プロバイダーが提供するIP電話は、050から始まる電話番号が割り当てられます。これを「03」や「06」から始まる普通の電話番号で使うことはできないのでしょうか?
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ADSLの場合、現状は050のIP電話サービスしか利用することができませんが、FTTHを利用すれば、「03」や「06」といった一般的な電話番号(0AB~J番号)を利用したIP電話サービスの利用が可能です。これまでに利用していた一般加入電話の番号をそのままIP電話に割り当てられる場合もある上、「110」「119」「0120」といった、従来のIP電話ではできなかった番号への通話もできるようになります。
これまで併用が必要だった一般加入電話を解約したり、休止することで、料金を節約することも可能ですが、通話料金に関しては逆に高くなってしまうケースもあります。また、停電時の通話や発信できない番号があるなど、完全に一般加入電話と同等というわけではありません。一般加入電話から移行する場合は、慎重な検討をお薦めします。
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■ FTTHなら「03」や「06」といった番号がIP電話で利用できる
IP電話を利用したいが、どうせなら「03」や「06」といった番号で始まる一般的な電話番号で使いたい。そう考えている人も多いことでしょう。もちろん、IP電話でも03や06といった一般的な電話番号(0AB~J番号)を利用することは可能です。実際、KDDIの「光プラス電話」、NTT東西の「ひかり電話」、ケイ・オプティコムの「eo光電話」、有線ブロードネットワークスの「GATE CALL」などでは、IP電話でありながら03や06といった一般的な電話番号が使われています。
しかし、これらのサービスをよく見ると、どれもがFTTHのサービスであり、ADSLは含まれていないことがわかります。つまり、IP電話で0AB~J番号を利用するには、FTTHを利用しているという条件が必要になるということになります。
では、どうしてADSLでは0AB~J番号を利用したIP電話サービスが利用できないのでしょうか? これは総務省によって、0AB~J番号の利用に制限が定められているためです。具体的には、固定電話と同等の通話品質と安定性を実現する、電話番号と発信場所を対応させるなどといった条件が定められています。このうち、ADSLでは通話品質と安定性という点で、この条件をクリアできません。
最近のADSLは以前に比べて格段に速度や安定性が向上しましたが、それでも収容局からの距離が遠いようなケースでは、満足な速度が得られないという場合もあります。このような環境が一部でもある以上、あくまでも現状のADSLでは、高い品質と安定性が要求される0AB~J番号のIP電話サービスの利用は許可されないというわけです。
このため、FTTHを利用している場合、もしくはFTTHの利用が可能な場合であれば、0AB~J番号のIP電話サービスを利用することができますが、そうでない場合は、当分の間、050番号を利用したIP電話サービスを利用するしかないことになります(IP電話ではなく直収サービスを利用するという手はある)。
■ 一般加入電話と番号は同じでも、機能はまったく同じではない
では、0AB~J番号を利用したIP電話は、一般加入電話とまったく同じように使えるのでしょうか。残念ながら、現時点ではまだ一般加入電話には及ばない部分も見られます。その1つが停電時の問題です。
普段はなかなか気づかないかもしれませんが、一般加入電話は電話回線を利用して給電しているため、コンセントにつながなくても通話できます。もちろん、留守番電話などの機能はコンセントから電源を供給する必要がありますが、停電時にも通話できるという点は、災害時のライフライン的な役割として重要な機能です。
一方、FTTHを利用したIP電話は、IP電話対応機器の電源が切れてしまえば動きません。一般加入電話を併用している場合は迂回することが可能ですが、一般加入電話を解約してしまえばまったく電話できなくなってしまいます。携帯電話やPHSを使うという手段もありますが、災害時には電話が混雑してつながらない場合もありますから、いざという時のことも考えておく必要があるでしょう。
また、0AB~J番号のIP電話は、050番号が通話できない110や119といった緊急通報は可能ですが、それでもすべての電話番号に通話できるわけではありません。たとえばNTT東日本のひかり電話やKDDIの光プラス電話では、伝言ダイヤル「0170」、テレゴング「0180」、ダイヤルQ2「0990」、ポケベル「020」、ナビダイヤル/ナビアクセス/APナビ「0570」などに通話できません(光プラス電話は一部通話可能な番号もある)。各サービスのWebサイトでは、通話できない番号を公開していますので、申し込みの前にどの番号が利用できないかをあらかじめ調べておくとよいでしょう。
□接続可否番号一覧(ひかり電話・NTT東日本)
http://www.ntt-east.co.jp/t/use/number.html
□光プラス電話ではご利用いただけないサービス一覧
http://www.dion.ne.jp/service/hikari/phone/index.html
□eo光電話にてご利用になれないサービス
http://eonet.jp/hikaridenwa/ngservice.html
■ 0AB~J番号のIP電話サービスはお得か?
最後に0AB~J番号を利用したIP電話の料金面でのメリットを考えてみましょう。これはケース・バイ・ケースと言えます。
まず、月額の基本料金に関しては、一般加入電話を解約すれば安くなると言えます。NTT東西のひかり電話では、電話の基本料が必要ですが、一般加入電話よりも安く設定されているため、インターネット接続の料金などを含めても、月々の固定費用は安くできます。
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0AB~J番号のIP電話サービスでは、110や119、0120などの番号への通話も可能(0120の一部の番号はつながらない場合もある)
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ただし、通話料に関しては注意が必要なケースもあります。KDDIの光プラス電話などは050番号のIP電話とほぼ同じ通話料となっていますが、NTTのひかり電話の場合、加入者同士の通話も有料であったり、IP電話への通話料が、一般加入電話からIP電話にかけたときと同等の高い料金に設定されています。特定の相手によく電話をかけるなどといった使い方の場合は、月額料金が多少高くても、050番号のIP電話の方がお得な場合もあるでしょう。
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KDDI |
NTT東日本NTT東日本 |
光プラス電話 |
ひかり電話 |
フレッツ・ADSL+IP電話 |
Bフレッツ・マンションタイプ+IP電話 |
回線費用 |
月額費用に含む |
3,045円 |
2,940円 |
3,045円 |
機器利用料 |
420円 |
567円 |
819円 |
プロバイダー費用 |
892円 |
892円 |
892円 |
電話基本料 |
997.5円 |
1,522.5円 |
1,522.5円 |
月額費用合計 |
4,777円 |
5,354.5円 |
5,921.5円 |
6,278.5円 |
加入者同士の通話 |
無料 |
8.4円/3分 |
無料 |
無料 |
IP電話への通話 |
8.4円/3分 |
10.4~10.8円/3分 |
8.4円/3分 |
8.4円/3分 |
一般加入電話への通話料 |
8.4円/3分 |
8.4円/3分 |
8.4円/3分 |
8.4円/3分 |
付加サービス |
割込通話
発信者番号表示
割込番号表示
番号通知リクエスト
迷惑電話撃退 |
キャッチホン
ボイスワープ
ナンバー・ディスプレイ
ナンバー・リクエスト
迷惑電話おことわりサービス |
なし |
なし |
※NTT東日本はプロバイダーにぷららを利用
※いずれもマンションタイプの場合 |
とは言え、0AB~J番号のサービスには、キャッチホンやボイスワープなど、一般加入電話並のサービスも用意されており、電話としての機能は050番号のIP電話よりも上です。050サービスの無料通話というメリットを取るか、0AB~Jサービスの充実した機能を取るかを比較した上で利用するとよいでしょう。
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2005/03/04 11:18
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