IISは、Microsoftが提供するWebサーバーです。ちなみに正式名称は“Internet Information Server”と“Internet Information Service”の両方があります(この点は後述)。Windows環境上で動作し、Microsoftは戦略的にIISを安価(環境によっては無償)で提供してきたほか、Microsoftの開発ツール群との連動が考慮されているとあって、手軽にWebサービスを構築できるものとして広く利用されています。
■ IISの生い立ち
Windows Vista Ultimate(RTM版)上で動作するIIS 7.0をIE 7からアクセスしたところ
IISは当初、“Internet Information Server”として登場しました。最初に登場したのは、Windows NT 3.51のアドオンとして1995年に提供が開始された「IIS 1.0」です。このときには、MicrosoftのWebサイトからIIS 1.0をダウンロードしてインストールという形で、「とりあえずIISを使うとWindows NTマシンをWebサーバーにできる」というレベルのものでした。その後、Windows NT 4.0の登場に合わせてIISも2.0にバージョンアップしますが、機能的にはIIS 1.0と大きく変わらず、NT 4.0への対応が図られたという程度です。
これが大きく向上するのは、Windows NT 4.0 SP3に対応した「IIS 3.0」からです。IIS 3.0では「Active Server Pages」のサポートが追加され、これによって本格的にWebサーバーとして利用できる土壌が整いました。続いて登場した「IIS 4.0」はマイナーチェンジであり、機能的には大きな差はありません(Gopherのサポートが削除されたというのが主要な変更点の1つですが、そもそもGopherを使ったことがあるユーザーはすでに少数でしょう)。
これに続き、Windows 2000では「IIS 5.0」が登場します。この段階で、正式名称が“Internet Information Services”に変更されました。次いで、Windows XPには「IIS 5.1」が、Windows Server 2003とWindows XP Professional x64 Editionには「IIS 6.0」が搭載されて、原稿執筆時点における最新版になります。ただし、Windows VistaやWindows Serverの次期製品「Longhorn」には、「IIS 7.0」が搭載される予定です。
・メリット
:Windowsに標準搭載されており、無償で利用できる
:「ASP(Active Server Pages)」や「ISAPI(Internet Server API)」が利用できるため、サーバーアプリケーションの構築が容易
:GUIベースで設定が可能で、初心者にも容易
:解説書なども広く入手できる