■ 筆者のパソコン・通信遍歴~始まりはPC-98DO
筆者のパソコンとの本格的な出会いは1990年。当時中学2年生だった私は、友達の影響でNECのPC-88シリーズのゲームにすっかり魅せられてしまい、「パソコン欲しい病」にさいなまれたものです。
といっても当時の財力では20万円強のパソコンを買えるはずもなく、親を拝みたおすことでなんとか購入を決意させました。そして実際に買ったのは、PC-88・98シリーズのソフトが両方動くPC-98DO。当時、はまったゲームは「夢幻の心臓III」や「ドラゴンスレイヤー 英雄伝説」などでした。
また、この時代はすでにパソコン通信が発達していたころでしたが、毎月の電話料金が負担しきれないことが容易に想像できたので当面はパス。その後、X68000やFM-TOWNSなどを経て、市販のDOS/V機、自作PCに移行する過程で、まずパソコン通信を体験し、家庭用ゲーム機「メガドライブ」の感想なんかをBBSに書き込んでましたね。
その後、インターネットを積極的に使うようになったのは1998年の終わりくらい。定額制の通信サービスである、フレッツ・ISDNを利用し始めたことがきっかけです。
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自宅のパソコン環境。テレビにはプレイステーション 2とXboxを接続してます
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利用中の通信機器。ADSLモデムとNECのルータ「WBR75H」
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■ 線路長に差異発生?
さて、自宅で現在使っているブロードバンド回線は、NTT東日本のフレッツ・ADSL 8Mタイプです。2002年4月に開通したので、まもなく1周年を迎えます。8Mタイプ以前は、同じくフレッツ・ADSLの1.5Mタイプを使っておりまして、それから8Mタイプに移行しました。結果的に見ればたいしたトラブルはなかったのですが、ひとつだけあったのが線路長の誤差についてでした。
NTT東日本では、「電話回線の線路情報」(http://www.ntt-east.co.jp/line-info/consent.html)を自社Webサイト内で開示しており、ADSLを利用する上で重要な線路長や伝送損失値を誰でも事前に調べることがでます。これによると筆者の環境は線路長1,270m、伝送損失19dBと、かなり理想的な数値でした。ところが、8Mタイプ移行手続きの最終確認の電話でNTTの担当者が「線路長が約3.5km、伝送損失も35dB程度だから8Mタイプに移行しても通信速度が変わらない可能性が高い。移行はやめた方がいいかもしれない」と告げてきました。
そのときにその差異について質問したところ、実際には線路長約3.5kmという数字が正しいということでした。たしかに、Webサイト「電話回線の線路情報」で得られる数値は机上計算値であるからあくまでも参考程度にしてほしい、という旨が注意されています。
しかし、ここまできて引き下がれないと言うのが本音。そのまま移行の継続をお願いしました。それ以外のトラブルはまったくなく、無事開通。スピードテストでも3.8Mbps程度と、まったく不満のないものでした。なぜこのような差異が発生するのか。その真偽は不明ですが、ADSLではキモとなる重要な情報ですから机上計算値といわず、より精度の高い情報を掲載して欲しいと思います。
■ Xbox Liveのボイスチャットがスゴイ
そして私が今、もっともブロードバンドの恩恵を実感するものはインスタントメッセンジャーや動画配信サービスではなく、なんといっても「Xbox Live」です。これは、家庭用ゲーム機「Xbox」を使ったブロードバンド専用のオンラインサービスで、その最大の特徴はボイスチャット機能にあるといえます。
Xbox Liveで遊ぶために必要な「Xbox Liveスタータキット」には「ボイスコミュニケータ」と呼ばれるヘッドセットマイクが同梱されていて、これを使えばキーボードを利用せずとも、声のチャットができるわけです。なお、「Xbox Liveスタータキット」の価格は6,800円で、内容物はサービス登録に必要なシリアル番号、Xboxにキーボードを接続するためのアダプタ、ソフト類がパッケージされているほか、Xbox Liveサービス基本使用料金1年分も含まれています。
ボイスチャットというと、「恥ずかしい」「キーボードの方が楽」といった抵抗のある方がいるかもしれませんが、その便利さはやってみて初めてわかるものでしょう。なによりも、キーボードから解放されることがこんなに素晴らしいとは!
そのボイスチャットのスゴさを体験するには、スタータキットに同梱されるネットワークRPG「ファンタシースターオンライン(以下PSO)」をプレイするのがもっとも良いでしょう。このゲームは、最大4人のパーティを組んでダンジョンを冒険する、アクション要素の強いRPGですから、プレーヤーはいつ何時いかなる時でもコントローラから手を離さずにプレイできることが理想的です。そして、ボイスチャットならば実際にそれが可能ですし、ちょっとした世間話、たとえば他人に操作方法を説明する場合も、文字で説明するより遙かに容易でした。ただし、音声の遅延がありますから、相づちを打ったりするには若干の慣れが必要です。
しかし、そんなハンデを軽く吹き飛ばすかのごとく、「ボイスチャット便利すぎ!!」というのが正直な感想。特に、家庭用ゲーム機を使ったネットワークゲームで問題になるキーボードを置くスペースがないことを、こうもあっさり解決してくれるとは……。
PCであればディスプレイとキーボードは当然使いやすいよう近距離に置き、また置けない場合はパソコンデスクなどを新調してでもその空間を作り出すことかと思います。 それに対して、家庭用ゲーム機は普通のテレビに接続して使いますから、キーボードを置く台というものがきわめて用意しにくいと言っていいでしょう。そんな方にとってボイスチャットは最適だと思います。まあもちろん巨大なXbox本体をどこに設置するのか、という別問題はありますけどね……。
少なくとも、筆者の環境にボイスチャットはピッタリで、「今どのエリアにいます?」「いやあ今日は赤箱出ませんねぇ」というゲームに関連ある話題から、「Gガンダム最高ですねぇ。特にマスターアジア」「私の職業? 無職です」などの世間話まで、発声しまくっております。これが座椅子に寄っかかりながら、あるいは布団の中で寝そべりながらできるわけです。楽しそうでしょ?
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テレビの下にはAVアンプとXboxを設置。以前ここに鎮座していたビデオデッキはXbox本体を置くためにどけました
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中央にあるのがボイスコミュニケータで、コントローラと接続して使います
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コントローラに接続するボイスコミュニケータの操作部分。左側のダイヤルで会話音量の調整、右側のボタンでマイクのミュートができます。緑色のLEDは発話可能な状態を意味します
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PSO自体はすでに「ドリームキャスト」でリリースされ、その後もPCやゲームキューブ向けに移植も行なわれている、大変実績のあるゲームです。また、ネットワークRPGとしての側面が強いゲームですが、1人でじっくり遊べる「オフラインモード」がありますので、オフラインでレベルを上げた後に、オンラインデビューすることも可能です。
加えてレアアイテム収集など、名作ゲーム「ウイザードリィ」に通ずる要素も多く、ゲームとしての出来もバッチリですので、ぜひお試しあれ。特に、他機種版でやったことがあるという方にこそオススメできるかも。文字チャットとは全く別の世界が広がりますよ。ちなみにPSOのオンラインモードをプレイするための利用料金は、最初の1カ月のみ無料で、以降は毎月600円かかります。
■ 非PC系機器でもUniversal Plug and Play
さて、「Xbox Live」そのものに話を戻しますと、機器の接続性の良さというのも驚きの対象でした。まず、本体にはイーサネット端子が標準で搭載されていますから、モデムやルータとの接続はケーブル1本を繋ぐだけなので非常に簡単。当然、DHCPクライアント機能もあります。でもまあこれはPCでは普通のことですよね。
そして何より、最も驚いたのは「Xbox Live」自体がUniversal Plug and Play(UPnP)に対応していることでした。といっても、Xbox Live公式サイトでは、UPnP対応について明確に記載されていないのですが、同サイト内で公表されているモデムやルータの接続検証一覧表(http://xbox.jp/live/guide/list.html)を見ると対応していることが明らかです。
つまり、ルータやモデムがUPnPをサポートしていれば、ポート変換などを改めて設定する必要はありませんし、LAN内部のIPアドレスを固定にしなくても「Xbox Live」を楽しむことが可能です。
現在、UPnPのメリットはWindows Messengerくらいでしか発揮できていませんが、「Xbox Live」もそのメリットのひとつに加えられることになるでしょう。ファイナルファンタジーXIへの正式対応を謳ったNVDIA社製チップを搭載したビデオカードが大売れしたように、「UPnP対応=Xbox Live対応」がルータ購入時のキーワードになって欲しいものです…。
また注意点をひとつ挙げるとすれば、XboxにはWebブラウザ等は搭載されていませんので、基本的にXboxからルータの設定を行なうことができません。PCとルータをすでに組み合わせて使っている環境であれば問題ないかと思いますが、Xbox Liveのために新規の回線契約やルータの購入を検討している人は注意しましょう。もちろん、モデムとXbox本体を直接に接続して、PPPoE経由で通信することは可能です。
■ 2003年のブロードバンドは?
とまあ、「Xbox Live」への熱い思いを書き連ねてしまいました。今回、中心となったのはPSOだけでしたが、麻雀・将棋・リバーシ・囲碁のタイトルをボイスチャットで楽しめる「頭脳対戦ライブ」もスタータキットに同梱されています。今後もXbox Live対応タイトルは釣りゲームなど複数の作品が発売を予定していて、中でも個人的には格闘ゲーム「スパイクアウト・エクストリーム」に期待しています。
ブロードバンド環境的には「今年こそはFTTH」を目標に、自宅がBフレッツのサービスエリアになることをひたすら待望したいと思います。それが叶うまでは、1.9Mbpsにまで低下した原因不明の自宅ADSLスループットの改善に向けて努力します。
最後に。インターネットの世界では、ひと昔前から「コミュニケーション」もしくは「コミュニティ」の可能性についての論議が数多くなされています。その中でも、ブロードバンドの登場によって、ユーザー間のコミュニケーションがより濃密なものになっていくだろう、という考えがあります。
この考えが果たして現実のものになっていくかはまだわかりませんが、少なくとも「1つの目的に向かって突き進んでいく過程において、ユーザー間のコミュニケーション」にはパワーもポテンシャルもある、と「Xbox Live」を通じて感じました。ちなみに、ここで言う目的とはゲームのコンプリートです。
ただ、目的となり得るゲームは、あくまでも面白くなければならないのが大前提。ゲーム制作者さん、頑張ってください!!
■参考データ
居住地区 | 埼玉県岩槻市 |
接続事業者 | NTT東日本「フレッツ・ADSL 8M」 |
回線の種類 | ADSL |
線路距離長 | 1270m(実距離は約3.5km?) |
伝送損失 | 19dB(実数値は約35db?) |
プロバイダー | BROBA |
スループット | 約1.9Mbps |
2003/03/26 11:29
森田秀一 インプレス Broadband Watch元編集スタッフ。得意分野は芸能人が出席する記者発表会、家庭用テレビゲーム、ガンダムなど。現在、ファンタシスターオンラインへの依存度が急激に上昇しており、社会復帰が危ぶまれている。好きな食べ物は餃子。 |
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