 |
||||||||
|
||||||||
第七十四景：田舎にもIP電話がやってきた！（前編） |
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
■ 回線速度よりも、気分はIP電話
ただ、コレ、速度向上はあんまり期待してなかったです。うちは謎の倉庫（実は電話交換局）から3kmほど離れてまして、伝送損失が31dBほどあるんです。フレッツ・ADSLお勧めタイプ診断コーナーで見てみると、いままで使ってきた8Mと比較してもほとんど速くなりそうな素地がない。診断コーナーは実際の回線速度の統計値が元になっていますから、この値からあまり大きくずれることはないようです。 じゃ、なぜわざわざこの時期に切り替えたのかというと、それは「IP電話」が使いたかったからです。IP電話とはご存じのように、IP技術を使った電話サービスで、とっても料金が安い。日本中どこにかけても3分8円ほど。海外への通話も安いらしいのですが、そう頻繁に海外に電話を掛けるわけでもないので、私の場合どうでもよろし。 さらに、いままで使っていた普通の電話機がそのまま使えます。昔は、一般電話から着信できなかったり、携帯電話へ掛けられなかったりしたのですが、状況はどんどん好転して、いまや普通の電話でできることはほとんどIP電話でできるようになってますな（キャリアによる）。できないのは110番なんかの緊急通信や不安定になってしまうFAXくらいのもの。 県外通話が多い田舎住まいの私にとって、IP電話は通信コストを大きく下げることができそうな魅力的なサービスなのです。いままではフュージョン・コミュニケーションズの回線を利用してまして、全国一律3分20円となかなかリーズナブルだったのですが、IP電話ならさらにお安く半額以下。使わない手はない！ ■ プロバイダーを変えてもIP電話したい 実はフレッツがIP電話サービスをサポートするという話は、昨年（2003年）の時点で知っていたのですが、普段使っているISPはちーっともサポートしてくれなかったのです。電話を掛けても「サポートしていません」「予定はありません」「予定はありますがいつになるか判りません」という返事に変わっていくぐらいで、いっこうに始まりそうにない。仕事で使うメールアドレスがありますから、そうそうISPをコロコロ変えるわけにもいかず、泣く泣く放っておいたわけです。ところが、昨年末あたりからウチよりはるかに田舎であるはずの友人達が続々とIP電話サービスに加入し始めました。電話があるたびに矢の催促。なぜなら同一IP電話キャリア同士なら通話が無料になるからです。メールアドレス云々言ってられなくなりました。 仕方がないので、ISPを変えるべくいろいろ調べました。ここで気が付いたのは、IP電話サービスはキャリアが複数あり、キャリアが変わってしまうとIP電話同士で通話できないということ。う～む、これは不便なり。同じIPベースで通信していて、しかも電話番号は総務省のおかげで全国統一の「050」から始まる番号になっているというのに通話できないというのはなんとも不便。わざわざ行政が踏み込んでくれたのに、民間が足を引っ張ってちゃどうにもなんないでしょ～が（怒）。 てなことで、あちこちのWebサイトを覗きながら一喜一憂してたわけですが、ふと普段使っているISPのサイトを見たら「IP電話サービス」の文字が……。ぐっ、いつの間にやら始めてやがったのか。それならそうと一言メールくらい送ってくれても……。あ、メールのニュース配信は断ってたんだ。だって広告だらけなんだもんね。見たかないよ。とは言え、こういうときは不便ですな。 なにはともあれ、IP電話を使える素地は問題なくすべて揃ったわけで、あとは申し込むだけだ。よっしゃ～。 ■ 回線は2つで電話は1つ!? で、調べることがもう1つ。IP電話を実現するには「SIP」に対応したルータなり機材がいる。SIPってのは「Session Initiation Protocol」の略で、要はIP電話の根幹をなすプロトコル。こいつに対応したルータやVoIPアダプタがないとIP電話は使えません。てことは、こいつをなんとかしなくちゃならない。市販のブロードバンドルータにはSIPに対応したやつはそう多くないし、IP電話もまだ枯れた技術とはいえない状況なので、よくわからんところで妙なトラブルが起こっても困ります。その点、フレッツやアッカ、Yahoo!BBといったキャリアが用意してくれてるものなら問題はまず起こらないし、第一レンタルがあるのでイニシャルコストを気にしなくてもいいというメリットがあります。そのうちIP電話なんか空気のような存在になるのは目に見えているから、市場が落ち着いたころにSIP対応ルータをじっくり吟味してから買っても遅くない。 てなわけで、フレッツでレンタルしてくれる機材の中から選ぶわけですが、選択肢は2つ。ルータ機能付きADSLモデム（ルータ機能、SIP機能付き）にするか、ADSLモデム＋VoIPアダプタにするか。実はこれはどちらでもよかったのですが、導入時、ルータ機能能付きADSLモデムは、アナログ電話回線を接続するポートが1カ所しかないと思い込んでいました。 この勘違いにより、VoIPアダプタを選択することになりました。つまり、「普通なら電話線を1本接続するだけで、インターネット、IP電話、一般回線電話が利用できてとっても幸せだが、スペシャル回線な我が家はこれでは困る」と思ったわけです。というのも、我が家に引き込んでいるADSL回線はデータ通信専用の「タイプ2」でして、こいつは新規に回線を引き込んでも設備設置負担金（いわゆる電話債券ね）が不要なかわりに、電話番号がありません。つまりルータタイプを選択すると、そこに接続した電話機では、一般回線としての発着信ができないと思ったわけです。 そこで、「ADSLモデム単体＋VoIPアダプタ」というセットを選択しました。VoIPアダプタはWANポートとLANポート、さらに電話回線ポートが装備されるという豪華仕様。これを使って、接続図のような結線を行ないました。 ところが後でわかったのですが、フレッツ・ADSLで提供されるVoIP機能付きのADSLモデムは、ADSL帯域用のモジュラー端子と音声用のモジュラー端子がそれぞれ用意されていたのです。つまり、ルータにISDN回線側のモジュラーケーブルを接続して、IP電話兼一般回線の電話として利用することが可能だったのでした。 余計な取り越し苦労をしてしまったとも言えますが、図の接続でも、普段はなにも考えなくてもIP電話経由でお話ができて、IP電話で繋げないような緊急電話等の発信はISDN回線経由となります。もちろんIP電話経由でも、ISDN回線経由でもまったく意識することなく着信可能です。 ただし、これはVoIP機能付きADSLモデム内蔵ルータを選択しても、同じことが実現できるわけで、これから導入する方はそちらの方が配線もやや簡単と思われますし、その方がいいかもしれません。
■ なんだか不安の残る申し込み とはいっても、最初からうまくいくとは思ってません。フレッツのサイトを漁っても、このVoIPアダプタの詳細はきちんと書かれていないんです。いやポート数や種類なんかは書かれているんだけど、それがどう機能するかが読み取れません。最後は、まぁいいや、なんとかなるだろ、と勢いで申し込んでしまいました。「もしも～し、IP電話使いたいんですけど～」 「あー、それならモデムが交換になります」 「ついでに24M契約に切り替えたいんですけど～」 「わかりました」 「で、ですね。ルータタイプはヤなんで、ルータ機能無しモデムでお願いしたいんですけど」 「えーーーーーと。あ、分かりました。モデムとスプリッタで承ります」 「……（スプリッタ？ いいのか？ スプリッタってSIP機能なんか無いぞ。でも、新しいADSLモデムには、そんな機能もあるのかな？ まぁ、いいや）」 「それでお願いしま～す」 「ありがとうございます」 と申し込んだのが2003末。年末ぎりぎりの時期だったので、工事は2004年1月8日に決定。モデムは7日に送られて来るという。いやっほ～、これでIP電話だぜ。日本全国3分8円だぜ！ （来週の後編につづく） 2004/01/28 11:11
|
 |
|
| Broadband Watch ホームページ |
|
|
|
|
 |
|
| Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
|