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VAIO UでIP電話。巨大なスマートフォン?
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本連載で、すでに中国内陸部の都市「雲南省昆明市」にADSLを開通させたについてはご紹介した(『番外編:中国の奥地でADSL』の回参照)。今回は、この回線を用いて日本のIP電話サービスに挑戦してみたレポートをお送りしよう。
今回利用したサービスは「dialpadインターネット電話」。「世界中どこからかけても日本国内の固定電話は3分9円、日本国内の携帯電話は3分74円と安い」のがウリである。世界中どこからかけてもいいというなら、かけてみようじゃないの、ということで挑戦に至ったわけだ。
使用機種はVAIOのTypeU、電話をかけようにもイヤホン端子はあれどマイク端子がない。というわけでUSBマイクを使用する。なお、このUSBマイクについてはケータイWatchの「本日の一品」コーナーで紹介したので参照していただきたい。
IP電話を試した結果からいうと、とくに問題もなく、日本の電話に格安でかけることができた。しかし、さすがに距離のせいか、はたまたバックボーンのせいか、日本国内でこのサービスを利用したときよりも自分の音声が相手に届くのが体感ではっきりわかるくらい遅く、同じ会話をするのにも3倍くらい時間がかかりそうな、そんな感じではあった。
ちなみに、これを読んで、「よし、俺もやってみるか!」と思った外国在住の方に注意。このサービスを受けるにはBiglobe、eonet、TNC、T-comのいずれかの会員にならなければならない。最初に登録した際、仮のユーザーネームとパスワードがもらえ、これではじめの数週間は使えるのだが後でプロバイダーから本ユーザーネームとパスワードが郵便物で送られる仕組みになっている。
つまり、海外在住者が利用するためには、たとえば実家に届くように指定し、家族なりにユーザーネームとパスワードを教えてもらうなど、日本国内在住者との連携プレイが必要となる。
■ 中国のホットスポット(熱点)に挑戦
中国にもホットスポットのサービスが中国移動通信(China Telecom)と中国網通(China Netcom)より提供されている。上海、北京、広州など中国を代表する大都市は両会社のホットスポットがあり、各省都や、一部の中小都市では中国移動通信のみホットスポットがある。
中国移動通信のホットスポットは、なんとチベット自治州の都「ラサ」にもあるのだ。富士山の頂上並みの標高にあるため、ラサにあるホットスポットはひょっとしたら世界一標高の高いホットスポットかもしれない。
話が脱線してしまったが、ホットスポットの利点は、中国で仕事や留学で家を借りていているため、ブロードバンド回線が引けない人でも工事なしで自分のPCでブロードバンド回線が使えるところにある。また中国をPC片手に放浪するような人もまたしかりで、ホットスポットゆえにPCを公衆の場に持ち出さなければならいが、治安の心配はない。なぜなら多くのホットスポットが有名ホテルやランドマーク的なビルの中にあるからだ。
中国移動通信はサポート地域も広く多く、中国網通のサポート地域は大都市や大都市周辺に限られ、速度はどちらもIEEE 802.11bをサポートするのみで大差ないので、中国移動通信のやり方を紹介することにする。
まずはユーザー登録の方法だが、携帯電話のショートメッセージを使って登録することになる。電話番号「1866」宛に「SQWLAN」という本文のメールを送る。中国移動通信からユーザーネームとパスワードが書かれたメッセージが返される。パスワードを変更したい場合は同じく電話番号「1866」宛に「XGWLANMM 旧パスワード 新パスワード(6文字)」と入れればOKだ。
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ユーザー登録画面
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パスワード変更画面
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そんなわけで、やることは簡単なのだが、筆者の場合はなかなかすんなり成功しなかった。何度目かの送信でやっとユーザー登録ができ、リトライにけっこう時間と手間がかかってしまった。この作業は、市で一番大きな中国移動通信のオフィスに行き、登録作業をスタッフに手伝ってもらうのが一番確実だ。
ホットスポットでは、SSIDを「CMCC」にすると、信号が届いてさえすれば、Webブラウザを開いて、任意のページにアクセスすることでホットスポットサービスのスタートページが自動的に表示される(ちなみに中国網通のSSIDは「cnc」)。ここで、用意したユーザーネームとパスワードを該当箇所に入力すれば無事にログインとなる。課金はプリペイド式であるGSM携帯電話のカードから徴収される。料金は0.2元(約2.6円)/分。終わらせたい場合は、ホットスポットのスタートページの「下線」ボタンを押せばオフラインになる。
余談だが、中国では無線LAN規格について中国独自規格「WAPI」の使用義務付するか、WAPIの使用は義務付けせず、世界標準のWIFIを使ってもよいかで今年上半期揉めに揉めていたが、結局WAPI採用は無期限延期となり、それ以降、WIFI規格の802.11a/b/gの無線LANを安心して使えるようになった。今後は法的にも安心してWIFI規格の無線LANを持ち込み、使ってよいわけだ。
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ホットスポットスタートページ
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ホットスポット接続成功
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■ 中国のホットスポットでIP電話で日本に通話してみた
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中国のIP電話屋
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それでは、せっかくだからということで、前述のホットスポットで、前述の「dialpadインターネット電話」を使ってみることにした。VAIO Uを表に出すだけでも目立つのに、加えてマイクをつけてVAIO U自身を受話器代わりにするのだから、注目の的だ。周りの中国人の熱い視線が気になるが、かまわず電話をかけてみた。結果としては相手の声はクリアに聞こえるものの、相手はこちらの声が音とびしてほとんど聞こえない状態だということで、実際には使い物にならなかった。
ちなみに中国では、大都市や中都市でIP公衆電話が当たり前のようにあり、IP電話に対してハードルが高いというイメージはない。「IP電話」の名称自身が普及しているせいか、中国の人々にとってIP電話とは、「長距離電話が安い均一料金でかけられる」というイメージが持たれていて、Ip電話は広く普及している。もちろん、日本にかけるのも一般電話でかけるよりもはるかに安い。しかし、それでもdialpadインターネット電話の安さにはかなわないので、筆者自身はやはりdialpadサービスを常用するのであった。
【参考:ブロードバンドスピードテスト(ダウンロード)】
NTTPC(WebARENA) | 270kbps(124KB、4.3秒) |
SAKURAインターネット | 500kbps(264KB、3.7秒) |
推定最大スループット | 500kbps |
キャリア:中国移動通信(China Mobile)
測定日時: 2004年09月29日 17時49分
測定サイトURL: http://www.bspeedtest.jp/
■ URL
ダイヤルパッドインターネットサービス
http://www.dialpad.ne.jp/
中国移動通信ホットスポット(英文)
http://218.200.244.88/wlan/bin/login.pl?wlanacname=&wlanuserip=&languagetype=ENGLISH
中国移動通信ホットスポット対応エリア一覧(英文)
http://218.200.244.88/wlan/html/WLAN_list1.htm
中国網通ホットスポットサービス案内(英文)
http://www.mobileoffice.com.cn/english/index.htm
2004/10/14 11:07
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山谷剛史 海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進しております。現在中国滞在中。 |
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