一度味わってしまった生活レベルはなかなか落とすことができない。浪費癖が直らない人がよく口にする言葉だが、ADSLの環境もマサにソレ。高速常時接続環境を一度でも体験してしまったこの身はダイヤルアップ回線に戻ることは無理。というわけで、ADSL回線の接続開始とともに、ネットジャンキー生活を送ってる日常を報告せよというお達しのもと、今回の原稿執筆とあいなった。
■ 変えたくても変えられない。ネットジャンキー故の密かな悩み
ダイアルアップ接続からADSL接続に変えたのは、NTTが本格的にADSL事業に乗り出したちょうど3年前のこと。何度も訪れるNTT職員の「ISDNにしませんか」攻撃を払いのけ、ひたすらxDSLサービス開始を待っていた。2000年12月のサービス正式開始発表の時には小躍りして喜んだものだ。発表から一夜明けた翌日、最寄りのNTTにこの地域でのADSLサービス開始日がいつになるか電話したところ、「フレッツISDNに関するご質問でしょうか?」の返答。自分の会社の発表くらいちゃんと確認しておいてもらいたいものだ。
結局回線が開通するのは2001年の初夏のことなのだが、NTT東日本とはそれ以来のお付き合いということになる。その間、回線の乗り換えを考えなかったわけではないが、ADSL回線の切り替えには数日から2週間程度かかってしまう。この間ネット接続できなくなるのかと思うと、はっきりいって頭がイタイ。仕事がら何かを検索したり調べたりすることが非常に多いのだが、調べモノにはgoogleを、辞書代わりにasahi.comやexcite、翻訳にはaltavistaを利用するのが当たり前となっている。さらにiTunesのネットラジオやネットゲームのFF XIなどなど。これらのサービスが利用できなくなるとそれこそ死活問題になってしまう。
もちろんこれは大げさな表現であることは自分でもよくわかっているのだが、これらが使えないということに対して非常に大きな恐怖感があるのだ。もう、完全にネットジャンキーといってもいい症状であることはマチガイナイ。
また、ADSLの回線速度というのは所詮ベストエフォートであると、常にどこかで考えてしまっているようなところもある。40M回線の宣伝をみても「最高で40M出るってダケでしょ」と思ってしまうのだ。理論上どれだけ速くなるといっても、上流ネットワークの状態や回線の品質によっては8Mとさほど変わらない場合もあることを考えると、べつにわざわざ回線を変えなくてもいいのではと思ってしまう。それに、ダウンロードは速くなってもアップロードは1Mのままとういことが多いのだし。将来手に入れられる速い回線よりも、現状の接続されている回線を失うことが怖いのだ。これはカナリの末期症状なのだろうか?
■ 保安器問題の解決はどうなっているのか?
|
こいつが問題の保安器。交換にかかる金額は8,000円程度だが、ADSL回線が突然切断されるのはかなりのストレスになる。この程度の費用は払っておいた方がいい
|
この3年間の間、幸いなとことに大きなトラブルはほとんど経験してないので、他の執筆者のようにさまざまな事例を挙げることができないのが心苦しい。そこでADSL接続初期に遭遇した問題を1つとりあげておこう。いわゆる保安器問題だ。電話がかかってきた時にADSL回線が落とされるアレである。googleで検索してみたところ「保安器 トラブル」で5,000件以上がヒットする。かなりメジャーなトラブルらしい。まさか「いまネット接続しているんだから我が家に電話かけるな!」というわけのもいかないし、勝手に取り外すわけにもかないので、ADSL接続初期のころはカナリ悩まされた。
電話保安器とは雷サージなどの異常電圧から通信機器を守るために設置されるもので、とても重要な役割を負っている。一般的な一戸建てならば家屋の外に設置されている。対処法としては保安器をNTTに交換してもらう以外に手はないのだが、そのためには出張料などで8,000円程度のコストがかかってしまう。またこの保安器の交換は、法律上NTTの作業員以外がすることは禁じられている。
NTT側の主張としては、ADSL回線業者が複数あるのだら、トラブルがあるからといって保安器の交換をNTTだけが負担することはできないということらしいが、こちらはNTT東日本のフレッツ接続を使っているのだ。それでもNTTは取り替えてくれないのはどういうことなのだろうか? ちょっと納得できない。
実はこの保安器交換を無料でするための方策がないわけでもない。音声通話の品質に問題がある場合は、基本的なサービスとしてこの保安器を取り替えてくれるというのだ。この話を聞いたとときにピンときた。自宅の近所にはアマチュア無線家が何人か住んでいるらしく、大きなアンテナを見つけることができる。また、コードレスホンにたまにアマチュア無線の声がのってしまうということもあった。そこで、コードレスホンの音声を録音して、NTTの職員に実際に聴かせるという方法で説得にかかってみた。案の定効果抜群で、トラブル報告をした次の週には保安器の交換にやってきてくれた。
回線品質(速度)はベストエフォートでも結構だが、回線維持だけはしっかりと確保してもらいたい。3年という年月が経つのに、いまだに保安器によるトラブルが無くなっていない様子だが、40Mなどの速度をアピールするよりも、こうしたプリミティブなところでのサービスにも回線業者はぜひ乗り出してもらいたいところだ。
|
|
自宅のNTT回線はモジュラージャックにはなっていないほど旧い。つまり、回線品質を改善するためには、大規模な工事が必要と予想している。これも回線業者変更に対する大きなマイナス要因
|
3ピン接続からモジュラージャックタイプに変換するアダプタ。3年前までは大型量販店でも簡単に手に入っただが、最近では姿をみることも少なくなっている。こうした変換アダプタなどの生産が打ち切られることはないのだおろうか?
|
■ 禁断の麻薬オンラインゲーム
ブロードバンド環境を手に入れることによって間違いなく変わるのはネットゲームの世界。常時接続のおかげで、いつでも好きな時間に好きなだけ遊ぶことができる。その反面中毒性が高く危険であるともいえる。特に大人数が同時に参加するMMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)はアブナイ。どっぷりハマって現実世界に戻れない人々がブロードバンド先進国のアメリカや韓国で社会問題として取り上げられているほどだ。
ネットジャンキーを標榜する筆者もDiabloに始まりPSOなど様々なネットゲームを体験してきており、現在はスクエア・エニックスの「Final Fantasy XI」で遊んでいる。ネットが手放せないのはネットゲームのせいとも言えなくもない。しかしまだどっぷりハマルというところまではいっていない(と思っている)。
個人的に感じるネットゲームの魅力は、放課後の部室に集まる仲間達とのたわいのない無駄な時間のようなものが、いつでも得られるという点だろうか。友人達とのほとんどどうでもいい無意味な会話、強大な敵を倒したときの連帯感や達成感、そういたものを仮想現実の中で味わうことができるのがネットゲームだ。社会人となり、時間に追われる身だからこそ、こうした感覚が訪れるのかもしれない。
ネットゲームで廃人と呼ばれ、一日のほとんどを仮想現実の世界の中で暮らしている人も少数ながら確かに存在する。MMORPGではシステムとして最強キャラを作るのはほとんど不可能にもかかわらず、「最強」や「勇者」を目指して努力しているようだ。既存のRPGゲームの延長として考えているようなのならば、MMRPGに手を出さないほうが身のためだろう。
映画マトリックスではないが、現実世界と仮想現実の中を行き来することが、ゲームだけでなくネットワークのおもしろみなのであって、仮想現実の中に逃避するのは無意味だと筆者は思う。現実と非現実を理解した上での「遊び」の認識ができなければ、ネットゲームはタダの逃避場所になり下がってしまう可能性があるのだ。
|
|
NTTからのレンタルとなる8M対応レンタルモデム。NTT東日本との契約は1.5Mとなっているが、1.7Mbps出ているので大満足(笑)。@nifty側の契約条項が変更になったので8Mbpsに回線接続を上げる計画中
|
おんぼろLinuxサーバー。ADSL回線開通直後はルータとしても働いてくれた功労者。いまだにファイルサーバーとして現役でがんばってくれている
|
■ 回線速度<接続
ブロードバンドの魅力は速さより常時接続環境であるということ。これにつきる。しかし、ブロードバンド環境が整ったとしても、ほとんどの人はブラウザとメール以外のネットワークソフトを使っていないのではないだろうか。必要な情報を必要な時に手に入れられる、非常に便利なツールであり、それ以上でもそれ以下のものでものない。インターネットもブロードバンドもその程度のものと考えて、肩肘張らずにつきあっていくようにしたほうがいいのではないだろうか。
■ 参考データ
居住地区 | 東京都江戸川区 |
接続事業者 | NTT東日本 |
回線の種類 | ADSL |
線路距離長 | 2,380m |
伝送損失 | 36dB |
プロバイダー | @nifty |
スループット | 下り約1.7Mbps |
■ URL
フレッツ公式ホームページ(NTT東日本)
http://flets.com/
@nifty
http://www.nifty.com/
2004/06/10 15:33
|
kuro(黒澤利男) プロのフリーター? 明確なジョブはないが、プロフェッションとしては物書き。デジタル漬けの毎日をおくっているため、妙にアナログなものに心奪われる今日この頃。特に音楽は人が演奏したもの以外は体が受け付けなくなるほど。ヒッポホップ全盛の現在ではFMラジオを聴くのが苦痛になってくる。写真はメインで使用しているDynaBook。無線LANでで接続。 |
|