今回は「DLNA(Digital Living Network Alliance)」について説明します。DLNAとは正式名称から想像できるように、リビングなどに設置したデジタル家電機器同士をネットワークで接続するための標準化を行なっている団体名になります。
また、この団体で標準化された規格もまたDLNAとして呼ばれることが多いようです。ちなみにこの団体、当初は「DHWG(Digital Home Working Group)」という団体名称でしたが、途中からDLNAに改称しています。
■ DLNAが定めるもの
図1:DLNAの構成
2004年6月に公開されたDLNAのガイドラインでは、「DMS(Digital Media Server)」と「DMP(Digital Media Player)」の2種類の機器が想定されています。前者は名前の通り、デジタルコンテンツの保存や配信を行なう機器で、後者はDMSから配信されたコンテンツを再生する機器になります。
また、初期に策定されたDLNA 1.0では「DRM(Digital Right Management:デジタル著作権管理)」が考慮されておらず、DRMに対応したコンテンツはDLNA 1.0では利用できません。加えて、配線の暗号化にも未対応のままでした。これらに関しては、2006年10月以降に発表された施策で対応が予定されています。
今後に関してですが、まず最初に求められているのが暗号化への対応です。これは早い時期から着手されており、2006年10月のCEATEC JAPANにおいて、「DLNA Link Protection Guideline」がアナウンスされました。これはDTCP-IPと呼ばれる機器間認証と暗号化を行なう方式を必須とするもので、これにより例えばDMSとDMPの間に機器を挟んでコンテンツの複製を行なったりすることが不可能になりました。
ただこれはあくまで伝送路のみの保護であって、DRMの種類によってはこれだけでは不十分とされます。こうしたこともあり、オプションでMicrosoftの「Windows Media DRM for Network Devices」を利用できるようにしていますが、これ以外のDRMに関しては現在未対応のままで、今後の課題とされています。
これに関連して、2006年10月にリリースされたInteroperability Guidelinesの1.5では、単にDMSとDMPから構成されるシンプルなネットワークだけでなく、「DMC(Digital Media Controller)」や「M-DMS(Mobile Digital Media Server)」、「DMR(Digital Media Renderer)」をはじめとして対応機器が10種類まで増やされ、新たにBluetoothが追加されるなど、大幅に内容が追加されました。