FTTHのメリットは、ADSLなどに比べて圧倒的に高い通信速度です。しかし、実際に100Mbpsの速度が得られるのでしょうか? その疑問に迫ってみましょう。
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FTTHの100Mbpsという速度は、あくまでも理論上の最高速度でしかありません。回線自体が100Mbpsのキャパシティを持っていたとしても、家庭内やインターネット側のボトルネック、帯域の共有などによって、実際に100Mbpsの速度を実現することは難しいでしょう。利用する回線や環境にもよりますが、実際の実効速度は20~60Mbps程度と考えておくのが無難です。
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■ 100Mbpsの帯域をフルに使えるわけではない
料金の低価格化や導入が容易になったこともあり、FTTHの導入を検討しているユーザーも少なくないことでしょう。特にマンションなどの集合住宅では、すでに建物にFTTHが導入されているケースもあり、価格面でもADSLとの差額が数百円というレベルにまで達しています。戸建て住宅の場合は、まだ割高感があることは否めませんが、100Mbpsという速度と高い安定性が得られることを考えれば、FTTHへの移行も悪くはない選択肢と言えるでしょう。
しかし、本当に100Mbpsの速度が出るのかというのも気になるところです。結論から言えば、FTTHであっても、残念ながら100Mbpsの速度を得ることはできないでしょう。まずは、以下の画面を見てください。これは、筆者宅に敷設済みのFTTH(NTT東日本 Bフレッツ・ニューファミリータイプ)で実際に速度を計測した値です(Pentium 4 3GHzのCPU、1GBのメモリ、GigabitEthernetのLANインターフェイスを搭載したPCを使用)。
実際の速度は、NTT東日本の網内にあるフレッツ・スクウェア(左)で下り62.75Mbps、インターネット上の速度測定サイトであるRBB TODAY(右)で下り74.39Mbps、上り59.66Mbpsという結果になりました。ADSLと比較すれば十分すぎる結果とも言えますが、100Mbpsという最大通信速度から考えれば、少々低いのではないかと考える人もいるはずです。
では、なぜ100Mbpsの速度が出ないのでしょうか? これにはいくつかの理由があります。まずは、ネットワーク側の問題です。前述した速度測定は、インターネット(フレッツ・スクウェアは地域IP網内)に設置されたサーバーで速度を測定するという仕組みになっています。このため、自宅とサーバーまでの経路の違いや混雑状況、サーバー自体の混雑状況などによって、速度は少なからず影響を受けことになります。これにより、回線速度が100Mbpsだとしても、実際にはそれ以下の速度しか得られず、測定するサイトや時間によって速度が変化するというわけです。
■ 家庭内のPCやルータの性能も大きく影響
家庭内の環境も速度に大きな影響を与えます。利用するPCや回線に接続しているルータの性能が低いと、これらがボトルネックになって速度が低下する可能性があります。(ルーターのスループットについては第10回を参照)。
さらに、アクセスラインも常に100Mbpsで通信できるとは限りません。今回のテストに利用したNTT東日本のBフレッツ・ニューファミリータイプなどでは、NTT収容ビルと自宅の間を結ぶアクセスラインを複数のユーザーで共有する仕組みが採用されています(共有型については次回で詳しく説明します)。また、マンションなどの集合住宅の場合も同様で、建物に引き込んだ回線を複数の住戸で共有する仕組みです。このように、複数ユーザーで帯域を共有する共有型のFTTHの場合、同時にインターネットを利用するユーザーが増えれば増えるほど、各ユーザーが利用できる帯域が狭くなり、速度が低下することになります。
つまり、ネットワーク、家庭内の環境、アクセスラインの利用方法など、複数の理由から、次第に速度が低下してしまうというわけです。100Mbpsと言っても、実質的な速度は20~60Mbps程度と考えておくとよいでしょう。
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最大100Mbpsと言っても、実際にはさまざまなボトルネックが存在するため、実質的には100Mbps未満の速度になってしまう
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なお、最近では1Gbpsというさらに高速な通信速度を実現するFTTHサービスも登場してきましたが、このようなサービスも同様の理由で1Gbpsの速度が実現できるわけではありませんし、現在、提供されているサービスの場合、家庭内に設置されるメディアコンバータやONUのLANインターフェイスも、最大100Mbpsまでしかサポートしていません。そのため実質的な速度は100Mbps以下となる点に変わりはありませんが、アクセスラインがギガビット化されることで、帯域を複数のユーザーで共有する場合は高速化が見込めるでしょう。
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2004/12/10 11:27
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