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その95「PNGの現状と今後」
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その94「GIFの構造」
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その83「ShareとWinny」
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その72「IEEE 802.11nの動向」
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その50「WPAとWPA-PSKの違い」
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その49「WPAの仕組み」
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その47「OFDMAの仕組みとOFDMとの違い」
[2005/08/01]
その46「OFDMの仕組み」
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その17「LANの概念とその広がり」
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その7「NATとNAPTの違いとIPマスカレード」
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その6「VPNとVPNパススルーの仕組み」
[2004/08/23]
その5「無線LANの問題とWEP」
[2004/08/09]
その4「IEEE 802.11a/b/gって何を意味しているの?」
[2004/08/02]
その3「ダイナミックDNSって?」
[2004/07/26]
その2「グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス」
[2004/07/12]
その1「PPPoEって何だろう?」
[2004/07/05]

その46「OFDMの仕組み」


OFDMって何?

 前回、WiMAXの説明をした中で、OFDMやFDMAといった用語を説明せずに取り上げていました。そこで今回は、これらについて少し説明していきたいと思います。


基本的な用語

 今回、取り上げるのは「OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)」という用語ですが、これをいきなり説明しようとしても少し無理があります。そこで、基本的なところから説明するとしましょう。

 上に出てきたような用語は、いずれも「一定の無線帯域を、いかに多く分割して使うか」という方法に起因しているものです。例えば、AMラジオの例をとってみましょう。AMラジオの場合、利用できる周波数は531KHz~1602KHzと定められています。この1000KHzあまりの帯域の中に、多くの放送局が自社の番組を流そうとしているわけで、これが無節操に流したりすると混信して全然聴き取れなくなります。

 そこで現在では、この帯域を9KHzごとに区切り、各々を別々の放送局に割り当てるという形で解決しています。こうした形で、周波数を細かく分割して割り当てる方法を一般には「FDMA(Frequency Division Multiple Access)」と呼んでいます(図1)。


図1:FDMA

 分割には別の方法もあります。周波数は一緒でも、時間を細かく分割するというやり方です。AMラジオの場合は常に番組を流しているため上手くいきませんが、時間を決めて入れ替えという方法は、(一昔前の電話回線の多重化など)いろいろなケースで使われています。この方式は現在も有効で、実際PDC(NTTがMovaシリーズで採用している通信方式)はこの時分割を使った方式です。正式には「TDMA(Time Division Multiple Access)」と呼ばれます(図2)。


図2:TDMA

 さて、これに続く第3の方式が符号化多重という方式です。この方式では、時間も周波数もまったく同じですが、別々の「符号化」をおこなうことで、同時に通信するという仕組みです。例えは悪いのですが、夏場のプールではいろんな子供が騒ぎながら遊んでいるとします。しかし、親は自分の子供に「そろそろ戻ってらっしゃ~い」と声をかければ、(子供が気がつかない場合もありますが)ちゃんと子供は親の声を聞き分けて戻ってくるなり、より遠くにいくなり(笑)といった具合に意思の疎通が可能です。

 この方式、正式には「CDMA(Code Division Multiple Access)」と呼びます(図3)。“CDMA”という用語でピンと来た方も多いと思いますが、auのCDMA 1Xというのも、このCDMAからきています。つまり、auの携帯はCDMA方式を使っており、それをそのままシリーズ名にしているわけです。


図3:CDMA

いよいよOFDM

 それではOFDMに話を移すとしましょう。この方式はFDMA、つまり周波数多重の発展型として分類されます。ここに流す信号は当然アナログデータそのものではなく、デジタル変調を行なったデータになるわけですが、例えばその波形は図4のようになります。中央の点線の部分が中心の周波数ですが、その前後にもこまかく信号が出ていることがわかります。


図4:デジタル変調後の信号波形 図5:FDMAでの信号分布

 このため、FDMAでは図5のように、お互いが重ならないよう距離をあけて周波数を利用する形になっています。では、OFDMではどうか? というと、図6のようにお互いがある程度重なりあっても問題なく通信ができるという仕組みです。

 なぜこれが可能かというと、1つはデジタル変調を行なった信号なので、信号の干渉に強いこと(これはまたどこかでお話します)。2つ目は、ある信号のスペクトルの谷間に別の信号を重ねることです。この2つ目、数学的には「各信号の関数が直交関係にある」と表現されるため、ここからOrthogonal(直交)という表現がFDMの頭につくようになりました。

 さて、このOFDMですが、フェージング(周期的に信号強度が変化する現象)に強いとか、マルチパス障害(*1、複数の経路を通って信号が到達する関係で、時間的にずれた信号が同時に届く)に対応しやすいというメリットがあります。加えて、周波数の有効利用がしやすい、(FDMの場合よりも周波数間隔を狭めて複数の信号で利用できるため、同時に利用できる回線数が増える)といったこともメリットとされます。しかし、その一方で送受信に必要な回路がやや面倒になるため、コストアップに繋がるというデメリットもあります。ただコストに関しては量産のスケールメリットで吸収できるという考え方も当然あり、実際OFDMは現在広く利用される技術となっています。


図6:OFDMでの信号分布

図7:マルチパス
 *1マルチパスについて:マルチパスは、名前の通り、「複数の経路」を意味します。すべての経路が同じ距離なら、経路がいくらあっても構いませんが、それぞれの経路が異なるのが普通です。例えば図7でA→Bに送信するとき、まっすぐ伝わる(図中のa)だけではなく、途中で反射したり(図中のb)、場合によっては反対方向に進んでから戻ってくる(図中のc)ケースもあります。

 これが問題になるのは、距離が異なると到達時間が変わるためで、この結果、例えば10個のデータを送り出した場合、aの経路では5つ目のデータがBに届いたタイミングで、bの経路では3つ目、cの経路ではやっと1つ目が届くということが起こります。aに比べてbとcの電波が弱ければ、「1番強いもの以外無視する」という対策ができる場合もありますが、必ずしもこれが成立するとは限りません。この結果、受信側は時系列的に異なるデータ(この例なら1つ目、3つ目、5つ目)を同時に受け取ってしまうわけです。

 テレビなどでゴーストと呼ばれる、画像が複数重なって見える現象は、このマルチパスに起因するものです。それでは、なぜOFDMはマルチパスに強いのかというと理由は2つあります。

・シンボル期間が長く取れる関係で、時間軸での変動に強い
・ガードインターバルと呼ばれる空き時間が設けられているので、多少の時間軸での変動を吸収できる

 シンボル期間というのは、1つの波形を送り続ける時間と考えれば良いわけですが、OFDMではデジタル変調を行なって、ここである程度帯域を稼いでいる関係で、デジタル変調を行なわない場合よりも長くシンボル期間を取ることができます。マルチパスで問題になるのは、到達するデータが異なるからであって、例えば1つ目、3つ目、5つ目が届くのではなく、1つ目の最初と、1つ目の真中、1つ目の最後が同時に届くとすれば、これは問題になりません。

 もう1つのガードインターバルというのは、データを切れ目なく送るのではなく、データとデータの間に多少の空き時間を設けるという方法です。1つ目と3つ目といった具合に激しくデータが異なるとどうしようもありませんが、1つ目の終わりと2つ目の最初が重なる程度の遅延については、ガードインターバルが入る関係で1つ目の終わりとその後のガードインターバルが重なる形になり、ここで干渉を防げるというものです。

 もちろん、これらを使っても完璧にマルチパス対策ができるわけではありませんが、何もしないで送ったときに比べると遥かに強いとみなされています。

[UPDATE]
 マルチパスに関する記述を7月28日付けで追記しました。





2005/07/25 11:13

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。(イラスト:Mikebow)
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