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第八十三景：光の見えない通信隔離地帯 |
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■ むかし話 小さい頃から「通信」というものが好きで、糸電話、トランシーバーなどのおもちゃで遊んでいた。パソコン通信といわれていた頃からネットワークには興味があったが、その機材は高額で、そのうえ通信用のプランもないために電話代がかかり、当時子供だった僕には手の届かない夢のお話だった。音響カプラがどれだけ輝いて見えたことか……。 数年後、自分のPC（PC-9801BX）を持つことができ、モデムを取り付けてパソコン通信を始めた。当時はインターネットはまだほとんど知られておらす、NIFTY-Serve、PV-VANに代表されるようなBBSに繋いで、その内部だけのメールや掲示板を利用するのが主な目的だった。通信速度は1200～2400bpsほどだったろうか。画像ファイルなどはとても重い物だったが、自分のPCの中にはない、外部の情報が見られるということが新鮮で面白かった。 ■ インターネットの始まり
そのころやっと埼玉の自宅でも手を出せるレベルのインターネットサービスが始まり、さっそく申し込んだ。モデムは33.6kbpsで、けっして快適とはいえないが、自宅にいても好きな時に接続できるのがうれしかった。当時自宅の回線はアナログの1回線のみ。まだ携帯電話も持っていなかったので、唯一の通信回線を占有するWeb閲覧は、通信時間と電話連絡に気を遣わなければならなかった。 ■ ISDN、そしてテレホーダイ モデムを56kbpsに換えたものの、やはり勤め先の専用線速度に慣れた身では自宅でのインターネット環境はストレスを感じるばかり。そこでデジタルで2回線分使用できるISDNを導入することにした。工事は電柱から家までの電線を交換したのと局内工事だけだった。モデムはMN128-SOHO Slotin。TAとルータ内蔵なのでこれだけで通信機材を済ますことができた。初の家庭内LANでもあった。通信中でも電話を使用できるというのが大きな進歩だろうか。速度的には若干速くなったので若干喜んだことを憶えてる。といっても、速度が若干速くなったところで通信費用はたいして変わるものではなかった。通信費用が高い安いというよりも、使用時間によってどんどん増える料金に落ち着かなくなってきた。料金を気にしながら通信するのはやはりカラダによくない。そんなわけで、そのころ始まったテレホーダイにはすぐに飛びついた。仕事から帰ってくるとちょうど良い時間にテレホタイムに入るので、使いやすいサービスではあった。が、夜型生活を強要されることに……。 前後して、様々なオンラインソフトを試してPC環境を充実させていった。特に便利だったのはWeb自動巡回ツールで、寝る前に見たいサイトを登録しておき、寝ている間にツールで自動巡回させて後でゆっくり見るというというものだった。それでも夜型生活から脱却できるわけではなかったが。 ■ ついにADSL……、なるか？ その1 埼玉県の僕が住んでいる地区は、インターネットのインフラ整備がとても遅かった。時代はADSLブロードバンドで常時接続と騒がれているのに、ウチにはまだ来ない。ずいぶん待った後、やっとADSLの足音が聞こえてきた、その名もYahoo!BB。評判は決して良くなかったが、とにかく申し込んだ。そして、ブロードバンドの夢を見つつ、半年が過ぎていった……。長すぎる夢はつらいものだ。Yahoo!BBの返事を待っているうち、今度はNTTのADSL 1.5Mサービス地域に入った。Yahoo!BBを取りやめて、すぐにNTTに申し込む。順調に話は進み工事日となった。NTTの工事担当の方に信号の状態を聞くと、電話局から家まで45dB、局内の光からアナログ変換で＋10dBで計55dBほどの減衰ということだった……、ダメだこりゃ。モデムを凝視しながら無駄話をして時間を潰すも、反応は見られない。話によると、電話局から家までの間に線路を挟んでいて、その間に埋められているケーブルが古い物のため信号状態が悪いそうだ。そのとき光回線について聞いてみたら「そこの100m先の交換機までは光なんだけどね、この辺りの光回線工事は1年後ぐらいかな～」と何ともやりきれない話をされ、失意のまま床についた……。 その後しばらく電源を入れておいてリンクするか試してみたものの、結局モデムが回収されるまでリンクランプが点灯することはなかった。回線をISDNからアナログに戻したために、仕方なく久々のアナログモデム生活を送ることになる。失意の中ピーガラガラと懐かしい音が響いた。 ■ ついにADSL……、なるか？ その2 再びISDNに戻すのもしゃくなので、ダメもとで評判をやや立て直してきたYahoo!BBの8Mサービスに申し込んだ。初期費用、工事費用などが不要で、その上、サービスもしばらく無料と良いことずくめだった。評判を除いては。しかし今回は「10営業日でがんばります」キャンペーンをやっていたためか、対応も早く、1週間ほどでモデムが届いて、後は局内工事を待つだけとなった。そして工事終了がメールで知らされ、期待と不安が入り交じりつつ取り付け済みのYahoo!BBモデムに電源を入れた……。モデムのランプが点滅し起動したことを知らせるが、リンクランプは点灯しない。やっぱりダメかと諦めかけていたころ、思い出したようにリンクランプが点灯した！ やっと点灯してくれた!! さっそくいろんなサイトを見て回る。これは速い!!!速度チェックをしてみると上り800kbps、下り700kbpsほど。ISDNより10倍も速くなっている。ADSLとしてはとても遅い速度だが、最初から8Mなんて期待していなかったし、繋がればラッキー程度に思っていたので、これは素直に喜んだ。 Yahoo!BBのサービスにはIP電話も含まれていたので、家にあった質素な電話を繋げて使ってみた。ダイヤルした後に「ププププ」と音がする以外、普通の電話と変わるところなく使えた。しかししばらくIP電話を使っているうちに音声にノイズが入り、とぎれとぎれにしか聞こえなくなることがあった。試してみるとPC側での転送量が多い時に障害が出るようで、こちらがファイルをアップロードしている時はこちらの声が、ダウンロードしている時は相手の声が通話不能になった。回線の転送量の低さが原因だった。これは仕方なく電話を使う時はファイル転送をしていないか、気を付けるようにした。 回線品質が低いことの問題はもうひとつあった。この回線、日に3～4度切れるのだ。20～30秒ほどで復帰するので、通常利用には大した影響はない。しかし趣味でネットワークゲームをするのだが、これはグループ単位で行動するため、行動中に回線切れが起こるととても困ったことになったものだった。 ■ 光が見えた そんな様子でADSL生活を送っていたころ、やっと光回線の対応範囲に入った。光回線は速度が速くて切れることもないなんて、それが確実に約束されているなんて、夢のような回線だ……、と思っていたのでもちろんすぐに申し込んだ。どのような状況になるか分からないので、ルータもとりあえずレンタルで申し込んだ。IP電話機能が付いているものだと「WebCasterV100」以外の選択肢はなかったので、スループット30Mほどというスペックだが、試験用にとこれに決めた。予定どおり、申し込んでからひと月ほどしてに工事日となった。工事担当のふたりがカゴ付きのクルマでやってきた。電線に金具を取り付け、光ファイバーケーブルを家の壁沿いに這わせていく。引き入れる壁にドリルで穴を開けてパイプを通し、ケーブルが差し込まれる。家の中では終端装置の取り付けが行なわれ、同時に外では最寄りの分配機まで電線沿いにケーブルを伸ばしていく。そしてケーブルマン持参のノートPCを繋いで接続テスト。緊張の一瞬……。画面を覗いてみると見たところ普通だが、少しメニューが多い様なFLETS接続ツールだった。待つこと数秒「86.9Mbpsですね。」と一言。そしてもう一度テスト「87.3Mbpsです」。は、速い！ 今までが800kbpsほどだから10倍、いや……、100倍以上！ ほんとか？
その後、記念にもらった光ケーブルを僕がポキポキ折って遊んでいるうちに工事は終了した。とりあえずIP電話は無視してケーブルをPC直付けして速度を満喫することにした。確認のためにFLETSスクウェアでの速度テストをしてみた。
スバラシイ。思わずニヤニヤしてしまう数値だ。意味もなくストリーミング映像を見てみたり、大きめのファイルをダウンロードしたり、画像の多いサイトを見て回ったりした。今まで回線に恵まれていなかったため、ストリーミングでナローバンド用を選んだり、ダウンロードを仕掛けてコーヒーを入れに行ったりしなくても良くなったのがとても快感だった。落ち着いたところでブロードバンドルータ「WebCasterV100」を繋いでみる。
このような結果で、光回線への変更は大変満足している。現在開通から3カ月ほど経ったが、インターネットラジオを聞きながらWebを閲覧をしつつ、IP電話を使用したりしているが、30Mbpsの転送量でも問題はまったく起きない。あまりに安定していてコストも安いので、高速ルータへの買い換えも気持ちが冷めてしまった。それでも仕事で大きなデータを転送する時には欲しいと思うこともあるので、格好いいルータが発売されたら購入を考えてみようと思っている。 ■ 参考データ
■ ＵＲＬ NTT東日本 http://www.ntt-east.co.jp/ BIGLOBE http://www.biglobe.ne.jp/ 2004/05/20 14:44
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