人が生活していくのに必要なインフラには電気、ガス、水道、電話とあるが、我が家では仕事柄ブロードバンドも生活に必要なインフラとなっている。ブロードバンド(ADSL)は2000年秋頃から使い始め、これまで大きなトラブルもなくこれた。それもいまやFTTHとなり、十分すぎるほど高速ながら、その料金は我が家の水道代並みの安さとなっている。
■ 高かったADSLの初期費用……
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自作のAthlon 2GHzマシン。ディスプレイの下にあるのはヤフオクで2,600円で落札したソニーの古いAVアンプ。スピーカーは近所のHARD OFFで2本3,000円で買ったパイオニアの古いもの。値段のわりに音は良い
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はじめてのブロードバンドは、今はなき(ソフトバンクBBに吸収された )「東京めたりっく通信」の1.5Mbps ADSL。同社がADSLを試験サービスとして始めてから1年後の加入であった。当時はインターネットが必要ということではなく、コンピュータ関連の雑誌編集という仕事がら、興味本位でインターネットを使っていただけだったが、日々会社で使うインターネット環境の快適さにくらべて、自宅のISDN 2B接続による128kbpsはさすがに遅く、従量制の料金体系に常に不満を感じていたことが、ADSL加入の要因だった。待ちに待った業者による接続設定が完了し、その速さを体感するためにファイルのダウンロードをテストしたときは、自分の想像をはるかに超える通信速度に素直に感動したことを覚えている。
当時は今のように複数のADSL業者による価格競争や初期費用無料キャンペーンなどがまだなかったため、初期費用はしっかり取られた。確か35,000円程度だったと思う。現在のレベルから見れば高いが、当時は1.5Mbpsという通信速度と月額固定で24時間つなぎっぱなしを実現する環境が手に入るならそれでも安いと思っていた。そんな環境を使って何をしていたかというと、実はメールとホームページを見る程度。仕事半分、遊び半分という利用の中で、大容量ファイルのダウンロードが気兼ねなくできることが、この上ない喜びであった。
その後、複数のADSLサービスが誕生して価格競争が始まった。「Yahoo!BB」の極めつけの安さには大きな魅力を感じたが、ADSLは申し込んでからつながるまでに時間がかかるし、乗り換えのためにADSLが使えない期間が発生するため、我慢して乗換えをしないでいた。実はすでに、妻の仕事でメールによる大容量ファイルの送受信やFTPの利用が当たり前となり、ブロードバンド環境がなくてはならないものとなっていたからだ。
■ 引越しを期にYahoo!BBへ乗り換え
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我が家の玄関から見えるNTT局舎。これだけ近ければADSLの速度にも期待を持ちたくなるもの。実際、最初は確かに速かったが……
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2002年春に新しいマンションに引っ越すことになった。我慢して使っていた東京めたりっく通信を解約して、新居では安くて速いYahoo!BB(8Mbps)を使うことにした。しかしここにはちょっとした問題があった。ADSLには電話回線が必要だが、仕事でも使っている回線のためにほとんどタイムラグなしで移設する必要がある。申し込みはしてもしばらく放置されてしまう、いわゆる「Yahoo!BB問題」も落ち着き「10営業日でつながるキャンペーン」を行なってはいたが、電話回線の移設が引越し日ということと、もし万が一Yahoo!BBの対応が遅かったらブロードバンド環境のない期間が発生してしまう。これは妻の仕事に直接影響するため避けなければならない。
そこで代役として、マンション入居者向けキャンペーンで初期費用が無料だったCATVインターネットの「J-COM」に加入することにした。月額料金は東京めたりっく通信とほぼ同じ5,000円程度。CATVインターネットはCATVのアンテナ線を利用したインフラなので電話回線に関係なく設置できるため、引越し前に先行導入が可能だったのだ。これを引越し1週間前に設置。このときYahoo!BBもJ-COMもすでに8Mbpsのサービスを開始していたが、J-COMの実速度は2~3Mbps程度しか出なかった。代役としての環境だったのでとりあえず我慢。
引越し後、J-COMを使いながら、安いYahoo!BBへの申し込みを行なった。8Mbpsでコミコミ3,300円程度。この時、密かに期待していたことがあった。実はマンションの目の前がNTT局舎だったのだ。ADSLはNTT局舎からの電話線の距離に応じて通信速度がロスする。マンションから直線距離で50mもないところにNTT局舎があれば、電話線の距離も短くロスは極小となり、8Mbpsサービスでは相当のスピードを実現するに違いないと思っていたのだ。
やがてYahoo!BBが開通。さっそく回線速度をテストしてみたら、なんと7Mbpsオーバーを記録! 安定して6Mbps以上を叩き出す結果に大きな満足感を得た。といって、インターネットの使い方は従来と変わっておらず、6Mbpsをフルに使い切ることはなかった。要は気持ちの問題だ(それからしばらくして近所のADSLユーザーが増えたせいなのか、平均5Mbpsと少し速度が落ちたが……)。その後Yahoo!BBが12Mサービス(月額3,700円程度)を開始したのでこれにもすぐに申し込んだ。新しいモデムが届いたので接続して回線速度をテストしたが、平均6Mbps台に戻っただけだった。つい最近は、平均4~5Mbpsとまた速度が落ちている。それでも我が家の使い方では十分過ぎるほど、速度には満足していた。
■ 行き着いたのはマンションの格安FTTH
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玄関にある下駄箱を開けると、ブレーカーの下にこのようにハブが設置されている。ハブから出たこのLANケーブルが、各部屋の差込口までつながっている
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実は、今入居しているマンションには、インターネットが全戸で使えるように最初からブロードバンド環境が整備されている。その名は「じょいふるねっと」。管理人室にあるサーバーまで光ファイバーが引かれ、そこから各戸まではLANにより接続されている。あとは申し込みを「じょいふるねっと」に行なうだけで使える仕組み。各戸では玄関にハブが設置され、さらにそこから電話回線のように各部屋に用意されたRJ-45端子まで届いている。
そんな便利なものがありながら、なぜ個別にYahoo!BBに加入していたのかというと、入居当初はサーバーまでのインフラの通信速度が遅かったのだ。それを全世帯で共有する仕組みのため、料金が安いとはいえ通信速度に魅力を見出せなかった。サーバ機器の保守として、各戸が毎月1,000円を管理費として払ってはいるが、それは捨てるつもりで満足のいくサービスを選んでいた。Yahoo!BBの3,700円+捨てている1,000円で計4,700円が毎月の本当のブロードバンド代だったわけだ。
そんな中、今年5月に「じょいふるねっと」から、FTTHサービスを開始したという通知を受けた。なんとFTTHが月額1,800円だという。捨てている1,000円を加えても2,800円。これでFTTHは安い。ただ各戸はプライベートIPによるサービスとなり、一部利用できないコンテンツがどうしても出てくる……。そこで、改めて最近のインターネットの利用状況を妻と二人で再確認してみたが、どうも我が家ではグローバルIPでなければ困る理由がほとんど見つからなかった。その時点で即「じょいふるねっと」への申し込みとなった。
「じょいふるねっと」は、サーバーの設定を変更するだけなので、申し込めばすぐに使える状態となる。提供された4つのプライベートIPを必要な機器に割り振り、ハブを介して接続。一切工事は必要なくあっという間にFTTH環境となった。
実現されている通信速度は16Mbps。FTTHとしては速いとはいえないが、マンションに導入されているインフラとしては平均的らしい。我が家にしてみれば、どう考えても16Mbpsでは物足りない状況は起こりそうもなく大満足だ。しかも、Yahoo!BBのときは実質ブロードバンド代が4,700円かかっていたが、いまは2,800円のみと格安。通信速度が速くなって価格が約2,000円下がるというのは、大きなコストダウンだ。現時点では、生活インフラの中で水道代についで2番目に安い存在となった。
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各部屋にはこのような差込口が用意されている。LAN端子の上は電話回線用
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仕事部屋として使っている部屋にWindowsとMacのデスクトップがある。写真は、無線LANルータとハブ。写真右上にはまもなく返却するYahoo!BBのモデムが写っている
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■ 生活インフラの中で最安値が実現か……?
つい先日の7月31日にマンション管理組合の理事会において、「じょいるふねっと」の担当者からいろいろ説明を受ける機会があった。目的は現状のサービス内容の理解と保守管理費の扱いについて。私にも理事会から声がかかり、出席して話を聞くことになった。現状のサービスについて細かく説明があったあと、プライベートIP接続のために起こる制限と料金のバランス、「じょいふるねっと」未加入の家庭も含め全戸が負担している保守費用1,000円の問題などについて意見交換をした。
「じょいふるねっと」には、有料のオプションサービスとしてグローバルIPサービスが用意されていることもあり、双方の最終的な落ち着きどころとしては、各戸1,000円の保守費用を廃止し、もっとヘビーに使いたい家庭は、用意されたオプションサービスを積極的に利用したらどうか、という話になった。オプションといっても廃止される1,000円分で大体まかなえる勘定になるので問題はない。わが家のように普通に使うぶんには、1,000円分安くなった1,800円が現状のサービス内容としては妥当だろう。
ということで、あとは理事会が各管理組合員に分かりやすく説明して、決を採るだけとなる。だれも損をする話ではないので、おそらく保守費用各戸負担1,000円の廃止とそれにともなって安くなるFTTH月額1,800円は受け入れられるはずだ。そして我が家のブロードバンドは、生活必需品となってから、生活インフラ全体のなかで最安値だった水道代よりもさらに安い存在となる。
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モバイルでも自由にインターネットをということで、最近購入したLinux Zaurus SL-C860。普段は、京セラのPHS 128kbpsつなぎっぱの「KWINS」でインターネットへ接続。接続料は半年契約で月当たり1,970円
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CFタイプの無線LANカードとKWINSがあれば、ホットスポットで高速に、いつでもどこでもPHS接続とインターネットに死角はないはずだが、電車での移動に弱いのが難点……
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■ 来年はホームページでも作ってみようか
仕事がらみの利用が多い我が家のインターネット環境だが、来年は少し違った利用ができそうだ。ずっとやらずに来たホームページの開設だ。我が家には麻呂まゆげがかわいい黒い柴犬が同居している。もちろんデジカメで写真を撮りまくっている。これまでの累計で5,000枚は撮っているだろう。
そして来年はもう一人家族が増える予定なのだ。こちらもおそらくデジカメやビデオで撮りまくるに違いない。これらの素材をハードディスクの肥やしにするのはもったいないので、成長記録がてらホームページを開設しようという考えである。まさか自分がこれをやるとは思っていなかったが、来年が楽しみでならない。写真はデジタル一眼レフカメラで撮りたいと思うが、我が家の大蔵大臣は買ってくれるかな~? 買ってくれないだろうなぁ……。
■ 参考データ
居住地区 | 東京都練馬区 |
回線の種類 | FTTH |
プロバイダー | じょいふるねっと |
スループット | 下り約16Mbps・上り約16Mbps |
■ URL
じょいふるねっと
http://www.jful.jp/
2004/08/05 10:55
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SASUKE SASUKEの仕事は編集。もう編集やり始めて12年になる。家ではデジカメやデジタルビデオで愛犬を撮ったり、パソコンでのTV録画をDVDに焼いたり、プロジェクターの大画面で映画を楽しんだりと、お金もないのにこんなことばかりやっている。またJリーグの浦和レッズが大好き。今年はリーグ優勝のチャンスがあるので埼玉スタジアムへよく応援に行っている。 |
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