ホテルや駅、ファーストフード店など、外出先でもブロードバンド接続を楽しめるのが公衆無線LANサービスです。その概要について見ていきましょう。
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公衆無線LANサービスは、ホテルや駅、ファストフード店などに設置されたアクセスポイントを利用して、無線LANによるインターネット接続を提供するサービスです。さまざまな事業者によってサービスが提供されており、500~2,000円前後の月額料金や500円前後の1日料金で利用できます。
仕組みは家庭用の無線LANとほぼ同じですが、不特定多数のユーザーが利用することから、ユーザーIDやパスワードなどを利用してセキュリティ面での配慮がなされています。
このような公衆無線LANサービスは、PCを利用したインターネット接続に加えて、PDAなどを利用したコンテンツ配信に使われたり、将来的には外出先でIP電話を使うためのインフラとして利用される可能性もあります。エリアの拡大や新規事業者の参入、事業者の統廃合なども進みつつあり、今後の展開が期待されています。
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■ 公衆無線LANサービスとは
公衆無線LANサービスは、外出先で無線LANを利用したインターネット接続を提供するサービスです。一般に「ホットスポット」などとも呼ばれますが、NTTコミュニケーションズが提供する同名のサービス「HOTSPOT」と区別するために、ここでは公衆無線LANサービスと呼ぶことにします。
公衆無線LANサービスの利用イメージは、家庭用の無線LANと同じく、空港や駅、ホテル、ファストフード店などに引き込まれたADSLやFTTHに無線LAN用のアクセスポイントを設置し、ユーザーが無線LAN経由で接続することでインターネットが利用できるようになります。
アクセスポイントに接続するには、SSIDや暗号キーなどが必要ですが、これらの情報は公衆無線LANサービスへの加入時に発行されます。店舗ごと独自に設置するサービスの場合、店舗ごとに異なるSSIDや暗号キーが使われていることもありますが、大手事業者によって提供されている公衆無線LANサービスでは、すべての場所で共通のSSIDや暗号キーが発行されています。
このように説明すると、たとえばすでにサービスに加入している友人から教えてもらうといった方法で、アクセスポイントに設定されているSSIDや暗号キーを入手さえすれば、サービスに加入しなくても無線LANを利用できそうですが、そうではありません。公衆無線LANサービスでは、家庭用の無線LANと異なり、アクセスポイントへの接続後に認証が必要になります。
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多くの公衆無線LANサービスでは、SSIDとWEPキーに加えて、ユーザーIDとパスワードによる認証が必要になる
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具体的には、サービス提供エリアでアクセスポイントに接続後、ブラウザを起動すると、自動的に認証ページが表示されます。ここでサービス加入時に発行されたユーザーIDやパスワードを入力することで、はじめてユーザーであることが確認され、インターネットに接続できるようになります(USBキーを利用する方式などもある)。
また、家庭用の無線LANでは、複数台のPCでファイルを共有することもできますが、公衆無線LANのように見知らぬユーザー同士が利用するケースでは、このような利用はセキュリティ上好ましくありません。このため、多くのサービスでは同じネットワーク内でのファイル共有が禁止されており、インターネットに接続することだけが可能となっています。
■ 公衆無線LANサービスの料金は500~2,000円前後
公衆無線LANサービスは、現在、さまざまな事業者によってサービスが提供されています。主なサービスとその特徴を以下の表にまとめておきます。
料金は事業者によって異なりますが、安い場合で月額500円程度、高い場合でも2,000円前後です。また、事業者によっては、月額料金のプランだけでなく、500円程度で1日だけ利用できるプランや、使った分だけ料金を支払う従量制のプランを用意している場合もあります。
なお、1日だけ利用できるプランの場合、店舗で販売されているプリペイドカードを購入したり、携帯電話を利用してその場でサービスへの加入申し込みを行なうなどの方法で、事前申し込みが不要な場合もあります。たまたま訪れた店舗で公衆無線LANサービスが提供されており、一時的に使いたいという場合などに便利でしょう。
また、サービスによっては他事業者の公衆無線LANサービスや海外の公衆無線LANサービスとのローミングサービスを提供している場合もあります。訪れた店舗で、自分が加入しているサービスとは別の公衆無線LANサービスしか提供されていない場合でも、事業者同士がローミングを実現していれば、自分が加入している公衆無線LANサービスのユーザーIDを利用してインターネットに接続できます。
■ 転換期を迎えた公衆無線LANサービス
このような公衆無線LANサービスは、現在、大きな転換期を迎えています。ライブドアが東京の山手線圏内を中心に「livedoor Wireless」の試験サービスを2005年8月1日から新たに開始しましたが、その一方で、従来から公衆無線LANサービスを提供してきたNTTBPの「無線LAN倶楽部」が2005年12月をめどにサービスを終了する予定となっています。
NTTBPは、事業方針を自らのサービス提供から、NTT東日本およびNTT西日本、NTTドコモが提供する公衆無線LANサービスの保有および運用に切替える予定としており、今後はNTTグループの公衆無線LANサービス(フレッツ・スポット、Mzone)のアクセスポイントの共有化が進むことになります。さらに、3年近く試験サービスを続けていたYahoo! BBモバイルも、2005年10月に正式サービスを開始すると発表しました。
これまで各事業者が個別にサービスを提供してきた公衆無線LANサービスですが、ここにきてサービス自体の統廃合や正式サービスへの移行が始まっています。今後は、単純なエリアの拡大だけでなく、ローミングの拡大、さらなるサービスの共有化など、ユーザーにとってより使いやすいサービスになることを期待したいところです。
また、公衆無線LANサービスの利用形態も、今後は変わってくる可能性があります。現在は、主にノートPCを利用したインターネット接続が主な用途ですが、無線LAN倶楽部では過去に無線IP電話のトライアルサービスが行なわれていたことなどあり、電話での利用も考えられるでしょう。さらに、ポータブルタイプのゲーム機に無線LANが搭載され始めたことを考えても、今後は、ネットワークゲームの利用やコンテンツ配信といった用途も期待できるでしょう。
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2005/08/19 11:17
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