸内海ブロードバンド物語
田中達也
[2003/11/20]
第六十五景:ブロードバンドのインフラに期待するもの
木村俊一郎
[2003/10/30]
第六十四景:「ホームノマド」のための宅内快適ネットワーク構築
ゼロ・ハリ
[2003/10/23]
第六十三景:引っ越し先はブロードバンドの敵だらけ!?
てんきゅう
[2003/10/16]
第六十二景:IT砂漠地帯に残されたVDSLというライフライン
mao
[2003/10/09]
第六十一景:新しいモノ好きの通信環境(後編)
木地本昌弥
[2003/10/02]
第六十一景:新しいモノ好きの通信環境(前編)
木地本昌弥
[2003/09/25]
第六十景:プロバン素人は開拓者の後を悠然と歩く
藤野竜介
[2003/09/19]
第五十九景:電話をかけるとつながる回線の謎
寄添温守
[2003/09/11]
第五十八景:やっと導入したFTTHは超庶民的配線(後編)
すずまり
[2003/09/05]
第五十八景:やっと導入したFTTHは超庶民的配線(前編)
すずまり
[2003/09/04]
第五十七景:空を見上げて待ち続けた光ファイバ接続
あひる
[2003/08/28]
第五十六景:すべてはチャットから始まったインターネットライフ
山田正宏
[2003/08/21]
第五十五景(3):マンションに3つのブロードバンド導入! さらば速度重視
かつみぱぱ
[2003/08/12]
第五十五景(2):マンションに3つのブロードバンド導入! さらば速度重視
かつみぱぱ
[2003/08/07]
第五十五景(1):マンションに3つのブロードバンド導入! さらば速度重視
かつみぱぱ
[2003/07/31]
第五十四景:自宅Webサーバーには寂しい新潟ADSL事情
宮沢@新潟県新津市車場
[2003/07/24]
第五十三景:光ファイバで重い画像も快適送信! ……までが長かった
河田一規
[2003/07/17]
第五十ニ景:タイミングと営業力が運命を分けました
北原静香
[2003/07/10]
第五十一景:ADSLよ! 早くおウチにも来ておくれ!
タケ
[2003/07/03]
第五十景:常時接続はリモートコントロールのために!?
tan
[2003/06/27]
第四十九景:自宅にWebサーバー【パート2】
芝藤和久
[2003/06/19]
第四十八景:8Mサービス拒否!? 茨城のADSL奮戦記
ぷっぷくぷ~太郎
[2003/06/12]
第四十七景:2カ月で手放したFTTH生活
ブロバン太郎
[2003/06/05]
第四十六景:引っ越しとブロードバンド化の同時進行で四苦八苦
アルチザン 矢部雅一
[2003/05/30]
第四十五景:OCNエコノミーから無料サービスジプシーへ変貌
江須田
[2003/05/22]
第四十四景:Yahoo! BBで、快適! ブロードバンド・パラダイス
北口 宏(ひろくん)
[2003/05/15]
第四十三景:ノロノロ56kbpsからの脱出! メカ音痴な音楽家のADSL事情
仁乃 唯
[2003/05/08]
第四十二景:『FUSION IP-Phone for BIGLOBE』でIP電話を体験
法林岳之
[2003/05/01]
第四十一景:手間はかけても金はかけない。こだわりのブロードバンドライフ
赤坂 豊
[2003/04/24]
第四十景:FTTHでアップロードも快速! でもイマイチな点も
西尾 淳(WINDY Co.)
[2003/04/17]
第三十九景:大阪なにわのブロードバンド事情
山口真弘
[2003/04/10]
第三十八景:どこでも常時接続 ~ 空気のようなインターネット「Air H”」
時の渡り竜
[2003/04/03]
第三十七景:ボイスチャットでネットゲーム開眼! Xbox Liveとブロードバンド
森田秀一
[2003/03/26]
第三十六景:Yahoo! BB難民、漂流先はCATV
目黒廣道
[2003/03/13]
第三十五景:無線LANあってこそのブロードバンド
カンターノ
[2003/03/06]
第三十四景:高速回線への欲望は、ネットゲームから!
ぷち
[2003/02/27]
第三十三景:速すぎて宝の持ち腐れ!? 有線ブロードネットワークス導入記
大坪知樹
[2003/02/20]
第三十ニ景:家族の白い目に堪える時代から一家で常時接続へ
斉藤成樹
[2003/02/13]
第三十一景:400K倶楽部から光ファイバへの苦難の道のり
平 雅彦
[2003/02/06]
第三十景:自宅にWebサーバー!! そこには想像以上の利用価値があった!!
芝藤和久
[2003/01/30]
第二十九景:なんちゃってADSLとAir H"のナローなブロードバンド!?
森永 みぐ
[2003/01/23]
第二十八景:「My電柱」のお陰でラクラクFTTH開通
カネコ・トオル
[2003/01/16]
第二十七景:帯域改善はダンナ改善から! 光共有マンションの落とし穴
みっち~★
[2003/01/09]
第二十六景:ノイズ対策よりネズミ対策! ボロアパートのADSL
川村賢也
[2002/12/19]
第二十五景:@niftyから離れられない理由と、オフィスのIPR光100M導入
大庭美広
[2002/12/12]
第二十四景:一戸建てを契機にBフレッツへ。半年にわたる戦いの日々
藤田洋史
[2002/11/28]
第二十三景:名古屋の快適ADSL事情
奥川浩彦
[2002/11/21]
第二十ニ景:光の国へのワインディングロード
工藤ひろえ
[2002/11/14]
第二十一景:引っ越しを機にCATVからADSLへ乗り換え
伊達浩二
[2002/11/07]
第二十景:ハツモノ狙いは高リスク?
礒村浩一
[2002/10/24]
第十九景:インターネットマンションでVDSL!
杉山淳一
[2002/10/03]
第十八景:USENの固定IPとFreeBSDでアプリケーションゲートウェイ設置
関野史朗
[2002/09/26]
第十七景:華のOLブロードバンドライフ
サッキー
[2002/09/19]
第十六景:常時接続十五周年漂流記
法林浩之
[2002/09/12]
第十五景:縛り期間のあるサービスにご注意!
西尾 淳
[2002/09/05]
第十四景:地方農村のブロードバンド事情
福住 護
[2002/08/29]
第十三景:再開発予定地の落とし穴と8M化で発覚したINS干渉
川上卓也
[2002/08/22]
第十二景:恵まれた地域で最先端サービスを実体験
一ヶ谷兼乃
[2002/08/08]
第十一景:ADSL 8Mが10kbps!? ノイズ地獄の克服
こまんち
[2002/08/01]
第十景:加入電話ライトサービスの実施でADSL導入を決意
多和田新也
[2002/07/25]
第九景:ナローな専用線からの脱出目指し奮闘中
矢部雅一
[2002/07/18]
第八景:CATV、めっちゃいいっす
大柴 滋
[2002/07/11]
第七景:スピードネットで超速ブロードバンド
熊谷直樹
[2002/07/04]
第六景:光収容を乗り越えて Part2
法林岳之
[2002/06/27]
第五景:遅れてきた田舎の常時接続
中村繁利
[2002/06/20]
第四景:家族でブロードバンドは難しい!
荒田淳子
[2002/06/12]
第三景:マンションアダプタにご用心
すずまり
[2002/06/05]
第ニ景:回線トラブルとの格闘
清水理史
[2002/05/30]
第一景:光収容を乗り越えて
法林岳之
[2002/05/24]

第八十一景:FTTHまでの長い道のり
篠原野明


目が追いつかない速さ!?

 筆者がPCからネットワーク接続できることを知ったのは、今から18年ほど前のこと。電話での接続方法は、音響カプラからモデムへとちょうど移行していたころと記憶している(なにせ10歳なので記憶はあいまいだが……)。当時は身近にインターネットの影も形もないのはもちろん、NIFTY-Serve(現@nifty、以下同)などの大手ネットワーク会社もなかったように思う。主な利用方法は遠隔地のPCへ直接接続し、データの交換を行なうというものだった。通信スピードは300ボー(300bps)で、エラーによる切断も頻繁に発生したものだ。

 その数年後、PC-9801を購入しNIFTY-Serveへ加入することとなる。このころになると接続スピードは1,200bpsまで上がっていた。300bpsではテキストをダウンロードと同時にかなり読むことができたのに、1,200bpsでは読むのが追いつかないことに感動したものだった。といっても、まだまだ写真データ1枚、十数KBのデータですら数分待つ必要があった。

 当時は(今でも基本的には同じだが)電話での接続ゆえに、ダウンロードやアップロード、チャットなど電話代がどんどんかさんだものだ。電話代だけではなく、ネットワークの接続料も別途必要だったため、オンラインではひたすらダウンロードし、ちょっとした書き込み(テキストデータ)すら一括ダウンロードリストに加え、接続を解除してからゆっくり読むという使い方が習慣化していた。

 人間の入力スピードはたかが知れているため、モデムのスピードが上がれば上がるほどオンラインでの入力が無駄な時間になったのは言うまでもない。複数人が同時に話ができるというチャットも、上記の理由で非常にもったいないような気がして筆者はあまり参加しなかった。――ここまでが、筆者がネットワークに接続できることを知ってから3年間ほどのお話である。


最初の常時接続は……

 通常ならばこの後に起こるインターネットの爆発的な普及とともに筆者も常時接続へ……、という記事になるのだろうが、筆者の場合はそうでなかった。家庭での常時接続を始めて体験したのはまだインターネットが普及する前。プロバイダーという言葉すら普及するまえのこと。筆者が使っていた常時接続は、「アマチュア無線」だったのだ。

 アマチュア無線は144MHz前後のFM波を使った無線通信で、パケット通信と呼ばれていた。距離にして十数kmはらくに届く。無線での通信形式は特定の周波数ではあるものの、電波の届く範囲全部にデータを送ってしまう。知らない人が多いようだが、電話線経由のBBSと同じように、無線用のBBSがいくつも存在していたのだ。コリジョンやCRCチェック、パケットのリレーなど、改めて考えると現在のLANと方式はそっくりである。というより、大学などではすでにTCP/IPが使われていて、同様の形態をアマチュア無線の通信が採用していたのだろう。

 アマチュア無線では当然接続料は発生しない。設備は自前だし、相手の設備も自前だからだ。通信スピードは1,200bps(半二重)。もちろん無線とはいっても、もともとは音声通信用の無線機のため、通信音を聞くこともでき、公共の電波だから他人の通信を傍受することも簡単にできた。無線版草の根BBSから誰かがソフトをダウンロードしているときに、そのデータを自分の自分のPCにダウンロードすることも当たり前に行なわれていたのである。

 接続はタダでもBBSへの接続は一人に制限されるため(IPアドレスなどない)、なかなか人気のBBSに接続することはできず、このようなことは日常的に行なわれていた。ちなみにこれは盗聴ではなくて、公共の電波を使用している以上、ごく当たり前のことであった。

 その後アマチュア無線の通信スピードも9.6kbpsにアップするなど、技術は向上したものの、それ以上にNIFTY-Serveなど大手BBSの人気が上がり、電話系のモデムのスピードは14.4kbps⇒28.8kbps⇒56kbpsと高速化。さらには主流がISDNへ移っていったのはご存じのとおりである。


インターネットとの出会いはインプレスで

現在の殺風景なPC環境。ほとんどただのインターネット端末となっている
 筆者がインターネットに出会ったのは、実はこのBroadband Watchを発行しているインプレス社である。ひょんなことからこのインプレスで仕事をすることになったのが今から10年前。いきなりメールアドレスを与えられ、なにがなんだかわからないうちにIPアドレスやサブネットマスクなどを設定してもらって使い始めた。インプレス社内での話である。

 「インターネットマガジン」を発行するインプレスだけあって、そのスピードは速かったようなのだが、それまでインターネットを使ったことがなく、テキストベースのBBS利用者だった筆者には、それでもグラフィカルなWebページは重く感じたのを覚えている。

 しかいその後プロバイダーが一般的になり、自宅でもインターネットに接続できるようになった時には愕然とした。モデム接続になるとまるで遅いのだ。もっと速度を! と切に願ったのである。

 インターネットが普及し始めてテレホーダイがスタートした。深夜11時から朝8時までは契約時に指定した電話番号へいくらかけても定額というサービスだ。もちろんこのサービスに加入し、インターネットジャンキーまっしぐらだったのはいうまでもない。ちなみに、筆者がプロバイダーを選んだ条件は、ISDNの2B接続でも料金が変わらないこと、というものだった。


FFTHならぬFTTK?

 月日は流れ、日本でもADSLサービスが始まると言うことで、受付初日に申し込み、めでたく1.5Mbps開通とあいなった。その後8Mbps、12Mbps、24Mbpsと増速していった。幸い筆者の住まい(東京都品川区)はADSLの開通が早く、加えてNTT局舎にも近かったことから、友人にねたまれるほどのスピードを実現していた。しかし、人間の欲は尽きないもので、アップロードも速くしたいという欲求が首をもたげてきたのである。そしてFTTHの登場を待っていた。

 ADSLと同様にフレッツ光(現:Bフレッツ)のエリアに入った時期も早かった。しかし、上りが速い光とはいえ、下りで20Mbps近く出ている環境から10Mbpsのフレッツ光には移行する気にはなれなかった。そうこうしているうちに、NTT以外のキャリアも光ファイバでのサービスを開始。100Mbpsを標榜する「USEN」「TEPCOひかり」などが世をにぎわせていた。

 筆者宅、USENのサービスエリアに近かったために「すぐ来るのかな?」と思ったが、待てど暮らせどエリア予定表に自分の住所が入らない。NTTも100Mbpsのサービスを開始してエリアにも入っていたものの、料金が高くてなかなか踏ん切りがつかず、ためらっていた。

 ここまで待ったのだからと、一番スピードの出そうなTEPCO光を待つと決めたのが一昨年(2002年)の夏。それからがつらかった。我が家は4丁目の15番地なのだが、テプコさん、どういうわけか4丁目の1から17番地まで開通させておきながら、なぜか15番地だけは1年後とおっしゃる。いやはや、ADSLが速かったからよかったようなものの、そうでなければ多少高くてもサービスエリアに入っていたNTTのフレッツ光に加入するところだった。近所だけが開通し、我が家のまわり数十メートル四方だけが開通しない1年間。FTTHならぬFTTK(Fiber To The kinjo:近所)である。


待ちに待ったTEPCOひかり

 300bpsから始めて18年、とうとう我が家に100Mbps回線がやってきた。年末に申し込み可能なエリアに入り、早速手続きを行なった。年末年始をはさむ関係でだいぶ待つことを覚悟していたのだが、1月の中旬には工事ができるとのこと。工事の様子も見たかったのだが、なんと家の前までの工事は知らぬうちに終わっていた。工事予定日の数日前には目の前の電柱に新しい架線が張られ、大きな輪の形でまとめられた光ファイバがぶら下がっていた。

 申し込み時に話をいったん戻そう。筆者の住まいはマンションの3階。FTTH申し込み可能な高さぎりぎりだった。マンション関係で問題になりがちな許可の件は、小さなマンションであること、住まいが分譲であるため自身が管理組合員であることなどが重なり、許可には問題がなかった。実は許可自体はもう10年以上前から得ていたのである。前述のアマチュア無線のアンテナを屋上に上げるため、ケーブルの引き回しなどに関して許可を得ていたのだ。無線をめっきりやめてしまった今、まさかインターネットの工事に役立つとは思ってみなかった。

 道路を挟んだ電柱に光ファイバを確認して数日、工事担当者が我が家にやって来た。高所作業車でやってくるのかと思いきや……、よくある普通のトラック。新たに敷設された架線にはしごを引っ掛け、光ファイバの輪を解き、次に我が家のベランダにはしごを引っ掛けてひょいひょいと上ってくる。一般向け光ファイバの工事が始まって1年半以上経過したためだろうか、作業フローもかなり洗練されている印象だ。

 光ファイバを室内に引きこむ時、工事担当者が「壁、どうします?」と問いかけてきた。「できれば穴を開けずにできますか?」とお願いすると、ベランダの手すりが使えるとのことで、ここにフックを固定、光ファイバはこのフックを経由してエアコンダクトから我が家に引き込まれた。結局、壁に穴を開けることは一切なかった。

 あとはお決まりのパターンで、ONUへの接続と相成ったわけである。ちなみに筆者宅に置かれたONUは富士通製の黒いタイプ。光ファイバの接続は、特別な冶具を使うものの、圧着だけだった。これも担当者は手早く作業を済ませていった。


ベランダのフック。工事担当者曰く、あまりテンションはかからないのでこれぐらいの固定で十分ですよ。とのこと。見た目は軽いものだが、揺すってもびくともしない 道路を挟んだ反対側。光ファイバはベランダからほぼまっすぐに道路の反対側から引き込まれた。工事担当者がこのワイヤーにはしごを引っかけて上り始めたときには驚いた

壁上部に固定されたONU。電源ケーブルが意外と短く、下にぶら下げた状態となってしまった。工事したときにはエアコンはこの場所になかったため、上部のコンセントはONU専用のコンセントだったのだが、現在では200Vにしてしまったためエアコン専用。ONUのアダプタは下のコンセントに接続せざるを得なくなってしまった ONUの固定は壁に直接付属のフックを固定したもの。工事担当者曰く、壁に穴を開けて固定しちゃう人はめずらしいですよ、とのこと

ファイルのアップだけでなく、すべて速い

 工事担当者による接続確認も無事終わり、早速ルータに接続してみた。計測サイトのログを見ると、光ファイバでありながら20Mbps前後という人や、下りは70Mbpsありながら、上りが15Mbpsなどという人も多かったため、かなりどきどきしながら速度を計測したのだが、上下ともに70Mbpsから80Mbpsといったところで、ほっと胸をなでおろしたのである。

 驚いたことがひとつある。光ファイバに期待していたのはファイル転送時の増速だけだった。ところが、Webの閲覧などすべてが速いのだ。以前のADSLでも20Mbpsが出ており、十分速いと思っていたのだが、光ファイバではローカルファイルを開くのと変わらない感覚。マウスのボタンを押した瞬間にはもう表示されている感じだ。FTTHだから速いのか、あまり使われていないTEPCOひかりだから(失礼)速いのかは定かではないが、自分の設備がボトルネックになっていないという安心感は大きかった。遅い場合は原因は外にある、と思えるだけでも光にした意義があると実感している。

 そして現在。上下100Mbps(実測最大80Mbps)の速さを、正直言ってってまったく使いこなせていないと思う。やっていることはADSL使用時とあまり変わっていないのだ。アップロードが速くなったとはいえ、いきなり送るデータが増えるわけではない。せいぜい写真データ程度だ。開通して3カ月、回線を有効に活用する方法を模索中の毎日である。この分では100Mbpsの次は当分欲することはないだろう。


NECのWR7600H。スリムな筐体とネットワーク子機に惹かれてこれを使用している。ランプが光る状態を好む筆者としては、LANのアクセスランプが背面なのが残念なところ ONUは富士通製のブラックタイプ。こちらもランプは少なめで、アクセスが頻発していても一定間隔でDATAランプが点滅するだけだ

Radish Network Speed Testingでのスピード計測結果。ルータを通しても通さなくてもほぼ同じ数値となるため、ルータの機種選択は正解だったと言える

参考データ

居住地区東京都品川区
接続事業者東京電力 TEPCOひかり
回線の種類FTTH
プロバイダーSo-net
スループット約80Mbps
Studio Radish で計測)



URL
  TEPCOひかり
  http://www.tepco.ne.jp/
  So-net
  http://www.so-net.ne.jp/

2004/04/15 11:09

篠原野明
某出版社の雑誌編集者。インターネットが流行する前は、自宅にBBSサーバーを設置していたこともある。最近はアルカリイオン整水器に酸素エアーなど健康関連グッズにはまりっぱなし。でもそのまえにタバコをやめろという話も。
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