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その95「PNGの現状と今後」
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[2006/09/11]
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その7「NATとNAPTの違いとIPマスカレード」
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[2004/08/23]
その5「無線LANの問題とWEP」
[2004/08/09]
その4「IEEE 802.11a/b/gって何を意味しているの?」
[2004/08/02]
その3「ダイナミックDNSって?」
[2004/07/26]
その2「グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス」
[2004/07/12]
その1「PPPoEって何だろう?」
[2004/07/05]

その34「ブリッジの原理」


ブリッジって何?

 今回はブリッジについて説明したいと思います。ブリッジとは「Bridge」、つまり橋のことで、2つのネットワークの橋渡しをする機能を持つものです。これだけ見ていると「リピータと違いがないのでは?」という疑問がでてきそうですが、実は大きな違いがあります。

 リピータは、ネットワークからきたデータを一切選別せずに通過させます。これに対して、ブリッジの場合は「必要な場合のみ、パケットを通す」という選別機能が付加されています。この選別機能の有無が、ブリッジとリピータの違いということになります。このあたりをもう少し細かく説明して見ましょう。


リピータの問題点

図1:リピータ/ブリッジの構造
 リピータでもブリッジでも、構造としては図1に示すような形になります。AとB、2つのセグメントの間に入り、両者をまたがるように接続されます。ここでリピータではいけない理由には何があるか? という話をまずしていきましょう。

 図2のように、例えばセグメントAに繋がるクライアントA→Bの間で転送があったとします。ところがセグメント自体を共有している関係で、この転送のパケットはクライアントCのみならず、リピータを介してクライアントD~Fまで届いてしまいます。

 つまり、片方のセグメント上のどこかで転送が行なわれている間、セグメント全体がその転送に利用される形になってしまい、これに並行してクライアントF→Eの転送を行ないたいと思っても許されません。小規模なネットワークではこれが問題になることはありませんが、大規模なネットワークになってくると、ネットワーク全体の実効転送速度がどんどん下がってくる理由の1つが、リピータにより無節操にパケットの転送が行なわれてしまうことです。

 だからといって、ネットワークを完全に分割してしまうと色々と都合が悪くなるケースもあり、もう少しリピータに賢い動作をさせられないか? という要望が出てきていました。


図2:リピータの問題

 この解決案として登場したのが、ブリッジです。ブリッジは先に述べたとおり、必要な場合にしかパケットを通しません。これを示したのが図3です。例えばクライアントA→Bのデータ転送のパケットは、セグメントAの中だけで完結すればよく、セグメントBに中継する必要はありません。

 同様にクライアントF→クライアントEのデータ転送のパケットはセグメントBの中で完結すればよく、セグメントAに中継してやる必要はありません。こうした場合、ブリッジは両方のパケットを中継せず、そのまま破棄してしまいます。これにより、セグメントAとセグメントBが独立で動作することが可能になり、ネットワークの利用効率がぐんと上がることになりました。


図3:ブリッジの動作その1

図4:ブリッジの動作その2
 もちろん、クセグメントをまたぐ転送、例えば図4のようなケースが発生した場合、ブリッジはこのパケットを通過させますので、結局セグメントAとBの両方が利用されることには変わりないのですが、こうした転送が頻繁に起きるのでなければ、ブリッジを使ってセグメントを分割するのは、実効転送速度向上に大きな効果があります。


ブリッジの原理と限界

図5:MACアドレスの学習
 ところで、ブリッジはどうやって「そのパケットを通過させるかどうか」を決めているのかという話をしてみたいと思います。

 ここで利用されるのは、イーサネットについているMACアドレスを利用しています。MACアドレスについては、11回目でも少し触れましたが、イーサネットデバイスに付けられているユニークなアドレスのことです。

 具体的に言えば、届いたパケットの中の「宛先のMACアドレス」を調べ、それが届いたポートと別の側であれば転送する、というわけです。図1でいえば、ブリッジの左側のポートに「宛先がクライアントD~Fに相当するMACアドレスが指定されている」パケットが届いたら、そのパケットを右側のポートに送り出すわけです。

 ただこれを行なうためには、自分の各々のポートにどんなMACアドレスを持つ機器が繋がっているか、を知らなければなりません。これを行なうのがMACアドレスの学習というものです。例えば図5のようなケースでブリッジの電源を入れたあと、

1:クライアントA→クライアントCの転送
2:クライアントF→クライアントDの転送
3:クライアントB→クライアントEの転送

が順に行なわれたとします。この際ブリッジは

1:クライアントAはポート1側にある
2:クライアントFはポート2側にある
3:クライアントBはポート1側にある

 ことがわかるわけで、これを自分の内部テーブルに順に書いていきます。この状態で、クライアントA/B/Fに対しては、ブリッジの動作を決めることができるので問題ありませんが、クライアントC/D/Eに関してはどちらのポートに繋がっているかまだわかりません。そこで、これらに対するパケットはリピータと同様に通過する形になります。

 このMACアドレスの学習は原則として自動で行なわれ、電源が入っている間は常に学習が続くので、新規にマシンを繋ぐと、すぐその学習が行なわれてテーブルに格納されます。


図6:ブリッジの限界
 この仕組みを備えているので、図6のような複雑なセグメント構成を持つネットワークであっても、効果的に通信が可能です。例えばクライアントAとクライアントBが通信する場合、最初はセグメント1~5のすべてに通信パケットが流れますが、ブリッジ1~4はMACアドレスを学習し、すぐにデータはセグメント1⇔ブリッジ1⇔セグメント2⇔ブリッジ4⇔セグメント5という流れ方となり、セグメント3や4には不要なパケットは流れなくなります。

 ただ、こうした構成をとらなければならないというのがブリッジの限界となります。このケースで言えば、セグメント2がボトルネックになるわけです。これを回避するためには、例えば図7のようにすべてのセグメントをブリッジを介して相互接続することが必要になりますが、今度はネットワーク経路がループを構成してしまう問題が出てきます。これを防止するためには、個々のブリッジに細かく設定を手動で行なってやる必要があり、手間とコストの面で得策ではありません。こうしたこともあり、こと有線LANに関して現状では、次回に説明するルータにほとんど置き換わっています。


図7:無理にブリッジを使うと

現在も残るブリッジ

図8:無線LANブリッジ
 では、どこでブリッジは残るかというと、やはり無線LANの世界だったりします。無線LANと有線LANが混在する環境で、同じネットワーク設定を使いたい場合は、アクセスポイントをブリッジモードで利用することで実現できます。例えば図8のような構成をとることで、有線LANクライアントと無線LANクライアントは同一セグメントのネットワークとして動作します(この場合リピータとならないのは、有線LANと無線LANで全く信号の種類が異なるためです)。また、有線LANにおいても速度の異なるネットワーク(例えば10BASE-Tと100BASE-TX)の接続などでは、まだブリッジが利用されています。逆にいえば、こうした限定された用途でのみでブリッジが生き残っているというわけです。





2005/04/18 10:58

槻ノ木 隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。(イラスト:Mikebow)
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