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第69回:どんなサービスでIPv6は使われているの?
[2005/12/09]
第68回:IPv6で何が変わるの?
[2005/12/02]
第67回:スカイプって何が便利なの?
[2005/11/25]
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[2005/11/18]
第65回:無線LANを簡単に設定できる機能って?
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[2005/10/28]
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[2005/10/21]
第62回:NASってどこが便利なの?
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[2005/10/07]
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[2005/09/30]
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[2005/07/29]
第52回:ギガビットイーサネットってどれくらい速いの?
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[2005/07/08]
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[2005/07/01]
第48回:動画などの大きなファイルを相手に渡すには?
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[2005/06/10]
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[2005/05/20]
第43回:最近話題の「ブログ」って何ができるの?
[2005/05/13]
第42回:P2Pってどういう仕組みなの?
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第41回:アフィリエイトってどういうメリットがあるの?
[2005/04/15]
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[2005/04/08]
第39回:Windows XP SP2って何が違うの?
[2005/04/01]
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[2005/03/25]
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[2005/03/04]
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[2005/02/25]
第34回:ブロードバンドのテレビ電話ってどういうサービス?
[2005/02/04]
第33回:1GbpsのFTTHって何が違うの?
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第32回:無線で使えるFTTHってどういうサービス?
[2005/01/21]
第31回:「VDSL」ってADSLと違うの?
[2005/01/14]
第30回:FTTHの「占有型」と「共有型」って何が違うの?
[2004/12/17]
第29回:FTTHは本当に100Mbpsなの?
[2004/12/10]
第28回:FTTHってどうやって導入するの?
[2004/12/03]
第27回:インターネット電話ってIP電話と違うの?
[2004/11/26]
第26回:IP電話を使うには何が必要なの?
[2004/11/19]
第25回:IP電話サービスを選ぶ基準は?
[2004/11/12]
第24回:IP電話ってお得なの?
[2004/11/05]
第23回:プロバイダーの無線LANレンタルってお得?
[2004/10/29]
第22回:知らないアクセスポイントが表示されたんだけど……
[2004/10/22]
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[2004/09/17]
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第18回:無線LANってどこが便利なの?
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第16回:プロバイダーのウイルスチェックサービスって便利なの?
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[2004/08/06]
第14回:セキュリティ対策って何をすればいいの?
[2004/07/30]
第13回:ブロードバンドルータって必要なの? その2
[2004/07/23]
第12回:ブロードバンドルータって必要なの?
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[2004/07/02]
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[2004/06/04]
第7回:1M ADSLってお得なの?
[2004/05/28]
第6回:ADSLの「タイプ1・2」「ライトプラン」って何が違うの?
[2004/05/21]
第5回:ADSLってどういう仕組みなの?
[2004/05/14]
第4回:ブロードバンドをはじめたいんだけど……その4
どのコースを選べばいいの?
[2004/05/07]
第3回:ブロードバンドをはじめたいんだけど……その3
どのプロバイダーを選べばいいの?
[2004/04/23]
第2回:ブロードバンドをはじめたいんだけど……その2
どの事業者を選べばいいの?
[2004/04/16]
第1回:ブロードバンドをはじめたいんだけど……その1
[2004/04/09]

第31回:「VDSL」ってADSLと違うの?


 マンションなどの集合住宅でFTTHを利用する場合、建物の共用部分まで光ファイバを引き込み、それ以降はVDSLで配線するという方法が一般的です。このときに利用されるVDSLとはどのようなものなのでしょうか?

  VDSLは、ADSLと同様、既存の電話回線(メタル回線)を利用して高速な通信を実現する通信方式です。ADSLに比べて高い速度(下り最大100Mbps、上り40Mbps程度)での通信が可能ですが、非常に高い周波数の信号を使うため、数百メートル程度の距離でしか利用できません。

 このため、現状は、マンションなどの集合住宅向けのFTTHで、構内配線用に利用されています。光ファイバを建物の共用部分まで引き込み、それ以降はVDSLを利用した電話回線で配線するのが一般的です。


VDSLは「高速版DSL」的存在

 VDSLは、現在広く普及しているADSLとほぼ同じような技術であると考えて差し支えありません。ADSLは、電話回線を利用して高速な通信を実現する技術ですが、VDSLでも同様に電話回線を利用して高速な通信を実現しています。

 では、VDSLとADSLでは、何が違うのでしょうか? 主な違いは、その「通信速度」と「通信距離」です。ADSLの通信最大速度は、下りで50Mbps程度、上りで5Mbps程度ですが、VDSLはさらに高速な下り100Mbps程度、上り40Mbps程度の速度を実現できます。VDSLは、「Very high bit rate Digital Subscriber Line」や「Very high speed Digital Subscriber Line」の略ですが、その名の通り、非常に高速な通信速度を実現できるDSL技術ということになります。

 より高速なのであれば、現状のインターネット接続にもADSLではなく、VDSLを使えばいいのでは? と疑問に思うかもしれませんが、それができない大きな理由があります。前述した通信距離の問題です。

 VDSLがADSLに比べて高速な通信ができるのは、ADSLよりもはるかに高く幅広い周波数帯域の信号を利用するからです。現状、下り100Mbpsを実現するVDSLサービスは、いわゆる5バンド(下り3バンド、上り2バンド)と呼ばれる方式ですが、以下の図のように最大16.7MHz(ADSLは最大3.75MHz)という非常に高い周波数の信号を利用しています。


5バンドVDSLが利用する周波数帯。ADSLの3.75MHz以上の周波数帯も通信に利用することで高い速度を実現している

 このように高い周波数帯の信号は、長距離の伝送には向いていないという特性を持っています。通信距離が長くなると、高い周波数帯の信号が減衰して使えなくなったり、通信経路上で雑音などの影響を受けやすくなるからです。ADSLなどでも、同様に最寄りの収容ビルから自宅までの線路長が長いと速度が低下しますが、ADSLよりも高い周波数帯を利用するVDSLは、この影響をさらに大きく受けます。このため、実質的にVDSLでの通信が可能なのは数百メートル程度と、非常に短くなっています。





FTTHの構内接続に利用されるのが主

 以上のように、高速でありながら通信距離が短いという特性から、VDSLは主に構内接続用のインフラとして利用されるのが一般的です。具体的には、マンションなどの集合住宅向けのFTTHで、各住戸を接続するために利用されています。

 もちろん、マンションなどの集合住宅でFTTHを利用する場合でも、各住戸に直接、光ファイバを敷設するのが理想的でしょう。しかし、光ファイバは非常にデリケートで、一定以上の角度で曲げられないなど、配線上の制約があります。最近では、従来よりも柔軟に曲げることができる新しい光ファイバも登場してきたうえ、LAN配線を使って各住戸まで配線する方式なども存在しますが、そもそも集合住宅の配管に、新たに配線を通すだけの余裕がない場合もあります。

 このため、マンションなどの集合住宅では、既存の配管を使って光ファイバを直接配線するのではなく、光ファイバは共用部分までの配線にとどめ、その先を電話回線を使ったVDSLで配線するのが一般的です。電話回線であれば、光ファイバのような配線上の制約がないうえ、建設時に電話用に各住戸まで配線されているため、新たな工事が必要ないからです。


マンションなどの集合住宅では、共有部分まで光ファイバを敷設し、その先、各住戸までは電話回線を利用したVDSLを利用する

 前述したように、VDSLでも下りで100Mbps程度の通信速度を実現することができますから、電話回線を利用した場合でもFTTHの速度を活かせるというわけです。ただし、集合住宅向けの光ファイバは各住戸で共有するのため、利用者が多ければ1ユーザー当たりの速度は低下する点は注意しておきましょう。


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2005/01/14 11:16

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。
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