■ ここは風光明媚な香川県詫間町
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「日本の夕日百選」に選ばれたほど風光明媚(=ド田舎)な詫間町。瀬戸内海に沈む美しい夕日をご覧あれ(撮影:佐藤大介氏)
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四国・香川県の西部に位置する瀬戸内海にちょこんと飛び出た半島部分、そこが小生の住むまち「詫間町」である。「日本の夕日百選」に選ばれたほどの風光明媚な地なのだが、裏を返せば超ド田舎ということだ。
その割には、地元の商工会が主体となり「うらしまネット」という非営利プロバイダを立ち上げ、当時2,000~3,000円かかっていた月額料金を1,000円という格安料金で提供し、話題を呼んだこともある。小生も運営委員として企画段階から参加させていただき、地域情報化の基盤作りに力を注いだ。
小生が自宅でインターネットを始めたのは平成8年4月。いきなり話題のISDN回線で始めるべく自宅回線を切り替えようとしたが、同番移行が不可能とのこと。我が家は自営業で電話番号が変わるのは困るため、施設設置負担金7万円を支払って新規契約した(当時ライトプランはなかった)。
しかし当時、アクセスポイントが自宅から50km離れた高松市にしかななく、接続するたびに料金が気になり、回線をつなぐ→ホームページを表示→回線切る→読む→回線つなぐ→次のページを表示→回線切る→読む、この繰り返しだったことを思い出す。
そのうちに筆者はパソコンサポート業を始めた。人を雇った関係上、複数台のPCをインターネットに接続することを余儀なくされ、ダイヤルアップルータを使い始めた。すでにその時にはアクセスポイントがエリア内にできていたため、利用時間の歯止めが利かなくなった。仕事時間中にガンガン使うものだからテレホーダイの効果もほとんどなく、電話料金は月額2、3万が当たり前の状態になってしまっていた。
■ 「町」と「村」の差って?
2001年春、世間では「フレッツ・ISDN」なる定額料金サービスが話題を呼び、当然小生もエリア内でのサービス開始を待ちわびていたクチだ。平均2万5千円はかかっていた通信料が、わずか3,000円程度になるのだから当然である。2001年8月、ついに詫間町にもフレッツ・ISDNサービス開始とのうわさが流れ、小生を含めヘビーユーザー共が小躍りして喜んだのだ。
我が詫間町は詫間地区と荘内(しょうない)地区に分けられており、小生は詫間地区に住んでいる。簡単にいうと詫間は“町”で荘内は“村”といったバランスで、それぞれにNTTの収容局がある。しかし、なんと!よくよく調べてみると、サービス開始は荘内地区だけだという。なぜより田舎のほうが先にサービス開始になるんだ!と、田舎にこそ高速なネットワークインフラが必要なのだという持論も棚に上げ、NTTに当り散らした。
散々文句を言い続けた成果か、2002年2月、今度は詫間地区にフレッツ「ADSL1.5M」が開通する運びとなった。実はこれほど早くADSLサービスが始まるとは思っていなかったため大喜びしていた。しかし実際には大変苦労することになった。とはいっても、他の方々が書かれているような“つながらない”という類のことではなかった。
■ モデムが手に入らない!
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NTT-MEのMN7310(モデム内蔵ルータ)
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NTTマーケティングアクトの代理店をしている小生は、ここぞとばかりに契約を取りまくった。だがこの時期、全国的規模で急速にADSLが普及している時期でもあり、モデムの供給がまったく追いついておらず、工事ができないという事態が起こった。レンタル品は納期未定、購入品は早くとも2ヶ月待ちといった状態だった。そこでNTT西日本以外の製品を探しまくり、何とかまとまった数を確保できたのがNTT-MEのMN7310(モデム内蔵ルータ)である。NTTの純正モデムよりは高くつくが、セキュリティーが堅く接続がスムーズであることをお客様に必死で説明し、納得していただいた。
実を言うと、これがきっかけで小生自身もMN7310が気に入り、以後MNシリーズばかりを勧めていたのだが、これが後に大変良い結果につながった。ルータタイプのものはアドレス変換・ポートフィルタ等の機能が付いているため、小生のお客様のほとんどがBlasterウイルスの被害に遭わずに済んだのである。一部のどうしてもレンタルがいい、ルータは高いから嫌だと言い、なおかつウイルス対策ソフトを導入していないお客様だけは被害に遭われてしまったようだ。読者の皆様にも気をつけていただきたい。
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MN7310のビットマップ
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■ 「詫間ブロードバンド研究会」を発足
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「詫間ブロードバンド研究会」メンバー
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もうひとつ大きな問題があった。これも急速に普及しすぎた結果起こった弊害であるが、NTTの受付があまりにも無知だった。ほとんどすべてのお客様に対して「お客様のところではつながらないかもしれませんよ」とアナウンスしていたのである。実際小生に対しても同じアナウンスがあったが、開示情報(1,350m、36dB)での結果は上り512kbps、下り1,536kbpsのフルリンクである。
頭に来た小生は、NTTの姿勢に対抗するため、知人に声をかけ「詫間ブロードバンド研究会」を発足した。サイト上に「地域別スループット調査」というページを構築し、メンバーやその周囲からリンク速度等のデータ提供を受け、またお客様宅に設定に伺った際に許可をいただいてデータを取るなどして、データを集めて掲載した。そして地図上に印をつけ、地点ごとのリンク速度・開示情報(線路距離長・伝送損失)・実測値を掲載し続け、かなり詳しい資料が出来上がった。
以後、NTTが「つながらないかもしれませんよ」と言うたびこのデータを突きつけた。その結果、アクセスログには定期的にNTT高松のドメインが記録されるようになったのである。
しばらくしてから8Mプランにも対応し、順調に進んでいるかと思いきや、今度はいつまでたっても12Mプランに対応しない。同じ郡内で1.5M、8Mの開始が詫間町よりも遅かった高瀬町でサービスが開始されているにもかかわらずである。
どうやら局側設備であるDSLAMの型式が古く、12Mに対応していないのが原因らしい。高瀬町のものはファームウェアの更新だけで対応できたらしく、ここに来て初期のサービス開始時期の前後が影響してきたようだ。その勢いで現在高瀬町は24Mにも対応したが、詫間町は8Mのままである。また、荘内地区にいたってはいまだにフレッツ・ISDN止まりである(NTT以外の事業者はサービスを開始する気配すらない……)。
これらの諸事情を受けて、小生はこう考えている。さまざまな設備や地理的要因に制約され、一定水準のサービスを提供できないADSLサービスの“最高”速度向上にはいい加減に見切りをつけ、回線事業者はFTTHの全域提供に全力を尽くすべきではないのか。少なからず“ブロードバンド”の恩恵を受けられない人々がいるのだから。
■参考データ
居住地区 | 香川県三豊郡詫間町 |
回線の種類 | フレッツ・ADSL 8M |
接続事業者 | NTT西日本 |
線路距離長 | 1,350m |
伝送損失 | 36dB |
プロバイダー | OCN |
スループット | 上り800kbps、下り6,560kbps |
■ URL
詫間ブロードバンド研究会
http://www.add-in.co.jp/tbbs/
FLET'S Broad Avenue(NTT西日本)
http://www.ntt-west.co.jp/flets/fba/index_f.html
OCN
http://www.ocn.ne.jp/
2003/11/20 11:13
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