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その3「ダイナミックDNSって?」
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その2「グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス」
[2004/07/12]
その1「PPPoEって何だろう?」
[2004/07/05]

その40「ARPの機能」


ARPって何?

 ARPとは「Address Resolution Protocol」の略で、LAN内でIPアドレスの解決をするためのプロトコルです。第38回でも、「これが“192.168.1.2”などの場合であれば、クライアントAは『相手がLAN内にある』とわかるので、ARPを使って相手のMACアドレスを特定し、そこに対して通信をかければ良いわけです」というように書きましたので、今回はこれを説明したいと思います。

 第37回で、LAN内の通信は最終的にMACアドレスをベースに行なうことを説明しました。ただ、プログラムはIPアドレス(やホスト名)しか知りませんので、どこかでIPアドレスをMACアドレスに変換する仕組みが必要になります。この仕組みを提供してくれるのが、ARPというわけです。


ARPの動作

図1:ARPの動作

 ARPの動作自体は非常にシンプルです。例えば図1のようなLANの構成があり、HostA(192.168.1.1)からHostB(192.168.1.101)に通信を行ないたいとしましょう。

(1)HostAは、自分の持つARPテーブルを参照し、その中に“192.168.1.101”のエントリーがあるかどうかを調べます。ここでエントリーが見つかれば、そこに入っているMACアドレスを取り出して一件落着です。

(2)一方、ARPテーブルの中に目的のエントリーが見つからなかった場合、LAN全体にARP要求パケットをブロードキャストで送り出します。このARP要求パケットの中身は、自分のMACアドレスとIPアドレス(この場合なら“aa-bb-cc-dd-ee-00”と“192.168.1.1”)、および目的のIPアドレス(この場合なら“192.168.1.101”)になります。

(3)ARP要求パケットを受け取ったすべてのホスト(ここではHostB~HostD)は、要求パケットに格納されたIPアドレスと自分のIPアドレスを比較します。この場合、HostC/Dは一致しないわけで、これらのホストはARP要求パケットを破棄して終了します。一方、一致しているHostBは、HostAに対して自分のMACアドレスを、ARP応答パケットを使って送り返します。

(4)これでHostAは、192.168.1.101に対応するMACアドレスを知ることができたので、これをARPテーブルに格納しておきます。

 以上で、ARPアドレスに関する動作の主要な部分はほぼ完了です。比較的簡単な動作であることがおわかりいただけるでしょう。


ARPの動作をもう少し

 ところで図1を見ていて、「何で(2)を受け取ったHostC/Dは、自分のARPテーブルにHostAの情報を登録しないのだろう?」と思われるかもしれません。実はこうした動作は、敢えてしないことになっています。というのも、たいていのLANに繋がる機器は、多いものでも数千程度、少ないものでは数百や数十程度しかARPテーブルにMACアドレスを格納できません。PCと違い、メモリも非常に少ないですし、外部にHDDを持っているわけではありませんので、ARPを大量に格納しておくのは割合に困難です。そこで、自分が通信しない相手のMACアドレスはいちいち記憶しない、というのが一般的です。

 もう1つ理由を挙げると、(3)でHostC/Dは、自分のIPと違う場合は即座に要求パケットを破棄して終わりますが、これにはさほど手間がかかりません。ところが、これを毎回ARPテーブルと参照して、入ってなければ追加するという処理を行なうとなると、処理負荷が増えてしまいます。ARPはなるべく早めに返事を返す、軽いプロトコルであるのが身上なので、余分な作業は極力入れてないわけです。

 また、ARPテーブルの内容は、一定時間ごとにクリアされます。LAN内の構成がずーっと同じ、ということであればARPテーブルは常に保持しておけば良いのですが、ノートPCを繋いだり外したり、マシンを立ち上げたり落としたり、と実際の構成は時間経過に応じて変わるのが普通ですから、本来その都度ARPテーブルの内容は変わってきます。しかし、これをその都度メンテナンスするのは大変(ARPを拡張して、動的な変化に対応させなければなりません)です。そこで、一定期間ごとにARPテーブルをクリアすることにしています。こうしておけば、例えLANの構成がかわっても、ARPテーブル内の古いデータは一定期間内にクリアされるので、事実上問題がなくなります。


 ちなみにARPの逆、つまりMACアドレスからIPアドレスを取得するプロトコルとして「RARP(Reverse ARP)」というものも用意されているほか、Proxy ARPと呼ばれる「MACアドレスのProxyとなる仕組み」も一部では使われています。また、ARPテーブルをユーザーが直接管理するためのコマンドも提供されており、例えば一定期間ごとにクリアされないPermanent Entry(Static Entryと呼ばれる場合もあります)を追加したりする仕組みもあるなど、ARPもいろいろと複雑だったりします。とはいえ、これらは一般のユーザーにはほとんど無縁の世界、とも言えるでしょう。






2005/06/06 10:56

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。(イラスト:Mikebow)
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