自宅サーバーの公開や外出先から自宅にリモートアクセスするときに使われる「ダイナミックDNS」サービス。どのようなサービスで、どうやって使えばいいのでしょうか?
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ダイナミックDNSサービスは、その名の通り動的な更新に対応したDNSサービスです。通常、インターネットへの接続時にプロバイダーから割り当てられるIPアドレスは自動的に割り当てられるため、外出先から自宅へ接続したい場合には、自宅のIPアドレスを事前に調べて指定しなければいけません。
しかし、ダイナミックDNSサービスでは、任意に取得したドメイン名とプロバイダーから割り当てられたIPアドレスを利用することで、外出先から決まったドメイン名を利用して手軽にアクセスできるようになります。
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■ なぜダイナミックDNSサービスが必要なのか?
ダイナミックDNSサービスについて紹介する前に、DNSについて少しおさらいしておきましょう。
通常、ブラウザを利用してホームページにアクセスする場合には、アクセス先のURLを指定します。たとえば本サイトであれば「http://bb.watch.impress.co.jp/」となります。
一見すると、「bb.watch.impress.co.jp」に直接アクセスしているように思えますが、実際には異なります。ブラウザにURLを入力すると、DNSサーバーに対してドメイン名の問い合わせが行なわれ、ドメイン名に対応するIPアドレス(bb.watch.impress.co.jpの場合は「210.173.173.66」)が返答されます。このため、実際にはIPアドレスを宛先としてアクセスが行なわれているのです。
つまり、DNSサーバーによって、「bb.watch.impress.co.jp」というドメイン名とそれに対応するIPアドレスである「210.173.173.66」が管理され、クライアントからの問い合わせに対して返答する仕組みになっているのです。いわば、インターネット上の住所録のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
このように、通常はDNSサーバーのおかげで、IPアドレスではなくわかりやすいドメイン名でインターネット上のサーバーなどにアクセスできていますが、自宅ではちょっと事情が異なります。
もちろん、プロバイダーの固定IPアドレスサービスなどを利用すれば解決できる場合もありますが、一般的には外部からの接続が想定されていないためにドメイン名は割り当てられておらず、プロバイダーから割り当てられるIPアドレスも接続のタイミングによって変化する動的なものとなります。
このため、自宅でサーバーを公開したり、外出先から自宅にリモートアクセスで接続したいといったようなケースでは、事前にプロバイダーから割り当てられたIPアドレスを確認し、それをアクセスの際の宛先として利用する必要があります。
■ 動的にIPアドレスを更新するダイナミックDNS
そこで利用されるのが、今回の本題である「ダイナミックDNSサービス」です。ダイナミックDNSも、前述した一般的なDNSと同様にドメイン名とIPアドレスの対応を管理するのは同じですが、動的にIPアドレスを更新できる点が特徴です。
具体的な例を見てみましょう。ダイナミックDNSサービスとして有名な「DynDNS」では、アカウントを取得することで、任意のドメイン名を無料で取得できます。もちろん、任意と言っても完全に自由なドメイン名が利用できるわけではありません。「dyndns.org」や「homeip.net」など、あらかじめ用意されているドメインから好みのものを選び、それと任意の文字列を組み合わせたドメイン名となります。たとえば「bbwatch.dyndns.org」といった具合です。
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ダイナミックDNSの利用イメージ。サービスへの登録後、ルータのWAN側IPアドレスを更新。取得したドメイン名での名前解決が可能となり、外部からのアクセスが実現できる
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ドメイン名を登録したら、次にIPアドレスを登録します。ただし、プロバイダーによってルータのWAN側に割り当てられるIPアドレスは、前述したように接続のタイミングによって変化するのが一般的です。このため、たとえばダイナミックDNSへの登録時とIPアドレスが変化したために、ドメイン名でアクセスすると自宅以外のネットワークに接続される可能性もあります。このため、IPアドレスが変更されたことをダイナミックDNSサービスに通知して、ドメイン名とIPアドレスの対応を更新しなければなりません。
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ダイナミックDNSサービスのひとつ「DynDNS」。無料でダイナミックDNSサービスを利用することができる
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このような更新は手動でも可能ですが、最近ではルータの機能として搭載されていることもあります。ルータの設定ページに、利用するダイナミックDNSサービスの種類やアカウント、パスワード、ドメイン名、更新周期などを設定しておくと、ルータが定期的にIPアドレスの更新を行ない、ダイナミックDNSサービス上のデータを常に最新のものに保つことが可能です。
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ルータによってはダイナミックDNSの更新に対応している場合もある。設定をしておけば、自動的、かつ定期的にIPアドレスの更新が可能だ
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以上のように、ダイナミックDNSサービスを利用すれば、ドメイン名を取得しておらず、IPアドレスが動的に変化するような場合でも、インターネット側からドメイン名を使って自宅にアクセスすることが可能となります。
先日発売された、外出先から自宅のテレビや録画番組が見られる「ロケーションフリー(LF-PK1)」が、このダイナミックDNSを利用しているサービスの良い例でしょう。また、バッファローのように、同社のルータで利用できるダイナミックDNSサービスを提供しているメーカーもあります。
サーバーの公開や自宅へのリモートアクセスの場合、ダイナミックDNSのほかに、ルータのポートフォワードの設定などが必要なことに加えて、セキュリティ上の配慮も必要になりますが、外出先からの接続が必要な場合はダイナミックDNSサービスを利用すると便利でしょう。
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2005/10/21 11:02
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